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【各話読み切り】ざんねんマンと行く!

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飽和状態のヒーロー業界に、こそり足を踏み入れた男あり。その名はざんねんマン。多くの場合ヘマをやらかし、たいした見せ場もなく最終盤を迎えるその姿は、さながら現代のしがないサラリーマ…
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#人助

【ざんねんマンと行く】 誰の役にも立たない人間

「僕なんか、いてもいなくても同じだい」

高校2年生の哲郎は天井を仰いだ。

勉強はからっきし。運動神経なんてさらさら。おかげに髭が濃くて、おじさんみたいな顔をしている。それに加えて気弱なところがあるから、友達なんかろくにできない。学校でも、自分はなんだか空気みたいな存在だよ。

お父さん、お母さんは優しいけれど、僕の空しさまでは気付いてもらえない。

誰にも求められない、誰の役にもたたない。こん

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【ざんねんマンと行く】 トチる噺家編

大人に近づくにつれ、よく言われたもんです。

「個性を出せ」と。

部活でも趣味でも、個性を出し、自分らしさを磨くことで、学校や会社でも認められる存在になれるんだと。

でもね、そんな無理して個性って磨かないといけないものなんでしょうか。

胸張って言える特技や趣味がなくても、いいんじゃないでしょうか。ないことそれ自体も、個性かもしれないじゃないですか。

「えぇ~、昔々、あるところに、こどものな

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