問いを深めるために:ウォーレン・バーガー『Q思考 ― シンプルな問いで本質をつかむ思考法』
「アイディアはつねに「疑問」から生まれる」。では、その《問う力》について真剣に考えるとはどういうことなのか。本書は著者自身のそんな問いから生まれている。問うという行為の必要性、価値、よい問いの例、問いを妨げるもの、よい問いに近づくための工夫。本書は《問い》にまつわる著者の思考の軌跡だ。
いわゆるHow-to本とは性格が少し異なる。よい問いをつくる手順がレシピのように書かれた本ではない。本書の原題は”A More Beautiful Question”。
著者は「美しい問い」をこう定義する。
本書には「美しい問い」を発見するために著者が収集したさまざまな知恵がそこかしこに書かれている。それらを実際に試し問い続けることこそ「美しい問い」へ読者が到達するための最善の道だ。本書は、読者が自らの「美しい問い」を発見するための最初の一歩を踏み出すためのガイドブックだ。
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本書には著者のジャーナリストとしての洞察に満ちたフィルターを通して編纂された知恵がちりばめられてられている。その知恵は辞書のようには配置されない。森の中で新しい発見をしながら散策するように描かれている。
著者が勧める知恵は即物的というよりは内省的だ。たとえば著者は「なぜ?」という問いのために必要なこととして下記をあげる。
そして、そのための工夫として下記のような実践を提案する。
著者が求めているのは哲学的で答えのない質問ではない。著者が本書で対象としたいのは、行動に結びつく疑問、目に見える形で確認できる結果や変化に結びつく質問だ。著者は理論物理学者のエドワード・ウィットテンの言葉を引用する。
示される工夫が内省的なトーンを持っているのは、著者が問いという行為を世界を構築する手段だと考えているからだろう。だからこそ、著者は、ポジティブな問いを推奨し、下記のような言葉を引用をする。
美しい問いが世界を創造する。それが著者からのメッセージなのだ。
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