ルールは守る気はあります!無免ですけど!(無免許過失運転致傷) 傍聴小景#46
今でも学生時代の部活動メンバーと話をすると、いろんな思い出に花を咲かせるんですけど、さすがに卒業して15年以上経つので曖昧な記憶も増えてきました。悲しいですけどね。
人によっての記憶のあるなしを聞いてると、その人にとって何が印象的だったのか今になっての発見があったりするんですけど、明らかに自分の記憶とは異なる内容の場合もあります。別のことと混同しているのか、何か改竄されてしまっているのか、はたまた嘘をついているのか。
まぁともかく、人の記憶というのは、その人にとっての何かを表すものだという話です。
はじめに ~名前だけでダメさがわかる罪名~
漢字で見てのごとく、無免許で運転して人にケガを負わせたという罪名です。件数としてすごく多いとまでは言いませんけど、定期的に行われています。罪名を見るたびげんなりします。
無免じゃない過失運転致傷だと、過失の度合いが気になるポイントではあるんですが、この場合はどうあがいても無免ですからね。意識の低さが如実です。
事件の概要(起訴状の要約) ~大事故ではないが…~
言い方悪いかもですが、9日ほどのケガで済んでよかったです。
あと珍しいのが、バックの最中の事故というもの。駐車場などでバックで入れようとして歩行者と…というのはあるのでしょうが、車とというのは珍しい気がします。後ろの車も驚いたでしょうね。
そういえば私も一度だけ似たのがありました。登り坂途中の赤信号で停車して、青になって発信しようと思ったら、前の車がズルズルと下がってきたことが。そのときは事なきを得ましたが、僕も後ろに下がることもできず、どうすればいいか焦ったなぁ。
検察官が証拠として提出した資料や供述など
これ書いてて「?」と書かざるを得なかったのが、免許の取り消しの具体的な手順がわからないので、検察官もなにか言ってたんですが、ちゃんと聞き取れなかったんですよね。まぁとにかく然るべき対応をしなかったようで、本来する必要がない警察が家に行って告知ということになったようです。迷惑な人だ。
無免で事故を起こすと逃げちゃう人もいますが、まぁそうしなかった点だけはギリギリ理性を持っている人と評価しましょうか。狭い道だったから、単に逃げられなかった説もありますが。
降りてきて、示談になりませんかと相談に来ているあたり、ヤバいなぁと思ったのでしょうね。
かと、思いきや・・・
被告人質問 ~ルールを守る気はありました~
てっきり、弁護としては無免であったことの自覚と、今後しないための方針を明らかにするものと思ったのです。ですが、想像と異なる展開となっていきました。
まさかの、無免許と思いませんでしたと言いだしました。この点で、なにか弁護している感じでもないんで、弁護人の方針というより、被告人は本当にそう思ってるっぽいんです。
平成30年に取消処分を受けているので、令和4年の事故当日まで身分証明としても使用もしないので気付かなかったということなんでしょうか。さすがに厳しいなぁ。
その後、弁護人は事故の程度が大したものでないことを質問で確認。車が当たった感覚があったか、揺れたかなどを聞いていきました。
やはり今回の関心は被告人の無免許の意識についてですね。
検察官から質問します。
それでルールを守る気があったとは笑止千万。
そういう事態にこそ、どう対応を見せるのかが大人というものでしょう。
それでルールを守る気があったと笑止千万。(2回目)
もうちょい、言い方というか、言い訳なかったのか。
これ、アウトじゃないですか。
写真が効力持つ云々ではなく、普通自分の免許を写真にしないでしょ。それって、いつ持っていかれるかわからないから、「これでいいと思った」というために保存しておいたってことでしょ。
なんか勝手にゲロった感じもしたのですが、特に追求せず、似たような質問を連発して質問は終了。
あ、ちなみに運転自体は、ほぼ毎日していたみたいです、はい。
それでルールを守る気があったと笑止千万。(3回目)
最後に裁判官からも質問があります。
あー、じゃあもうそれでいいや!
さすがに、この答弁で僕も「もしかして、本当に忘れていたのかも…」と思うほど甘ちゃんではないですが、気になるのはこの答弁でどういう方向に持っていきたかったのか全然わからなかったんですよね。
まぁそのあたりも考えていないからこその無免許なのかもしれませんが。
求刑は懲役十ヶ月でした。判決は見ていませんが、十中八九執行猶予でしょう。
身体拘束されているわけでもない、刑の執行は猶予されるというので、彼が無免で運転しない環境が作られるものかと本気で疑問に思ってしまいます。
今回は軽傷でまだ良かったですが、言うまでもなく人の命を奪いかねない車の運転。失ってからの反省では遅いですし、その勉強のために当然誰も犠牲になどなりたくないでしょう。
このような裁判を傍聴していると、交通事件の刑事罰というのはどういうものが適切なのか頭を悩ませてしまいます。
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毎月約100件の裁判を傍聴している中から、特に印象深かったもの、読者の方に有意義と思われるもの、面白かったものを紹介します。 裁判のことを…
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