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水深800メートルのシューベルト|第888話

アパートメントに続く舗装を入れた道は狭く曲がりくねっていて遠回りだと言って、彼はいつも公道から車停めの近くまで敷地の砂利を横切っている。僕は、一度そのことで管理人に怒られ、そのことをセペタに伝えたが、彼は「植物が植えてあるわけじゃないし、いいだろう」と、意に介さなかった。確かに敷地内の道路は、大きなキャディラックにとっては走りにくそうに見える。しかし、怒られるのは僕なのだ。


そんな事を考えていると左前方にある建物の出入り口から人影が現れた。柔らかくてふっくらとした体つきで、すぐにルース叔母さんだとわかった。僕は、まだ車が歩くくらいのスピードで止まり切らないうちにドアを開けて降りた。後ろからセペタの「おい、危ないだろう勝手に出るな」という子どもを咎めるような声がしたが、振り向かず、叔母さんの傍へ駆け寄った。

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