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なぜ私は、子供がいないことに「罪悪感」を感じているのだろう。

先日書いたこの記事をきっかけに、あるところから取材を受けた。

その中で「子供がいないことに『申し訳なさ』や『罪悪感』を感じていたのは、どうしてなんでしょうか?」という問いを受けた時、思った。

そういえば、どうしてなんだろう。
どうして私は、子供がいないことを「悪い」と思っているんだろう。

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上の記事でも書いたけど、私は若い時から「いつかは結婚して子供を産むもの」と思っていた。

でもそれは、「結婚しなければならない」「子供は産むべき」とか、そこまで強迫観念的なものではなく「大人になったら、結婚して子供を産むもの」という感じだった。

なんていうのかな。
それが「当たり前」だったし「普通」だった。

20代のそこそこの年齢になったら、付き合ってる相手と結婚して、結婚したら子供を産んで、数年したら家を建てる。

誰かに「そうしなきゃいけないよ」と諭されたわけでもないけど「人生って、そういうもんだよね」と思って生きてきた。


実際、世の中を見ても「結婚して子供がいる家庭」が、いわゆるスタンダードだ。

行政の制度もそういう「家族向け」だし、いろいろな想定がそこに向いている。
結婚して子供がいる。それが「普通」だし「当たり前」。

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でも大人になった私は、その「みんなが通る普通の道」から外れてしまった。
みんなが当たり前にできる「結婚」「出産」ができなかった。

必死に婚活したけどうまくいかなくて、誰からも選ばれなかった。
周りを見れば、みんな普通に結婚して子供を産んでいる。

すごく失礼なのだけど、私より性格とか見た目が悪い人とかだらしない人でも、結婚して子供を産んでいるのを見て「あの人にあって、私にないものはなんなんだろう」そう思ったりもした。

みんなが当たり前に歩く「普通」を歩けない。

「私はきっと、人として大きな欠陥があるに違いない。だから結婚できないし、子供も産めないんだ。私はダメ人間なんだ」

そう思うようになった。

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世間的にも「結婚して子供がいる人生が勝ち」「子供を産んでこそ一人前」という風潮をすごく感じる。

何年か前に、元レスリング選手 吉田沙保里さんの「昔のライバルは、今どうしてるのか?」という番組を見た。

そのライバルは既にレスリングからは離れて、ママになっていた。
彼女は「結婚して子供がいることが、唯一、吉田沙保里さんに勝っていること」と言った。

多分、番組に言わされてたんだと思うけど「え?」って思った。

沙保里さんも「結婚に出産、2つ負けてますね」って笑っていて、いや全然負けてないよ!金メダル取ってるんだよ!負けてないよ!ていうか勝ち負けじゃないよ!なんなんだよ!って、悲しかったし腹が立った。

でも、これが「世間一般的な考え」なんだなって思った。


私自身も以前、高校時代の友人から「○○くんも結婚するって聞いた?このままじゃ、オカダ負けちゃうよ?いいの?」と言われたことがあるし、

酒井順子さんが書いた『負け犬の遠吠え』というエッセイでは、「30代以上・未婚・子ナシは女の負け犬!」なんて定義されていた。


結婚・出産は勝ち負けじゃない。
そう思いたいけれど、世間はそういう目で見てくる。

だから「結婚・出産できていない自分は、人生負け組」というレッテルを、知らず知らずのうちに自分に貼っていったんだと思う。

私は欠陥があるダメ人間。
人生負けてます。
私が悪いんです。ごめんなさい。

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中でも一番「ごめんなさい」と感じるのは、両親に孫を見せてあげられなかったことだ。

私は一人っ子なので、私が子供を産まなければ、両親が孫の顔を見ることは叶わない。

特に父は「孫が欲しい」とよく言っていた。
なのに、孫を抱かせてあげることができなかった。
それが本当に申し訳ない。

今私は両親と一緒に暮らしていて、母の病院送迎だとか、父と山に登るだとかしていて、そういう話を人にすると「親孝行娘だね」と言ってもらうんだけど、「孫を産んでないから、親不孝ものですよ」って思ってしまう。

結婚して孫の顔を見せることが「最大の親孝行」。
それができなかったことが、ただただ申し訳ない。

この思いはきっと、両親が亡くなるまで続くと思う。

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今回、取材されたことで深く考えた「申し訳なさ」「罪悪感」の根源の部分。

両親への「申し訳なさ」は、おそらく両親が生きている間は消えることがないだろう。

でも、世間の目とかそういうものは少しずつ手放したいと思えた。

たかだか結婚してない、子供がいないだけのこと。
自分の人生、もうちょっと許してあげようよ。


こんな風に思うきっかけになったハッシュタグ「#生涯子供なし」に感謝。
そして、取材いただいた方に感謝。

にしても、「取材」だなんて人生初めての経験。
47年生きてても、まだまだ人生初はたくさんあるのだなぁ。

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