「柳島妙見の景」−すっ転びガールは出番を延期、、。–『江戸名所道戯尽』
ここ数日で額に中学生みたいなニキビが出てきました。
前髪で隠してもわかっちゃうレベルなので、化粧をしてもヘアセットをしてもテンションが落ちてしまいますね。
皮膚科で塗り薬と飲み薬をもらったので早く治りますように、、。
そんなニキビに悩まされる日も広景。今回は『江戸名所道戯尽』の「三十三 柳島妙見の景」です。
◼️ファーストインプレッション
大惨事な人が二人。なんか誰も悪くないからこそ気の毒な状況ですね。
おそらくすっ転んでいる女性が船から船へと渡る時にその板の上で転んでしまい、その板が向こうの船の男性の顎に直撃しています。
おまけに転んだ女性が手をついた右手に黄色い液体が撒き散らかってしまっています。
一体なんの液体なのかはわかりませんが、後ろの男性は鼻を摘んでいるので匂う液体なのでしょう。
参考書を読んでみると、この船が渡している大きな船は料亭の「橋本」という店に繋がっているみたいです。
最近読んだ本の中で広重の『江戸名所高名尽』みたいな名前のシリーズが、まさに江戸の有名料亭の絵を描いたものであるというのを知ったのでそちらを参照に「橋本」も見つけられてらと思います。
◼️江戸高名会亭尽
先ほど『江戸名所高名尽』と言いましたが、本当は『江戸高名会亭尽』でした!!
このシリーズは先ほども書いた通り、江戸の料亭を描いたもの。
江戸人なら誰でも知っている有名な高級料亭だけでなく、意外と知られていない知名度の低い料亭も描かれていたそう。
シリーズの刊行の順に大体は知名度と高級度合は比例してくるみたいです。
浮世絵に描かれて、それが出版されればその店の広告にもなりますし店を全面的にアピールしてほしいという癒着も実際にはあったみたいです。
広重にるもので全部で30作で、作品のうちのほとんどが水辺の周辺にあったことが描かれています。
今でも現存しているのかは私のお財布事情から確かめることは難しいですが、何かしらの手段で確かめて見たい気持ちはあります。
◼️橋本
今回広景の絵に描かれている料亭は「橋本」というらしいですので先の『江戸高名会亭尽』で確かめて見たいと思います。
『柳島(橋)の図 橋本』「狂句合 橋本まで御紋橋本に七つ梅」
この題に付随している狂句が一体誰のものなのかわかりませんね。
調べても出てこなかったのでちゃんと図書館に行って調べないとですね。
取り敢えず、この橋本の全容がわかりますね。
二階建てで、川に面して出入り口が設置されています。
この川からの入り口近辺に大きめの船が浮いていて、そこに向かうための小船がこの川を往来しているのでしょう。
確かに、地理的に見てみると奥の方に橋が架かっているのが両図からわかります。
広景の方は隣の建物の手前から架かっていて船がその下を通っていく様子が描かれています。
一方広重の料亭集の方にも同様、隣の建物から向こう岸に架かっているみたいですね。
この橋は柳島橋という橋。
この地理を確認するにはいくつかの資料を参考にします。
まずはこちら
広重の『名所江戸百景』の「柳しま」です。
確かにこの絵は見たけれど、建物については妙見堂についてしか見ていませんでした。
赤い建物が妙見堂ですが、その奥にある建物は「橋本」であるのです。
地理的には丁字の川になっています。
柳橋の北にあったはずですね。
例の地図に頼ると、こうなります。
ピンクの敷地に妙見堂がありますが、その北に「橋本」があるはずなのですが、書き込まれていない様子ですね。
なんだか探しても探しても江戸時代当時の橋本についての詳細が探し当てることができないです。。
なので他の柳島橋を描いた作品を見て、橋本の実態を再現してみます。
歌川芳員の『東都名所』「柳島妙見堂」です。
確かに橋本の前に屋形船が止まっていますね。
それが広景の今回描いた大きめの船に当たります。
橋本は2階建てで2階の縁側には提灯を点けて、営業しているみたいです。
広重の『東都三十六景』「柳しま妙けん」です。
題名には妙見とありますが、橋本も描かれているようですね。
左の赤い建物が妙見堂ですが、右側には2階建ての建物があります。
2階の様子はあまり描かれていませんが、女性が窓際にいることがわかります。
しかも江戸百の方の橋本には、橋を渡ってすぐに小屋があることが確認できるので、まさにここで描かれている小屋と一致します。
この橋を渡ろうとしている芸妓のような女性はこれから橋本で接待する女性でしょうかね。
広景の絵で描かれるすっころび女性も接待の芸妓でしょうけれど、あんなに派手に転んでいるので延期ですね、、。
今回はあまり詳しい話には追求できませんでしたが、橋本があったという江戸の残り香を嗅いだ気がします、、、、。
今日はここまで!
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