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「発信すること」について、ファッションと採用から考えてみた

oidypsです。早いもので今年ももうすぐ終わりますね〜 ⛄️

DP9のアドベントカレンダーの1日目に意気揚々と登録したものの、何を書こうか永遠に迷い散らかしたあげく、

今年自分が興味を持って突き詰めてきた「ファッション」と「採用」の両面から
「発信すること」について考えてみることにしました。

※ここでの「発信」を定義します

「発信」と一口で言っても、本当に色々な側面があります。
今回は、
「発信する主体の魅力を、主体独自の表現方法で世の中に広く公開すること」
と定義したいと思います。
わかりにくいと思うので、以下のようにイメージしてもらえればOKです。

発信に含まれる
・自社製品の特徴について、文章と写真を用いて、ブログで公開すること
・自社のカルチャーを、スライドを用いて、speackerdeckで公開すること
・自分のコーディネートを、写真を用いて、Instagramで公開すること

🙅 発信に含まれない
・自社製品の特徴について、お店に来たお客さんに口頭で伝える
・自社で働くメリットについて、候補者に面接で伝える
・メディアからのインタビューを受ける

ここで「発信に含まれない」に記載した手法についても広義の発信であるといえてしまうのですが、今回はあくまで「主体的な発信」に絞って考えていきたいと思います(ここ読み飛ばすと後々??となる方もいるかもなので強調しときます)。

👕 ファッションにおける「発信」

自分は日本のデザイナーズブランド、特に素材やシルエットにこだわった「ドメスティックブランド」の服をちょくちょく着るのですが、
まずは「発信」という点で大きく異なる2つのブランドを比較してみたいと思います。

ケース1. COMOLI

コモリ(COMOLI)は日本のファッションブランド。2011年に小森啓二郎(Keijiro Komori)が自身のブランドをスタートする。

“全ての洋服の原型は欧米から生まれ、ある目的の為に作られた物である。”という考えの基、“今の”日本の気候に合う、日本人の体型に合った、上質でシンプルな日常着を展開。

https://www.fashion-press.net/brands/3097

COMOLIは一言でいうと、ほとんど発信をしないブランドです。
シーズンごとのルック・公式サイトで商品のラインナップや直営店での販売情報については最低限発信しているものの、Instagramのアカウントもなければ商品のこだわりについて公式に発信されることもありません。

COMOLI 21AW COLLECTIONより

この記事での「発信」の厳密な定義からは外れますが、デザイナーの小森さん自身のインタビュー記事もほとんど見つからず、かなりミニマムな発信におさえられていることがわかります。

(それでも即完が相次ぐのがCOMOLIの恐ろしいところで、さらっと纏って様になるバランス感を作るのがめちゃくちゃうまいブランドだと思います)

ケース2. CIOTA

CIOTAは、岡山に本拠を構える縫製工場・生地製造販売会社、
株式会社シオタが立ち上げたアパレルブランドです。

私たちCIOTAの特徴は、原料の選別から、生地のデザイン、
生地織り、洋服のデザイン、縫製仕様の考案、縫製まで、
洋服作りにおけるすべての工程を自社で行えること。
そして、すべての工程に徹底的にこだわること。(後略)

http://www.ciota.jp/about/

CIOTAもCOMOLIと同様、古着をベースにベーシックでハイクオリティな洋服を作るブランドです。(個人的に一番好きなブランドですw)

CIOTA 21AW COLLECTIONより

CIOTAの発信は、ある種過剰だといえます。
ディレクター / デザイナーの荒澤正和さんのInstagramでは使っている素材・シルエットに対するこだわり・CIOTAでなければできない理由などについてとても熱量高く綴られています。

デザイナー荒澤さんのInstagram投稿。商品ごとに熱量高い文章が添えられている。

またCIOTAでは、母体であるSHIOTA株式会社・SHIOTAの生地開発部でもInstagramアカウントを持っています。こちらのアカウントでも現在の販売状況・商品の魅力や使用している素材の裏側などを発信しており、公式からの情報量が多いブランドであることは間違いないと思っています。

ブランドが「発信」する意味はあるか

ここまで見てきて、ファッションがお好きな方なら「ブランド公式の発信」に限定して話していることに疑問に感じることがあるかと思います。

そう、セレクトショップや雑誌・ファッション専門メディアの存在です。

アパレル業界ではブランドが直販するルート以外に、セレクトショップ側が展示会などを通じてピックしたアイテムを販売するルートが存在します。セレクトショップの存在感は非常に高く、それぞれのお店ごとにYouTubeやブログを通じて商品の魅力を発信しているため、ブランド側が直接消費者に発信するインセンティブは薄くなっているのではないかと思います。

また、それを裏付けるように雑誌やファッション専門メディアが発達している現状があります。ファッションに詳しいライターやキュレーターがブランドの良さを独自に広報してくれる側面がある以上、ブランドとしてはより良いものづくりやショップのプレスとの関係性に力を注ぐ方が構造上合理的だといえるのではないでしょうか。

