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大石酒造の水の話

大石酒造の仕込み水

地下水

大石酒造のある阿久根市は海沿いにあり、塩分の多い温泉が出ることで知られています。
また周辺には山々も多く地下水資源にも恵まれており、大石酒造で仕込む焼酎は自社の井戸から地下水を汲み上げたものを使用しています。
(*「がんこ焼酎屋」「神舞」にはこの地下水ではなく阿久根市大川の湧き水を使用しています。詳しくは記事の後半をご参照ください。)

仕込みの季節の作業は、日の出とともに水汲みから始まります。

神社入り口にある鳥居

井戸はのどかな風景が広がる気持ちのいい場所にあり、近くには神社があります。
入り口にある鳥居の奥には静かで心地よい参道があり、森の中を進むと社があります。

参道

文珠院(もんじん)

この井戸のある辺りにはかつて祈祷を行ってきた真言宗の文珠院寺があったことから、「文珠院」の名がつけられたそうです。この文珠院寺の本尊は文珠菩薩像であり、寺名もこの本尊から取ったもので、由緒ある本尊との言い伝えが残されています。
それは、その門徒の一人であったと思われる郷士の田中七兵衛直次が元禄九年に本尊の銘に書き残したもので、要約すると次のようなものだそうです。

”この文珠院菩薩はかつて聖徳太子が阿弥陀如来の四十八願に応えて仏師に四十八体の仏像を鋳造させ、日本国中の四十八国分寺に本尊として祀った。この仏像は、信州善光寺の無量寿仏並にその脇仏観世音、勢至の両仏を模写したもので、極めて由緒ある金仏であった。
その一つがこの文珠院の本尊で、長い年月の間に仏像の左手、蓮台、光背などが損傷し、これを京都に運び修復したが、その完成がこの元禄九年四月二十八日である。”

出典:阿久根の地名

真実かどうかはもはやわからないそうですが、この聖徳太子の鋳仏も本尊として同時に祀ったのかもしれません。

参考書籍:「阿久根の地名」

森の中にある社

 平出石(ひれでし)の水

がんこ焼酎屋」「神舞」の二つの銘柄には、阿久根市大川にある平出石の水という湧き水を使用しています。

この水には、明治十年に西南戦争に駆り出された村人が腹痛に見舞われ、ここの水を飲み治ったという伝説があります。
その頃から村人たちはここの水を利用するようになり、大正時代初期に現在の場所に村道ができたのを期に、竹を割りつぎ、現在の場所に水くみ場を設置したとされます。
今でも地元の人々に愛され、水汲みに来られる様子が見られます。

取水口のすぐ近くには川が流れており、川沿いまで降りられるようになっています。夏場に足を浸すとひんやり冷たく、緑に囲まれ、鳥の囀りや清流の音が聞こえる気持ちのいい場所です。

道も細く見つけにくい所にありますが、阿久根の「山の恵」を感じられる場所です。

✳︎地下水、湧き水は事前に水質検査をして基準を満たしているかどうか確認してから使用しています。


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