見出し画像

「河内 牧方男山」−君らの子孫は大丈夫?−『大日本六十余州名勝図会』

以前タイタニックを見てから、レオナルドディカプリオのにわかファンになりました。
一週間前くらいに映画館で見ましたが、それからU-NEXTでディカプリオ作品を7本くらいずっと見ています。
今は少し恰幅もよく、超年下の彼女がいるということですが(?)、それでもタイタニックの時の美少年ぶりを思い出させますね。

そんなディカプリオにハマっている今日も広重。
今日は『大日本六十余州名勝図会』の「河内 牧方男山」です。


国立国会図書館蔵

ファーストインプレッション

副題の男山という山がきっと正面奥に描かれている山でしょう。
その麓を流れる太い川。流れは穏やかでも氾濫したら甚大な被害が出そうなくらい深そう。
霞がかかっていますが、その中にいくつも山々が連なっていそうなくらい茂っている様子が想像できます。
この『大日本六十余州名勝図会』シリーズでは景色を俯瞰して奥から手前にかけて坂を作るように立体的に捉える構図が多用されているのでしょうか。まだ3作目なのでなんとも言えませんが。笑
山と川で地面の高いところと低いところをうまく使って遠近感をリアルに感じられるようにしているのですね。

今回はこの土地が実際にこのような地形で、そのような言い伝えのある場所であるのかを見ていきたいと思います。

牧方

牧方ではなく枚方という表記ならよく見ますね。

やはり枚方市という場所はあるけれど、牧方という地名はない。


文芸倶楽部 明治篇第17巻第11号(明治44年8月1日)忙中閑 『くらはんか』牧方の一夕

牧方と書いてヒラカタと読ませるらしい。

なので今の枚方市は該当しているわけですね。

この「くらはんか」という逸話が枚方に伝わるものであるそう。
今回の絵にも登場している幅のある川が淀川という川で、そこの船上物売りの皮肉な話。

淀川は堤は高く、岸にある店の2階にまで高さは達していたそう。
その店みせが船乗りたちに対して物をしつこく売り捌く行為が横行していた。
その販売方は非常に礼を欠いた方法で、悪態をつきながら購入を強要するというやり方。
客を罵り叱り、そこで負けた客を面白おかしく笑いながら買ったらサヨナラといった、今では炎上確定の商売。

そんな商売を同じようにしている淀川沿いのお店に客が入り、ある程度の食事をしていく。そこに追い討ちを描けるようにあれ飲めこれ食えと囃し立て罵るように客に対して悪態をついていく。
しかし客はその態度に腹が立ち、畳を蹴って出ていった。その客が帰るとなってもなお仲居たちは皆一緒になって悪態をつきまくる。
客である彼らが帰る時、店の主人夫婦も顔を出して見送りました。
主人夫婦は丁寧に頭を下げて客にお礼を言います。
「ありがとう、ようおいでやす」
「えい、もう去によるのか、また来さらせや!」

と最後まで悪態のような口調で挨拶をし、頭を下げていても、もうその癖が抜けなくなっているというお話です。
江戸時代の、というより、明治時代のお話かもしれませんが堤防がここまで高いと飲食店がうまく活用して法外な商売をしていたことも可能性としては考え得るものなのでしょう。

今回の絵にも堤防と同じくらいの店がいくつも見られますね。
その軒の下で生計を立てる人々の後世の人間も「くらはんか」のように悪態をついてリピ確なしの商売をしていくのでしょうか。

男山が見てますぞう〜〜笑

今日はここまで!
#歌川広重 #浮世絵 #くらはんか #江戸時代 #江戸絵画 #日本絵画 #牧方 #枚方 #淀川 #アート #美術 #芸術

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?