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『シン・エヴァンゲリオン劇場版』について

 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012年11月17日公開)から8年以上の沈黙を破り、2021年3月8日に『シン・エヴァンゲリオン劇場版』がついに公開された。約8年ぶりのシリーズ新作にして完結編。公開初日は平日の月曜日にもかかわらず、長らく待ち望まれていた映画を渇望する多くの人達でにぎわっていた。自分もそのうちの一人だった。 【※以下、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の内容について言及しています】  前作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』でカヲルを目の前で失ったショック

    • 『あのこは貴族』について

       映画『あのこは貴族』は、主人公・榛原華子(門脇麦)がタクシーに乗って、2016年の元日の東京の街並みを眺めているところから始まる。開業医の箱入り娘として育った彼女は婚約者と別れ、彼を紹介するはずだった親族との集まりの場に一人で向かっているのだ。  親戚が集まるお正月の夜といっても、実家のテレビで『芸能人格付けチェック お正月スペシャル』が流れる中、鍋やおせち料理をつつきながら、各々の近況を報告するようなものではない。華子の親族はお金持ちらしく、ホテル内の料亭にて、小鉢の一つ

      • 星野源『創造』について

         2021年2月17日、星野源の新曲『創造』がリリースされた。  「スーパーマリオブラザーズの35周年記念テーマソング」というお題に対して、星野源は任天堂にリスペクトを捧げた楽曲を制作した。これがなかなか楽しくてヤバい。リリースされてから1日も経たないうちに何度もリピートしているが、飛び跳ねるようなサウンドが楽しくて、自然と身体が動いてしまう。スターを手にしてキラキラ輝くスーパーマリオがBダッシュを続けているような無敵感がこの曲全体に通底している。  自分はあまりゲームをや

        • 『花束みたいな恋をした』について

           坂元裕二が書く物語には、実在のカルチャーや固有名詞がよく出てくる。例えば、2013年にフジテレビ系列で放送されたテレビドラマ『最高の離婚』では、結夏(尾野真千子)が男性から映画『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(監督:アン・リー)の鑑賞に誘われる。ドラマの放送時期と同じタイミングで日本公開された映画の題名やポスターが登場することで、テレビを見ている自分の現実とドラマの中の世界がリンクしたような不思議な気分になった。  映画『花束みたいな恋をした』も例外ではない

        『シン・エヴァンゲリオン劇場版』について

          2020年映画ベスト10

           例の感染症のせいで、公開が延期になった映画も多かった2020年。例年、鑑賞した新作映画の中から見て良かった作品を、その1年間のベストとして年末に選んでいますが、今年も10本の映画を選びました。選んだ10作品について自分なりに感じたことを10位から順番に書いていきます。 10位 僕の好きな女の子 2020年10月3日鑑賞。  又吉直樹の同名エッセイを玉田真也監督が映画化。テレビドラマの脚本を書いている加藤(渡辺大知)は美帆(奈緒)と「友達以上、恋人未満」の煮え切らない関係を

          2020年映画ベスト10

          『本気のしるし 劇場版』について

           2019年10月、テレビドラマ『本気のしるし』の放送がスタートした。原作は星里もちるの同名漫画で、深田晃司監督の手によって映像化された。名古屋テレビ放送(メ〜テレ)制作のドラマであり、自分が住んでいる地域の局では放送されていなかったため、テレビ番組無料配信サービス『TVer』で毎週試聴していた。  ドラマ版の放送終了からしばらく経ち、2020年10月に約4時間の劇場版が映画館にて公開された。今回の劇場版はテレビドラマ版のその後の続きを描くものではなく、全10話のテレビドラマ

          『本気のしるし 劇場版』について

          『TENET テネット』について

          まず、見終わった後の正直な感覚としては、「話の大枠を把握するのが大変で、自分の理解が及ばない部分もあって疲れた…」といったものでした。見ている間に、細部が気になり出してしまうと、話を見失かねないというか。そのため、翌日にもう一度本編を見たことで、この映画について面白く感じた点とそうではない点を自分の中で整理することができました。 【※以下、『TENET テネット』の内容について触れています】 この『TENET』という映画は、"スパイアクション"と"時間逆行SF"という2つ

          『TENET テネット』について

          『MIU404』について

          ………『MIU404』ってどう読むんだ? 2020年2月13日、「新型コロナウイルス感染症」という言葉が徐々に日常の景色を侵食していた頃、ふとスマートフォンを開くと、新しいテレビドラマの制作発表の話題がネット上を駆け巡っていた。その初めて目にする『MIU404』という言葉を何と読むべきなのか考えていた。 正解は「ミュウ、ヨンマルヨン」 タイトルの“MIU”とは Mobile Investigative Unit(機動捜査隊)の略称で、“404”は主人公の機動捜査隊員の二人

          『MIU404』について

          2019年映画ベスト10

          1年間に見た新作映画のベストを発表するのが自分にとってすっかり年末の恒例になっていて、既にTwitterでもベストは挙げているんですが、改めて各作品について感じたことをなんとなく整理したくて、今年は初めてnoteに書きまとめることにしました。では、10位から一気にいきます。 10位 ホットギミック ガールミーツボーイ 2019年12月28日鑑賞。 相原実貴の同名の少女漫画を山戸結希監督が実写化。今夏の劇場公開時には見に行けず、数日前にNetflixで見たばかりです。 自分に

          2019年映画ベスト10