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Collective Dialogues

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創造的で豊かな対話を実践するための工夫やヒント
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#対話

Inspiration Seeds vol. 006:対話の場の仕組みと仕掛け

オンラインでの打合せも増え、対話について意識することが増えたような気がします。では、よい対話の場で行われていることは何なのでしょうか? なにかよい秘訣はあるのでしょうか。よくわかりません。そこで、普段から対話やコミュニケーションの場について考えている高柳さんと『よい対話を生み出すには』について聴いてみたい思います。

話すとはどういうことなのだろう

1月1日に地震があった。1月17日で阪神・淡路から29年がたった。なんだかつい最近のように思い出される。 そのことを仙台の人に話したら、「阪神・淡路のときは学生で、自分はまだそのとき神戸には行ったこともなかったから、あんまりわからなかったんだよね。東北の地震が起きて初めてわかったよ」と言っていた。確かにそんなものかもしれない。 阪神・淡路のとき、私は垂水区霞ヶ丘というところのマンションに住んでいて、窓からは明石海峡と淡路島が見えた。つまり、震源が見える場所に住んでいた。

対話の要件

対話が生まれる要件とはなんだろうか。ひとつには、パターン・ランゲージ「対話のことば」で記述されたような心的態度を参加者のそれぞれが意図的に実践することだろう。 ふたつめの要件は参加者の動機だろう。もちろん、その動機は参加する人ごとに異なる。明示的かもしれないし、曖昧かもしれない。必要性かもしれない、期待かもしれない。 いずれにせよ、その場にいるという事実は、参加者による関与・寄与の間接的な意思表明となる。対話という文脈でいえば、何かを話したいという気持ち、聴きたいと思って

対話で生まれる多様な気づき

2020年8月18日の午後、熊本県下の高等学校31校をオンラインで結ぶ、熊本県高等学校家庭クラブ連盟が主催する2020年度第57回指導者養成講座が行われました。 テーマは「対話で生まれる多様な気づき」。「旅のことば」というカードを使いながら対話のセッションをオンラインで実施しようという企画です。 熊本県には分校を含め82の高等学校がありますから、新型コロナの状況下で、熊本県下の高校全体の約40%をオンラインで接続し、対話のセッションを実施するという、とても実験的でチャレン

ひとつの優れた回答:井庭崇・長井雅史『対話のことば』

2011年から2019年にかけて、ずいぶんとワークショップを開催した。 《対話》についてもいろいろと考えたが、もし何かよい本を2冊あげよと言われたら、デヴィッド・ボーム の『ダイアローグ――対立から共生へ、議論から対話へ』と、井庭崇・長井雅史の『対話のことば オープンダイアローグに学ぶ問題解消のための対話の心得』を挙げたい。 『対話のことば』は、慶應大学SFCの井庭さんと当時4年生だった長井さんが始めたプロジェクトから生まれた本だ。 このプロジェクトは、オープンダイアロ

対話したいなら「訊く」

大学では流行とか遊びとか上っ面の話ばかり、もっと腹を割った話ができる場や仲間がほしい、という若者の声をよく聞く。私も若い頃、同じ悩みや抱えていたから、とても共感する。他方、大人でも、話すに足る仲間や場が見つからん、と嘆く声も聞く。もっと本音で話せる仲間や場がほしい、と。 とても簡単な方法が。 自分が話すのではなく、相手の話を訊くこと。否定せずに関心をもって傾聴し、問いを発して会話の展開を促す。すると、普段話さないような話題も飛び出す。そして話をひとしきり訊くと、今度はこちら

自分と他者を知るための哲学対話で、"思い込み"から自由になろう (二村ヒトシ 映像ディレクター) #つながれない社会のなかでこころのつながりを

 現代は、人の数だけ恋愛の幸福と不幸があるといっても過言ではないでしょう。  映像ディレクターの二村ヒトシさんは著書を通じて、恋愛でどう幸せになるかを説いてきました。自分と相手の持つ〈心の穴〉の形を知り、思いこみから自由になり、自分と相手について本質的な理解をすることで、より幸せな恋愛ができるということです。  本稿で二村さんは、自分の考えや心と向きあうために哲学対話という手法を勧めています。他者や自分自身との対話を通じて、思ってもみなかった発見をえて、あなたがより生きや

組織に対話の場をどう持ち込むか

『ダイアログ・ファシリテーターのガオリュウ です。』 2008年あたりに勉強会でファシリテーターを名乗り始めた頃からこう名乗っていました。「話し合う」というその行為自体はさほど難しくないものでありながら、相手との関係性を考えると言いたいことが言えないとか、一歩踏み込んだ発言ができないということはよくあるのではないでしょうか?その時にファシリテーターという存在がいることで、それぞれの考えを引き出したり、人と人との間に入ることで「いい感じ」の話し合いができたりします。特に組織の中

Inspiration Seeds vol. 001:ファシリテーション

新型コロナの時代、人との関わりが薄れたと感じている人は多いと思う。他の人と会う機会が減り、誰かとじっくりと話す機会も減ってしまった。だからこそ、改めて対話やファシリテーションについて話してみた。