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水深800メートルのシューベルト|第878話

 ゲイルさんは、梯子を下りてくると、「艦に戻って来い」と全員に告げた。彼は梯子に手を掛けたまま周囲をじっと見据えていた。潮を含んだ空気を吸いに出ていたみんなはまたぞろぞろとハッチ目指して列をなした。僕もロバートの後ろから、ゲイルさんの居場所を目指して、足を滑らせないようにしながら戻って行った。ゲイルさんは、梯子に手を掛けたまま、散らばった蟻が巣に戻ろうと群がって来るのを見届けていた。兵曹長が近くに来た時に、ゲイルさんは苦々しい口調で言った。


「もうすぐ接岸だ。そもそも、外に出ていいという許可は出ていないはずだ」
「禁止もされていませんがね」
 ドビーは軍医をからかうように言った。

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