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「掛川 秋葉山遠望」−凧が逃げちゃうからみんなどいてー!−『東海道五十三次』

今日の暑さは洗濯物が2時間で乾くくらいのものでした。
夜の寒さからどうやってあそこまで暑くなれるのか、どういう気象なのか知りたいとさえ思いました。

今朝のモーニングショーで気象予報士の石原良純さんが難しい気象の現象をテレビの時間だけでは解説しきれないので『一般気象学』という本を数ヶ月で5回は読み込めるとわかるようになると言っていました。
高めの本ではありますが、いつか読んでみたいと思いました。

積乱雲や雷の様子を見るのは結構好きだけでそれが実害をもたらすと話が違いますよね。笑
なのでYouTubeとかでそういう映像をたまに見たりします。
今年はあまり積乱雲も雷も見なかったなあと少し惜しむ気持ちで夏を終えそうです。

そんな変なこだわりで夏とお別れしそうな今日も広重。今回は『東海道五十三次』「掛川 秋葉山遠望」です。

◼️ファーストインプレッション

これまで数日間の作品は人間を主体として描いたというより、自然と一体となっていた印象がありましたが、今回は人間が非常にリズミカルに描かれそれぞれに物語が存在していそう。
掛川に架かっている橋の上なのでしょうか。
その橋の上では向こう側から袈裟を着た僧が歩いてきます。その後ろには天を仰いで僧に付いていく坊主。
彼らが通ると周囲が一斉に一歩引いて一礼しそうな荘厳さ。

手前から来たであろう三人組は旅人でしょうか、風呂敷に荷物を入れて笠を被っている様子からそんな気がしますね。彼らのうち前の二人は僧に向かって手を合わせています。
しかし違和感が一つ。後ろについている子供のような体格の人が前の二人を気にもかけず軽い踊りを踊っているようです。
明らかに前の二人の旅人と一緒に行動しているとは思いにくい風貌なのでどこからか迷い込んだのか、地元の子供なのか、はたまた逸話から飛び出してきてしまったのか。

人間模様はこれだけでなく、背景の畑の中の屈んでいる人々。彼らはみんなで近い場所を手入れしているので何かの収穫開始の時期かと思たり思なかったり。
彼らの中では誰も顔がわかるものがいないために橋の上の僧に向かって礼をしているようにさえ感じます。
サラサラと草木が揺らいで僧が通り過ぎるまで音のない空間が広がりそうな空気が漂います。
でも画面中央上に凧が浮かんでいて、ある程度の風が吹いていることが予想されます。この凧があることで空間の広がりと風の吹いている方向が視覚化されて画面いっぱいに空間が広がりますね。

今回は掛川の位置と橋の上の状況について見ていきたいと思います。

◼️掛川

先ほどまで掛川という川があるのだと思っていましたが、地区の名前なのですね。

左下に掛川宿跡があります。
前回の日坂は右上の赤ピン群。
遠くない距離ですよね。
でも今回描いているのはこの宿場からではなく、二瀬川という川にかかる橋。

左側にある赤線の枠の中が二瀬川に該当するらしい、、、。?
今は二瀬川という川は存在していないみたいですね。
しかしこの赤枠内にあったことは何となくわかるので宿場町を抜けてからここに辿り着くということなのですね。

副題の秋葉山は北西の方向にある山です。なので橋が北東から南西に向かって架かっているのを東から描いているということになるのかな。あっているかな。


◼️橋の上の状況

一人の僧が静かに橋を渡っているところを、後ろの付き人が体力的にきつそうな表情をしていること。それに向かってきた旅人らしき二人の大人は僧に向かって手を合わせていること。その旅人らしき二人と一緒に行動していた可能性のある派手な色の服装の子供。

一人一人どんな役割なのかを参考書をもとに整理すると、茶色い袈裟を着た僧は確かに僧なのですが、着ているものが結袈裟という修験道の行者が用いるものであるらしい。
その後ろに付いている人は前の老僧の弟子。師匠の荷物まで持って同じ道を歩くので明らかに師匠の方が涼しそうな顔をしていますね。

対向してきた3人のうちの前の二人はやはり旅人。手前の腰の曲がった人は横顔が若干見えますが、老婆のよう。
腰も90度よりも曲がっているのでそうなのでしょう。
しかしここの子供が旅人の子供であるかは言及されていません。

私が考えるに、この子供は凧を追いかけてきた子供ではないかと考えます。
実はこの掛川凧揚げが名物であったそう。
遠州凧と総称して掛川周辺の凧をそう呼びました。

現代でも新年には凧揚げをするイベントがあるらしく、やはり名物あったことは確かなようです。
しかし辞書群を探してみても掛川と凧揚げがどうしてもマッチしないのが惜しいところ。もっと当時に残された文献があれば当時の実態を知れたのにって感じですね。

なのでこの掛川が凧揚げを名物としているという事実から、この凧揚げは踊っているように見えますがいろんな方向に浮いて遠くなっていく凧を一生懸命におぼつかない足取りで追いかけているようにも見えるのです。

今日は久々に人間に注目してみました。

今日はここまで!
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