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水深800メートルのシューベルト|第954話

「そんな事はわかっているさ、メリンダも。だから、あっちから一緒に暮らせないと前言を翻してきたんだ、多分な。でも、心の奥底では君を求めている」


 ゲイルさんは、真面目な顔をして、僕の肩に手を置いた。
「僕はこれで良かったんでしょうか?」
 そう言ってから、人に同意を求めているだけだと気づき、すぐに訂正した。


「いや、これは自分で決めなきゃいけない事でした」
「わかってきたじゃないか、アシェル」
 彼は僕の肩にある白い花びらを摘まむと、風に乗せた。

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