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水深800メートルのシューベルト|第957話

 ゲイルさんは遠くを見つめていた。きっとママが死んだことを受け入れようと、ママを死なせてしまった自分と折り合いをつけようとしているんだ。ゲイルさんは、きっとまだ自分を許せていない、そんな気がした。


「僕もそう考えることにします。少なくとも今はメリンダに寄り添って生きるという道は幻だったと」
「君と彼女が話し合って出した結論なら、それでいいのさ」
 ゲイルさんは言った。


「親父! もう行くからな」
 ジョーが我慢できないといった様子でさっさとフェンスの向こうへと歩いて行った。ゲイルさんは「悪いな、人生の話はこの次にゆっくりしよう」と言って僕の手を素早く握ると、息子を追いかけて行った。

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