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「本所立川辺り景」−北斎と広景の間に繋いでない、、?−『江戸名所道戯尽』

今日はやはり定期的な体調不良の前振りなのか、暴飲暴食に走ってしまいました。
部屋にいて、とんでもなく眠くて、本を見つめていたら水を飲んでも空腹で、それが止まりませんでした。
いつもの総カロリーより1000は上回ったかもしれないです。。

まあ、しょうがない、、。

そんな体内にカロリーを溜め込んだ日も広景。今回は『江戸名所道戯尽』の「三十七 本所立川辺り景」です。

◼️ファーストインプレッション

この構図から北斎『富嶽三十六景』の作品がとても参考にされているんだなという印象を受けます。

ちっちゃいですが、こちらが北斎の『富嶽三十六景』の「本所立川」です。

本所立川を描くにはこのように載積した木材に乗る人と、そこから物を下ろしたりり上げたり、周囲にも木材が積まれている様子が描かれがちなのでしょうね。

今回はこの本所立川を描いたものを見ていきたいと思います。

広景の絵に話を戻しますと、、。
ここではこの若干危険な作業の穴が出てきてしまったようです。
おそらく下に下ろした木材が下の人の頭に落ちてしまったのですね。
しかもちゃんと縛っていたのに解けてしまったみたいですね。

上の人は「やべっやっちまった、、!」という表情。
上の人のはっぴには入りがしらのへんに土に点のマークが書かれていますが、ここに書き込む一般的な意味としては版元の宣伝を兼ねた版元の頭文字を書き込むということがありますね。
『江戸名所道戯尽』の版元は辻岡屋文助というところで通称金松堂。
おそらくこのはっぴの背中には金松堂の金の文字を描いたんじゃないかな?

このえで少し不自然なのが、日本で一番大きな山とされている富士山が奥に描かれていますが、そのもっと奥に五重塔のような建物がいくつも並んでいることです。
まるで水墨画のような儚さを演出しているみたいですね。
しかし主題とこの儚さを掛け合わせるのは少々噛み合わない気もしますね。

この影の正体を追求するのも楽しそうですね。

◼️本所立川×浮世絵

なんだか調べていても本所立川を描いた浮世絵がなかなか出てこないな。。
『江戸名所図会』を調べても本所の一部はあっても本所立川については書かれていないので当時はそこまで有名な名所ではなかったのでしょうか。

ここを本所立川と称していたというよりかは、この川を立川としていたことから題名になっているみたいですね。
このエリアを木場といい、まさに木材が置かれた場所であったからですね。

やはり木場で調べるとたくさんありました。

広重の『名所江戸百景』の「深川木場」です。
以前江戸百で取り上げたものでした。
夜の風景で本所立川とは全く雰囲気の異なる風景ですね。

ここでは本所立川特有の木材の積載の上下の風景は見られませんね。

渓斎英泉の『東都花暦』「木場ノ魚釣」です。
この木材の上に乗る光景が戻ってきた気がします!笑
可愛い坊主がかなり不安定なところにいますし、足の長さの割に垂れ下がっている方向とバランスがへんな気がしますね。
木材の積載の様子やその上下の様子は描かれていませんね。

この絵と富嶽三十六景の刊行された時期はほとんど同じであるのでどっちが先で何を真似したとかいうことはないみたいですね。
およそ文化から天保の時期、1830年前後です。


『江戸名所図会』の「深川木場」です。
挿絵にありました。
一個上、その一個上の絵のように川面に釣り糸を垂らしている人は見られますね。しかし周囲の木場にも木材の積荷の仕事場は見られませんね。

やはり広景は北斎の富嶽三十六景を模倣しているということはよくわかります。
しかし他の絵師は北斎の描写を模倣することはなかったのでしょう。
北斎や広重の初期にはなかったのか、ここから調べていく価値はあると思いますが、今日はここまで!  


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