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「なんか面白いこと」は日常の中にきっとある。

新卒で入社した会社に「なんかさー、面白いことないー?」という口癖の先輩がいた。

当時、新婚で小さなお子さんがいる男性社員だったのだけど、いつも「つまんないなあ」「なんか面白いことないかなあ」と言い、浮気をしては奥さんにバレて怒られるという、なんというか、ちょっとどうしようもない人だった。

時々私にも「誰か紹介してよー」「岡田さんの同期の○○さん、かわいいよね。今度飲みに行こうって言っといてよー」とか言ってくるので、毎回「嫌ですよー」「奥さんいる人に紹介できる子なんていませんよー」とあしらっていた。

でも、営業所の中で年齢が一番近かったから、仲良くしてもらっていた。
仕事もいろいろ教えてもらってたし、一緒に仕事をサボったりもしたし、しょうもないバカ話もたくさんした。
毎日挨拶がわりに「なんか面白いことない?」「ないですよー」を繰り返していた。

私はその会社を1年半で退職し、先輩に会うことはなくなった。

そしてそれから数年後、同期の結婚式二次会で久し振りに先輩に会った。

先輩は昇進していて、聞けば2人目のお子さんが生まれたという。

立ち話で近況報告をしていると、先輩が「なんか面白いことないかー?」と言った。
思わず「もう!相変わらずですねえ」!と言うと「冗談冗談!岡田さんの顔見たら思い出してさ」そう言って笑っていた。

もう浮気もしなくなったなあ。なんて笑う先輩は、あの頃と違って随分落ち着いた雰囲気になっていた。


今日近所を散歩していたら、急に先輩の「なんか面白いことないかなあ」を思い出した。

日々、普通に生きてたら「面白いこと」なんてそうそう起きないように思える。
でも、ちょっと視点を変えたら、日常にある出来事を「面白い」と思うことはできるんじゃないだろうか。

「つまんないなあ」と思ったら世界はつまんないし、「面白いなあ」と思ったら、この世界は面白い。そう思うのだよ。


先輩、今頃どうしてるのかな。
ふとそんなことを思った夕時散歩。
最近「なんか面白いこと」ありましたか?

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