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宿の危機

約20年間、日本の宿泊施設にお客さんを集客するという仕事をしてきました。「平日を埋めるには外国人集客をしましょう」や「口コミがよくなるように頑張りましょう」「SNS発信してアピールしましょう」。そんなことを言いながら集客を増やしてきました。

ただここに来て風向きが変わってきました。お宿での打ち合わせで、宿側から出る言葉は決まって、「働いてくれる人がいない」という嘆きに近い言葉です。「仲居さんがいないから、部屋を満室にできない」「掃除する人がいないから予約が取れない」「料理人がいないからたくさんのお客さんに料理を提供することができない」

つまり集客した所で、回せるスタッフが足りてない宿が多いのです。
宿の規模や形態(ビジネス、シティ、旅館)などにも変わってきますが、
サービスするスタッフが足りていない理由としては、「賃金が安い」「朝出勤して、中抜けして夜出勤と勤務体系が変則」「夜勤がある」など様々です。
掃除スタッフが足りてない理由は、お掃除スタッフは外注の所も多いのですが、思ったより重労働で、しかもイメージもよくありません。髪の毛1本でも落ちてたらクレームがくる厳しい環境なのに、賃金は高くない。募集してもほとんど応募がない。などです。

料理人不足も大きな問題です。とくに日本料理の料理人は、壊滅的に不足しています。どこの旅館も常に、日本料理の料理人を探していいる状況です。理由としては、未だに徒弟制度がある厳しい職場環境で、若い人があまり育っていないことでしょう。若い人はイタリアンやフレンチなどにいってしまいます。それと日本料理は、したごしらえも多く、準備に時間がかかります。まぁ。だから世界的な評価も高いのですが。

と、こんな状況だということを一般の人にも知ってもらえるといいかなと思っています。
旅館に泊まった外国人に言われたことがあります。「食事が2食ついて、スタッフが何でもサーブしてくれて、15000円って間違いじゃないのか」
こんなことにも言われました。「東京のホテルが8000円ってシステムエラーかなんかじゃないのか。安すぎる!」って。

そろそろ宿泊料金を上げて、給与をよくし、職場環境を変えていかないと、どんどんなくなっていってしまいます。外国人だけ値上げしている宿もちらほらでてきています。

日本人のお客さんが今すぐできることは、楽天、じゃらん、bookingなどで予約せず、公式サイトから予約することです。こんなこと言ったらOTA(オンライントラベルエージェンシー)に怒られるかもしれないですけど。
だって、OTAから入った料金からは約10%程度手数料を取られますから、
1泊15000×2名=3万円だったら、手数料は3千円です。月に100組分のお客さんの手数料を払うと、30万円×12ケ月で360万円節約できるわけです。何もしないで。ボーナスも少しはプラスされます。とは言え、OTAはポイントが付くので、こちらで予約する人はなかなか減らないのが現状です。
宿への募金と思って公式サイトで予約してもらえると嬉しいですね。

じゃあ、僕に何ができるか。
宿での一番の体験はお部屋です。
ピシッと清掃されたお部屋を見るたびに、お掃除してくれる仕事の丁寧さを感じます。プロ意識というか、これぞ綺麗さを追求する国の掃除レベルと。
つまり、お部屋掃除のクオリティは日本文化の1つだと思っています。
新幹線の掃除スタッフが、世界中から高評価を得ているように、
宿泊施設の掃除スタッフももっと高評価を得ていいはずです。

ということで、宿泊施設に特化した・お掃除スタッフウェブメディアを作って、たくさんの人にアピールしたいと思います!!

その次は、料理人の育成。日本料理の専門学校はたくさんありますが、料理人が足りていないのが現状です。恐らく途中で脱落していく人が多いのでしょう。「50歳から日本料理人に転身!」とか「外国人の日本料理板前」なんかもありだと思っています。その道を作れたらと思っています。

と、長々と話しましたが、だって、お宿って、少しの時間でも非日常を味わる大切な場所じゃないですか。次の世代に残していかないと。。。


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