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なぜアメリカは弁護士が多いのか?

2022年ほどアメリカの弁護士が注目された年もなかったでしょう。

日本では裁判所に一度も関わることもなく一生を終える人が少なくないように思います。つまり、司法があまり身近なものではないのです。人口比で見ると、アメリカは弁護士が100万人を超えているのに対し、日本は以前より数が増えたとはいえ約4万人。雲泥の差ですね。

アメリカの弁護士は競争が大変激しいので、ambulance chaser(救急車を追いかける人)といわれることもあります。交通事故に遭って救急車で運ばれている人を弁護士が見かけたら、救急車を病院まで追いかけていって、被害者やその家族に訴訟しないかと持ちかけるという旺盛なビジネスマインドぶりを皮肉る言葉ですが、そんな言葉が人口に膾炙しているくらい、弁護士はありふれたものになっています。

日本で司法が身近な存在にならないのは、弁護士の数が絶対的に足りていないからだ、つまり需要はあるのに供給がないからだという考えの下、1990年代後半にロースクール構想が持ち上がり、全国各地の大学がこぞってロースクールを開講しました。

しかし、今ではこのロースクール構想は失敗だったと見ている人が多いようです。ロースクールが当初のお偉方の思惑通りに機能しなかったのにはさまざまな要因があるのでしょうが、司法需要のないところに供給はない、というのが正直なところではないでしょうか。

ではなぜアメリカは「訴訟大国」になってしまったのでしょうか? 以前読んだなにかの本で、「アメリカでは当事者同士が話し合っても分からないからだ」という説が紹介されていてなるほどと思いました。

アメリカ合衆国は土地が広大で、なおかつ世界各地の移民によって形成されてきたという歴史があります。ですから、文化的背景も常識も何もかもが違っている人同士がもめ事になったとき、「とにかく話せば分かる」という状況になりにくいのだそうです。

その結果、当事者同士が直接話し合って解決するよりも、法廷で第三者を交えて判断してもらうという習慣が根付くようになり、それに応じて弁護士の需要と役割も増していったというのです。

これに対し、日本では依然として当事者間の話し合い解決をよしとする考え方が根強いように思います。もっとも、みなさんご承知の通り、いま日本では人口減少と超高齢社会化が同時に進行しています。その解決策の一つとして、移民を大量に受け入れるべきだと考える人が出てくるのも無理からぬことでしょう。

日本が今後移民大国になっていくのなら、米国と同じように「揉め事ができたらとりあえず法廷で」が主流になる日がいつかやってくるかもしれません。そういうギスギスした社会が住みやすいかどうかはまた別問題ですが。

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