画像広告における背景色・文字の大きさ・フォントの効果
※アンケートにご協力くださった方などで、結果のみ知りたい方は目次の「結果」からご覧ください。
はじめに
日頃私たちが目にしている広告には、様々な工夫がされています。
例えば、缶コーヒーの広告には男性タレント、紅茶の広告には女性タレントがよく起用されているイメージがありませんか?
これは、缶コーヒーは働く男性を、紅茶は女性をメインターゲットに設定し販売されていることが多いからです。
このように、起用するタレントの性別や文字のデザインなど、広告には消費者を惹きつけるための様々な工夫が商品ごとにされています。
では、「多くの人が惹かれる広告」とはどのようなものなのでしょうか?
商品によって「最適な画像広告の要素」が存在するのでしょうか。
今回は我々大学生にとっても身近な「チョコレート」を題材にして、この疑問について考えていきたいと思います。
実験の手法
・Googleフォームを用いたアンケートを実施
・期間:2020年6月5日~6月18日
・福島大学の大学生を中心に363件の回答を取得
・回答者の特性として「性別」「年齢」「職業」「収入」「チョコレートが好きか(5段階)」を聞き取り
【質問内容】
架空の「安価なチョコ」と「高価なチョコ」を対象商品に想定し、それぞれ「背景色」「フォント」「文字サイズ」の組み合わせを入れ替えた広告を複数作成。
背景色:赤/紫/青
フォント:ポップ調/ノーマル/エレガント調
文字サイズ:大/中/小
その中からランダムに選ばれた2つの広告のうち、どちらを買いたいと感じたかを選択してもらう。質問は各商品につき28問。
※事前に作成した直行表に基づき、質問数を少なくしています。
仮説
この実験を行う上で、私たちはいくつかの仮説を立てました。
<安価なチョコレートについて>
・文字サイズが大きい方が選ばれやすい
・ポップ調のフォントを使用している方が選ばれやすい
・背景色が赤色の方が選ばれやすい
<高価なチョコレートについて>
・文字サイズが小さい方が選ばれやすい
・エレガント調のフォントを使用している方が選ばれやすい
・背景色が青色の方が選ばれやすい
<その他>
・背景色が紫色の広告は選ばれづらい
※背景色についての仮説は、「背景色と文字色の組み合わせに対する視認性の構造」(佐部利 2008)の結果を参考にしました。
結果
たくさんの方々にアンケートのご協力を頂きました。
あらためて感謝申し上げます。
得られたデータを分析した結果を、こちらの表にまとめました。
ここから読み取れることとして、主に以下のことがあります。
・安価チョコの広告は、「背景色が赤」「フォントがポップ調」「文字サイズが大きい」ものが選ばれやすい(仮説通りの結果である)こと
・高価チョコの広告でも、「ポップ調フォント」が多く選ばれていること
・高価チョコの広告は、「文字サイズが小さい」ものが選ばれていること
したがって、安い価格帯のチョコレートの広告を作る際には、背景色を赤色にし、ポップ調のフォントを用い、文字サイズを大きめにすると、多くの人の興味を引くことが出来ることが分かりました。
しかし、高い価格帯のチョコレートに関しては、仮説と反する結果も見られます。例えば、仮説では背景色が青色が選ばれると考えていましたが、実際に選ばれたのは赤色の広告でした。
これについては、私たちが普段からよく見かけるチョコレートは「ガーナ」や「明治」などの赤色のパッケージのものが多く、チョコレート=赤色という認識が無意識のうちにあるからではないかと考えられます。
おわりに
今回の実験では、「多くの人が惹かれる広告」とは何かを、チョコレートを題材にして考えてきました。その結果、商品の価格帯によって、効果的な広告のスタイルや要素が存在することが分かりました。
広告のフォントや背景色などのひとつひとつの要素に目を向け、自分なりに分析することによって、作成者の工夫に気づくこともあるかもしれません。
※さらに詳しい研究結果を現在作成中の論文にて発表予定です。
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