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「下谷御成道」−侍の顔が陥没してないことを祈ります、、–『江戸名所道戯尽』

雨が降っていて外出たくないですね。
明日美容院があるのにパサパサになりそう。。。

そんな梅雨の陰鬱さを体感している今日も広景。今回は『江戸名所道戯尽』「十一 下谷御成道」です。

◼️ファーストインプレッション

子供っていつの時代も怖いもの知らずですね。水鉄砲の機械というか仕組みを使って侍の顔を直撃しています。
直撃されている人は為すすべもなく仰天すらしている。片足上げて後ろに倒れすらしそう。
隣にいる武士風の人は自分にも同じことが降りかかるのではないかと警戒している様子。
おそらく子供たちの母親らしき人は彼らに謝罪に行っている様子ですが、子供たちは我関せず楽しんでいます。

それにしてもこの水の勢いはしっかり表現されていますね。
水かと思わせない棒のようにさえ見えますが、そこがいい。勢いが鋭いことがわかるので直撃している人は絶対顔が痛いんだろうなと憐れみさえします。顔に直撃して四方に散っている水もまた直線で表現されていて、均等に散っていることに違和感は感じません。

この街道は商店が立ち並んでいるのが見てわかります。
「さのや」「二上」は判別できます。その上には休憩所兼食事処でしょうか、人々が談笑していますね。

参考にしている本によるとここは題名通り下谷御成道ですが、奥に見える赤い建物が上野寛永寺。この道は将軍が寛永寺に参詣する時に通るための参詣道であるらしいです


◼️竜吐水の本来の使い方

この子供たちが大人を直撃するための道具を竜吐水というみたいです。

本来は火事の時に消化するための火消し道具であったのですが、子供用のおもちゃとして小さくなって売られていたよう。

竜吐水は、大きな箱に水を入れ横木を上下させて水を噴き出させるポンプ式放水具。オランダからもたらされたもので、竜が水を吐くのに見立てて名付けられた。雲竜水とも。

確かに子供が遊んでいるおもちゃでさえ竜の口から吹かれているように見える。
オランダからということは南蛮との交易の時にもたらされたもので当時の歴史としては150年くらいのものなのでしょう。


その本来の使い方を見てみましょう。

『新板手遊火消道具尽』「竜吐水」です。
多分両方に伸びている棒を引き上げると水が筒の中に入って、その引き上げた水を吐き出すために後ろの取っ手を下げるのでしょう。

安城市歴史博物館蔵『子供遊水合戦』です。

左の後ろの方で大きく構えているのが竜吐水です。右側の黄色い傘を狙っています。曲線ですらなく、直線で的を狙えるので殺傷能力すらありあそう、、。
これを見ると、今回の『ーー道戯尽』の竜吐水は簡易的なおもちゃなのですね。

『目黒行人阪火事絵巻』です。
このようにして運ばなければいけないほど重くて大きな箱なのですね。この中に近くで汲んだ水を入れて消火するのですね。
手前の被り物をしている人も走っている様子から大きな火事になってしまったかもしれないですね。

同じく『目黒行人阪火事絵巻』です。
確かに桶で汲んだ水を箱の中に入れていますね。
噴き上がる水に少し勢いは足りないのは、噴き出る筒が短いからなのかもしれませんね。


火消しの歴史を去年江戸東京博物館や四谷の火消し博物館でやっていたのを見逃したので、行っておけばよかったと後悔しています。

早く江戸東京博物館開館しないかなあ、、。


今日はここまで!

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