在宅勤務でユーザーテストをやってみた備忘録
新型コロナウイルスの影響で在宅勤務がかれこれ2ヶ月半続いています。
そんな中、アプリの開発中の施策でユーザーテストを実施する機会があり、試したことや実際にリモートでのテストを行っての気づきなどがあったので備忘録として残しておこうと思います。
準備するもの
・インタビューガイド(タスク指示や質問内容)
・行動シナリオとそれに基づく記録シート
・プロトタイプ
・画面共有のできるビデオチャットツール
準備するものは通常のユーザーテストで必要なものにプラスして、画面共有のできるビデオチャットツールが必要になります。今回のテストではGoogle Hangouts Meetを使用しました。
また、被験者が簡単にプロトタイプにアクセスできるよう、プロトタイプはリンクで簡単に共有できるものがおすすめです。今回のテストではFigmaを用いました。
(行動シナリオやタスクの設計、評価などに関してはこちらの記事を参考にしています。テンプレートもあるので設計にとても役立ちます。)
パイロットテストの実施
本番のテストに入る前に、パイロットテストを行いました。
パイロットテストとはユーザーテストをテストするためのもので、「プロダクトの問題点」を見つけるために行うものではなく、時間配分やタスク指示、質問内容がきちんと被験者に伝わるかなど「テストの問題点」を見つけるために行います。
今回は完全リモートでテストを行うということで、「操作中の手元の様子が伝わるか」「被写体が自然な状態で操作できるか」「表情や声などがきちんと聞こえるか」などを視野に入れながらチームメンバーに協力してもらい、以下の2つの方法を試しました。
【試したこと その1】 モバイル端末で操作している手元の様子をPCのカメラに写してもらう
被験者の自宅には操作中の手元を写すカメラがないため、PCのカメラに画面が映るよう、PCを背後から抱きかかえる形でカメラに操作中の手元を写してもらいました。
結論から言うと、この方法ではテストが成立しそうにありませんでした。障壁は主に以下の2つ。
・画面が時折白飛びしてしまい、どこの画面を操作しているのかわからなくなる
・被験者からはPCカメラにきちんと画面が写っているか常時確認することはできないため、たまに端末が画角から見切れる
白飛びや見切れが生じてしまうと、被験者に「白飛びしているのでもう少し画面を近づけてください」「もう少し端末を上の方に持ってください」などテスト中に指示を出す必要が出てくるので、被験者は肝心のテストの内容に集中できなくなってしまいます。こうなってしまってはテストの効果を正確に把握できなくなってしまうので、この方法は断念しました。
【試したこと その2】 FigmaのプロトタイプをPC上で操作してもらい、それを画面共有してもらう
この方法では画面が白飛びしたり見切れたりすることももちろんなく、鮮明にユーザーが画面を操作している様子を確認することができました。被験者がカメラをONにしてくれれば操作中の表情も画面とセットで確認することができます。
また、見たかった手元の動きもFigmaのプロトタイプではユーザーのマウスの位置や動きがポインターで表示されるため、それを手元の動きとして確認することができました。
こちらは特に引っかかる点がなさそうだったため、本番のテストはこの方法で実施しました。
テストを終えて
・よかったこと
操作中の画面と手元の動き、声、表情がすべて一画面上で確認できる
ビデオチャットツールでは画面共有中の画面と参加者の表情が同時に映し出されるため、通常のユーザーテストとは異なりテスターは操作中の画面の様子と被験者の表情を同時に確認することができます。
また、画面録画の機能を使って録画をすれば後からいつでも簡単にテストの様子を確認することができます。
現在、Googleが新型コロナ対策のテレワーク支援としてHangouts Meetのプレミアム機能である画面録画の機能を無料提供しているので、この機会に使ってみることをおすすめします。
・反省点と課題
ビデオチャットツールではやはり声が聞こえづらいなど、コミュニケーション上の問題が少しありました。
被験者から指示や質問を聞き返されることもあったので、単純に指示や質問の声をいつもより大きくしたり、音声がクリアに伝わるようヘッドセットを導入するなどして、次回のリモートテストではコミュニケーションの環境を改善していきたいと思いました。
また、今回のテストでは問題ありませんでしたが、スワイプなどのようなマウス操作では難しい操作が含まれる場合はPCでの操作に限界があるため、被験者がもっと自然な状態で操作できる方法を今後探っていきたいと思います。
以上が初めての在宅勤務で行ったユーザーテストの備忘録です。
在宅勤務でのリモートユーザーテストを実施しようと考えている方の参考になれば幸いです。
おまけ
今回のユーザーテストを行うにあたり、こちらの書籍を読みました。
私自身まだまだユーザテストの初心者なので、タスクの設計から評価・分析、テスト本番中の思考発話法のコツまで具体的に解説されていて今回のユーザーテストの設計にもとても役立ちました。
ユーザーテストを初めて行う方や悩んでいることなどがある方はぜひ読んでみてください。