では公式に発信をすることにはどんな意味があるのか?もしくは意味がないのか?
少し視点を変えて、採用の話をしてみましょう。

🧑‍💻 採用における「発信」

自分は特に中途採用における採用広報に携わってきたので、その観点から採用における「発信」について考えていきます。

採用における採用の「発信」は、いわゆる採用広報と呼ばれます。
一般的には自社メディアやnote、YouTubeなどを用いて自社社員の魅力やリアルなプロジェクトの裏側を見せることで、採用候補者に認知してもらうこと・興味を持ってもらうこと・入社後のミスマッチを防ぐことが目的となっているケースが多いです。
また、ほとんどの企業が自社で採用広報を実施することが多いのも特徴です。

メルカリの採用向けオウンドメディア「mercan」。更新頻度とクオリティの高さが特徴。

採用広報に少し携わった自分としては、「採用広報はやればやるだけ採用に良い影響がある」という感覚があります。(もちろん、一定の質を担保しつつという前提はありますが!)

この感覚を突き詰めてみると、次の2つの要因にまとめられると考えました。

  1. 採用市場が激化しており、継続的な「ファンづくり」が重要である

  2. 自社を広報してくれる媒体だけでは情報量が足りない

1. 採用市場が激化しており、継続的な「ファンづくり」が重要である

中途採用市場全体、特にエンジニアやデザイナーなど「クリエイティブ職」の採用は非常に競争が激しい現状があります。(エンジニアの求人倍率は10倍以上と言われるほどで、優秀な人材は各社が奪い合っているという状況です)

そんな厳しい状況の中で採用をしていくためには、候補者が「転職しようかな」と思ったタイミングで自社のことを想起してもらう必要があります。転職活動期間は長くても数ヶ月〜1年未満くらいであるため、会社としては継続的に発信を続けていくことで認知を広げ、ファンづくりを行うことが採用活動においては不可欠なのです。

ウォンテッドリー株式会社「リクルートメント・マーケティング入門」より

2. 自社を広報してくれる媒体だけでは情報量が足りない

採用市場においても外部メディアや人材紹介エージェントなど、自社の魅力を代わりに広報してくれる媒体は存在します。

ただ、こうした媒体に頼りきりでは圧倒的に情報量が足りません。人材紹介エージェントは転職を本格的に検討しはじめた層にアプローチできますが、ファンづくりのフェーズではほとんど活用できません。また外部メディアにインタビューしてもらうこともできますが、月に2本も3本も記事を書いてもらえるわけではありません。

自社について「発信」を増やしていくためには、どうしても主体的に「発信」していくことが不可欠だといえるでしょう。

結局のところ、ファッションと採用の「発信」はなにが違うのか?

ここまで書いてきたことを一度まとめるとこんな感じです。

👕 ファッションの「発信」
:ブランドによって「発信」の程度は異なるが、主体的に発信しなくても売上への影響は小さそう
←要因①:セレクトショップが販路の中心となっているため主体的に発信する必要性が薄い
←要因②:ファッション専門メディアや雑誌など、ブランドを取り巻く広報ネットワークが成熟している

🧑‍💻 採用の「発信」
:主体的な発信の重要度が高く、やればやるほど採用への影響は大きそう

←要因①:採用市場が激化しており、継続的な「ファンづくり」のための発信が必要
←要因②:自社を広報してくれる媒体は存在するが、それだけでは情報量が足りない

では、このような違いはなぜ生じるのか?
上記で述べた「広報ネットワークの成熟度合い」という要素ももちろんありますが、自分はこれ以上に「物理的な商品の有無」という要素が大きいのではないかと思います。

アパレルでは当然のように物理的な商品があり、消費者目線では商品を直接みて、感想を持って、手元に残してファンになることができます。
もちろんブランドが認知されないと意味がないわけですが、そこはセレクトショップなどのネットワークによって日々「隠れた良いブランド」の掘り起こしが行われていくという構造が存在するわけです。

一方企業の採用では、物理的な商品がありません。強いていえば「社員と会って話す」ことが採用における商品と言えなくもないですが、企業そのもののカルチャーを感じ取るためにはそれだけでは不十分です。
すなわち候補者目線では、企業の中の人が主体的に発信した言葉やこだわりを通じて、実体のないカルチャーに対して具体的なイメージを持つことができるようになるのだといえます。

このように考えると、ひとくちに「発信」といってもジャンルによって大きく性質が違うことがご理解いただけるかと思います。

さいごに

自分はアパレルの専門家でも採用のプロでもないので浅いところだらけだとは思いますが、どうにか結びつけて文章にしてみました。。ご意見や感想などお待ちしてます。語りましょう💪

2021年はコロナで外出が制限され、アパレルにとっては特に厳しい年になったかと思います。来年から自分は社会人になりますが、ファッションを楽しむ気持ちを忘れずに日々暮らしていきたいものだなあと思います😉

ファッションも採用も面白いね

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