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鑑賞*米の字に雑巾縫ふや文化の日(2)

内山 靖子

 作者の作品は、絵本を読んで聞かせてくれているような一物仕立ての句が多く、二句一章の取り合わせの句は数少ない。句もその一つだが、その分、読者が想像を働かせて楽しむ余地が大きい。

雑巾は、専ら実用本位で古布などを何枚か重ねて、補強のために縦に横に斜めに縫ったもので、その縫い目には機能以外の意味はない。

句は、そこに「米」という文字を読み取ることで刺子の作品のようになったのである。

文字は文化を支え、また文化そのものでもあるから、「文化の日」との配合になるわけだが、想像はそこに収まらない。

 戦後、帝国議会では、日本国憲法の公布の日を十一月三日と定め、貴族院ではこの日を憲法記念日として祝日にしようと可決した。

ところがGHQの反対により憲法記念日は施行日の五月三日になり、十一月三日はGHQの勧めにより、憲法の理念から「自由と平和を愛し文化をすすめる日」とされたとのことである。

つまり、文化の日の本意は「憲法公布記念日」なのであり、祝日の制定にはアメリカの影響を強く受けているのである。

「米」の字に「米穀」と「米国」の両方の意味を重ねて思う所以がここにあるのである。

(岡田 耕)

(俳句雑誌『風友』平成三十年七月号)

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