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水深800メートルのシューベルト|第968話

「だってママ、いつも怒っているじゃないの。いつもお出かけの時に靴がふさわしくないとか、ズボンが破けているとか」
 娘の言葉に、彼女は顔を赤くして、照れ笑いを浮かべた。


「あれは怒っているんじゃありません。お願いしているのよ。パパ、これは良くないわって」
「あはは、いいじゃないか。パパはいつも頑張っているんだ。立派に勤めているよ」


 セペタはその巨体に似合わず、細やかな気遣いを忘れない。彼にはこれまで何度も救われてきたことを思い起こした。


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