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E16:ツレが笑うようになりまして。

「あのね、恥ずかしいから1回しか言わない」
「うん」
「絶対に、はぐらかさないでほしい」
「うん」
「ひょ、ひょっとして俺のこと好き?」
「うん」
「あらぁ……」


一緒に生きることに決めて、もう17年。
友だちの友だちとして紹介された時、
印象としては
「喜怒哀楽がわかりにくい人」だった。

だから僕たちは、付き合うとき、
上のように
滑稽な「確認」からスタートした。

喜怒哀楽の判定しづらいこの人と
うまくやれる自信なんて全くなかった。


17年経った今では

家でNiziU見ながら楽しそうに踊っていたり
お笑い番組見てゲラゲラ笑ってたり
最近ではM1の点数を独自に出したり
パンケーキの名店に1時間以上並んだり

当時は眉をひそめて
「ねえ、それの何が楽しいの?」
と言っていたことを、自分からやるようになった。
人は一緒に暮らしてみないとわからないもので。

しかし、まあ
あの第一印象は、いずこへ?
あのころは
こんなに楽しそうに笑う人ではなかった。

「ねえ、あなた、そんな人でしたっけ?」
この間、おどけて聞いてみた。

本人いわく
「あんたのせい」らしい。

全部、僕の影響なのだそうな。
「あんたのせい…」
ふと、あの曲が浮かんだ。

君を笑わせたい 
力ずくでも笑わせたい
そして年をとり
いつかしわくちゃになったら
そのわけは僕の
せいだと言わせたいんだ

No.1

30年前、この曲を聴いたとき
良い曲だなと思ったけれど
実際に言われると、いいもんだな。

まだ、しわくちゃじゃないから!!!
と、猛抗議されそうだけれど…。

ここ数年の世の中の動き、
我が家もいろいろあって
ため息をつきながら帰ることもあるけれど
家で笑ってくれているとホッとする。

で、これを書くにあたって、聞いてみた。

「noteに書くとき、呼称はどうすればいい?」
「う~ん。『ツレ』がいい」
「え?『ツレ』?」
「そう、『ツレ』」
「へえ、そうなんだ…」

『ツレがうつになりまして。』の
あの二人の雰囲気がいいみたいだ。

こういう話をすれば
何を書くのか興味を持ってくれてもいいはずなのに

本当に
まるで
気にしていない。

「だって、長いのを読むの、
 めんどうくさいんやもーん」

あ、そういえばこういう所は
昔からなんにも変わってないなぁ…。

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