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現在・過去・未来

昨日から渡辺真知子の「迷い道」が頭の中でリフレインして止まらない。

現在過去未来 あの人に逢ったなら
私はいつまでも待ってると 誰か伝えて
まるで喜劇じゃないの
ひとりでいい気になって
さめかけたあの人に 意地をはってたなんて
ひとつ曲り角 ひとつまちがえて
迷い道くねくね

好きな歌には歌詞が好きなものと曲が好きなものがあるが「迷い道」は間違いなく後者だ。それでも冒頭の「現在・過去・未来」という部分だけは強く心に響く。

時間の流れから言えば「過去・現在・未来」だろう。そして「あの人に逢ったら伝えて」というのだから過去や現在はあり得ない。伝えられるのは「未来」だけのはずだ。そんな理屈の上での論理性や整合性を軽く飛び越えていく心地よさがこの歌の冒頭にはある。

「現在・過去・未来」という順序が心に響くのは、現在は過去を意味付け、未来は現在を規定するからなのかもしれない。

未来も過去も「二重の偶発性」の中にある。正確には「過去」と「現在」、「現在」と「未来」とが二重の偶発性という曖昧さの中にあると言ってもよい。

現在・過去・未来のいずれの時制の中であっても、私はあの人と再び出会ったら変われるのだろうか。それとも変われないのだろうか。その不安定な曖昧さを「喜劇」と歌うところが、この曲のわかりやすさとうらはらにある。

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