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「王子音無川堰埭世俗大瀧ト唱」−すっきりしなくて音が出無いです…−『名所江戸百景』

今日はカフェ2軒梯子で勉強ができました。
あ!大河が始まる!

そんな義経が回想され、武蔵坊と義経の最後の場面を思い出しています。そんな胸が痛い8時も広重。今回は『名所江戸百景』「王子音無川堰埭世俗大瀧卜唱」です。

◼️ファーストインプレッション

あれに似ている。金毘羅参りをする寒参りをする二人の絵。
溜池の近くを描いた大きな滝のようなものを描いた絵です。

横っ広の滝とその上に小高い丘があるという点で思い出してしまいました。

でも今回はもっと寒そう。いくら桜は咲いている春とはいえ、まだまだ寒い季節です。その中で川の中に腰まで浸かっている人や、滝の方に行くと胸まで浸かっている人や滝行をしてしまっています。

これもまた寒詣りみたいな儀式の一つなのでしょうか。
それにしても桜が綺麗ですね。あ、「綺麗」ではなくて、青や深い緑の広がる重い色味の絵の中にパッと華やぐ印象を与えてくれる桃色です。

この川をきっと音無川というのでしょう。
その丘の上に幾つかの家屋が見られます。右は灰色の家屋。ちょっとお寺っぽいのは屋根にツノが生えているように見えるから。
左は黄色の茶屋らしい家屋。人が三人ほど見えますし、くつろいでいそうな雰囲気すら感じます。

どこか既視感のある絵ではありますが、この何かしらの儀式と地理的な情報を確認するべきですね。

◼️音無川

ジャパンナレッジの『日本歴史地名大系』には鎌倉市と和歌山県の音無川のことなら載っていましたが、北区の音無川は載っていません。

音無親水公園は、小平市の東部を源にして隅田川に注ぐ石神井川の旧流路に整備された公園です。石神井川は、北区付近では“音無川”と呼ばれ親しまれ、古くからの春の桜・夏の青楓と滝あび・秋の紅葉など四季の行楽の名所、景勝の地でした。

ネットには情報が少なかったです。

赤ピンが北区立音無親水公園という場所です。
ここであるのはわかるのですが、飛鳥山公園が大きくあるのもわかります。
昨日は場所について触れてこなかったのでここで見ることにします。

赤ピンの川は細い川として流れていますが、公園から少し外れるとより太い川になります。これが石神井川であるようです。

西東京方面から流れる石神井川は北区のこのあたりにも繋がっているのですね。

この川及び滝に入っている人々がしているのは滝浴みという行為。

これについては明日触れることにします。

◼️『江戸名所図会』での表され方

現代の資料に頼ってもなかなか見つけられないので江戸時代の資料に頼ります。

音無川としてしっかり載っていました。
金輪寺があり、その元に堰埭とあります。川が流れている様子が力を抜かずに線で一本一本忠実に描かれています。

その上流に音無川と記載があります。
描かれ方としては画面右下あたりから音無川を眺めているような描写でしょうか。
金輪寺も左の茶屋群両方が見えているような描かれ方ですからね。

「音無川 
王子権現の麓を流る(故は紀伊國音無河を模してのくハ名つくるとぞ)右十名を石神井川といふ(武州石神井村三宝寺の池より發するところなり)下流ハ荒川にいふ(世俗瀧野河と云ハ誤なり瀧野河村と号して河の名にハあらず)」

王子権現は先ほどの地図にあった王子神社のこと。

http://10jinja.tokyo/oujijinja.html

元亨二年、当時の領主豊島氏が紀州の熊野権現を勧請し若一王子宮と奉斎してより王子の名称が起る。後に徳川家康公は社領200石を寄進し将軍家祈願所と定め、歴代の将軍の表敬厚く、八代吉宗公には元文二年飛鳥山を寄進し、王子権現の名と飛鳥山の花見は江戸名所として知られる。古くから伝えてきた田楽舞は、戦前「喧嘩祭」の異名で有名だった。昭和59年に復元、毎年例大祭に奉納され北区無形文化財に指定された。また、開運の御神徳を授くとする「御槍」も授与されている。

8代吉宗だけでなく、家康の代から関わりのある神社だということ。
この神社の麓を流れているのが音無川

描かれていた金輪寺については、描かれている当時には滝の上にありますが、今では石神井川の上流の方面。

赤ピンが金輪寺です。
本来なら音無川の上流である東京ゲストハウス王子ミュージックラウンジあたりにあるべきですよね。
1860年頃にあった火事で消失してしまったことで、現在の場所に移ったみたいなのです。

この金輪寺は王子権現の別当らしいです。

うううん、ここの地理的関係と滝の実態をよく見ないことにはこれ以上進めない気がします。

ここはいち早く現地へ行くことで現在との相違を確かめ、広重の描いたこのエリアを見ていく必要がありそう。

今回は音無川の現在の姿、場所と、『江戸名所図会』での描かれ方を見ていきました。

すっきりしないなああ。


今日はここまで!

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