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重なり合った偶然の末に天職と出会う24

日本酒について

 日本酒には様々な銘柄があります。(県ごとにも覚えなくてはなりません)が、それ以前に製法などによって種類があります。純米酒とか本醸造酒とか吟醸酒とか、また、1988年当時は級別廃止前でしたので、特級、1級、2級と言う等級もありました。また銘柄にもいわゆる灘の酒、伏見の酒とそれ以外の地酒と言ったような立ち位置の違いのようなものもありました。価格もバラバラ、アルコール度数もバラバラ、その上、辛口とか甘口とか色々色々覚えることだらけでした。
 単純に「美味しいですよ」だけでは売れません。

 「美味しんぼ」

 若干時代が前後している部分もありますが「美味しんぼ」と言う漫画が非常に流行り、食に関しての仕事をする私としても大変興味深く読んだものでした、アニメ化もされていました。
 その中で結構日本酒も紹介されていて、「美味しんぼ」に出てきた酒はやっぱりよく売れました。
 やっぱりメディアで話題になると瞬間でもよく売れる!ものです。今ではSMSでバズると売れるってことです。

バイヤーとして大切で大変なのは

 その情報をいち早くキャッチし、他店よりも先んじて商品を手配しできれば大きく展開する事が出来れば当たります。常に情報にアンテナを高くし見逃さない事、何よりもアンテナに対しての感度を上げて置く事が大切です。
 溢れ出すように出てくる情報の中から、アタリの情報に気付くかどうかで腰部は決まります。
一見大した情報ではなくてもわかる人が聞いたら「ピン!💡」とくるものです。
その感性は常日ごろから鍛えておかなくては身に付きません。
 もちろん当時新入社員の私には全何の能力もありませんでした(笑)(笑)

1合⇒1升⇒1斗⇒1石

 また先述しましたがこの頃(1990年前後)はまだ紙パックのお酒は殆どありませんでした。
ほぼ全てが瓶、日本酒は 1升瓶(1800ml) 4合瓶 (720ml) が殆どでした。
それ以外にも300mlやワンカップなどもありましたが大半は上記容量がメインでした。
そもそも一升とか4合とかの単位も普段ではなじみありませんよね。お酒の世界では今でも昔の
「尺貫法」にならった単位を使っている事が多くその他に「1斗(いっと)=18ℓ」とか「一石(いっこく)=180ℓ」とかが良く出てきます。
 タイトルにあるお酒の大きな樽は4斗入ります(大きさによります)

枡(ます)は大きさによって量が違います。これは1合枡

P箱 (6本入り) 木箱(10本入り)

 その頃お酒は納品されるときに入ってくる箱は一升瓶の場合大半はP箱と言われる6本入りのプラスチックの箱でした。4合瓶(720ml)は段ボール箱に12本入っている事が多かったです。
 商品によっては昔ながらの木箱で納入される銘柄もあり木箱で10本入りのものもありました。
これはめちゃくちゃ重くしかも持ち運びはかなり痛い!痛い!でした。箱が木で出来ており、角がとがっているため体のあちこちをぶつけるととにかく痛い でも重い!重い! ただでさえ重い瓶入り1升瓶が10本も入っているのでものすごく重かったです。なので運んでいるとあちこち体にぶつけてしまいます。(今調べると30Kg以上あったようです)

P箱(通い箱)

仕入が困難なお酒

 中には中々手に入らない「幻の・・・」などと有名になってしまうお酒もあります。
百貨店は文字通り「百貨を商う店」ですからお客様にご要望されて「ありません」とは言いたくないものです。もちろんどうしようも無いものは世の中にたくさんあるので絶対とは言えませんが、出来る事なら「ウチでは手に入りますよ!」と言えればその百貨店のステータスとなります。

池田「呉春」(ごしゅん)の義理人情

 大阪の池田市と言う所で作られる老舗の酒蔵がありました。まだそれほど有名ではなかった頃、終戦直後大変苦労してお酒造りを続け、酒蔵の社長が一生懸命色々なお店や酒屋さんに売り込みにに行ったそうです。「ウチのお酒を置いてくれませんか?」今で言う営業ですよね。
 その頃、大変な時代でしたから、快く置いて売ってくれたお店は少なかったそうです。
 昔ながらの作り方を守り、コツコツと酒造りを続け、今となっては引く手あまた超人気商品になりました。でも昔の作り方のままの為一度にたくさんは造れません。その状態なので中々手に入らない「幻の酒」みたいになって益々入手困難になっていきます。
 酒蔵の社長は今となっても恩を大切にし義理を通して、終戦当時頃このお酒を、置かせてくれた数少ないお店には、最優先で納入してくれるのです。ほかのお店には残ったら入荷します。
 私の居た百貨店はその数少ないお店の一つだったそうです。数カ月に1回お酒の瓶詰が終わると連絡が来ます。トラックを用意して現金をもって池田市まで直接買い付けに行きます。行くとそのようなお店のトラックが列をなしています。そんな苦労した時代に大切にしてくれたお客様を今でも大切にし続ける酒蔵もありました。
 
ちなみに「呉春」は10本入り木箱で納入でした。

お酒のひょうたん屋 ONLINE SHOPより

次回に続く

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