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「浅草歳の市」−年末、夫婦の仲を平穏に!–『江戸名所道戯尽』

いつか前にAmazonで頼んでおいた『浮世風呂』の単行本が家に届きました。
原本と同じ書体の翻刻版なので全然口語とかではないためにやはり読みにくいです。
漫画版がAmazonにあったのでそちらを先に読んで、内容理解してから本文を読んでみようかと躓いています、笑。

そんな江戸文学を読めない今日も広景。今回は『江戸名所道戯尽』の「浅草歳の市」です。

◼️ファーストインプレッション

浅草歳の市というと、年末に様々な物品販売を行う市場のことですね。
年末だからとこの門の下に集った人たちは、はっちゃけているのでしょうか。

水色のはっぴを着た男性二人がしゃもじや箒を絡めたカカシのような飾り物を崩してしまったのでしょう。
おたふくのお面や何か大きな柱の欠片のようなもの。

しゃもじや箒の一部が提灯の紐の部分に引っかかって崩れてしまったのかな。
その男性たちが運んでいたいくつかの物が女性に直撃していますね。
それを見て、男性たちは「わりいわりい、、!」と茶化している様子。
女性たちはかなり真顔で、相当嫌がっていますね。

歳の市ではきっとこのようなトラブルは頻発だったのでしょう。

今回は歳の市の様子を見ていきたいと思います。

◼️歳の市

以前も歳の位置について見ていきましたが、その時は歳の市の全体像しか見ていませんでした。
今回はそこを練り歩く人々に着目してみます。

広重・豊国の『江戸自慢三十六興』「浅草年之市」です。
2階席から市の様子を眺めている女性。
以外にも下の人は落ち着いて買い物や商売をしている様子。
何か大きな飾りを持ち歩いて人様に迷惑をかけている人々は見られません。


広重の『大日本六十余州名勝図会』「六十余州名所図会 江戸 浅草市」です。
でた!大きなおたふくお面や路面店に雑貨が置いてあるのがわかります。
背景の木々も葉っぱが落ちて、空気は澄み切り、極寒の冬であることもわかりますね。
しかしここには広景のようなしゃもじと箒で作ったカカシ的なものは見当たりません。


広景の絵にいる水色はっぴの人は、参考書によると夫婦和合を願うために作られた飾りらしい。

何故それがこの門の下を通っているのかがよくわかりませんが、こうした願いを懸けて年を越したのでしょう。
調べていたらこんな文献を見つけた。

夫婦和合の秘訣百か条。
読んでみると、夫婦が仲良くいる秘訣がいくつも書いてあって、今の時代にも共通する事項ばかりです。

昭和2年のものですので、文体は少し口語に近いけれど現代のような啓発本的な立ち位置を感じる書物です。
なんだかここから話が広がらない気がしていつまでもパソコンの前にじっとしているわけにいかないので今回はここまで。

広景の『江戸名所道戯尽』シリーズはここで終わり。
広景の作品はとても気になっていたので、一枚一枚見ることができてよかったです。
広景自体、出ている作品も少なく、そのために研究も多くは残っていないために自分で調べることを広げる大変さがありました。
しかしおかげでたくさんの浮世絵を見たり、広景の性格を知ることができた気がします。

明日からは広重の『東海道五十三次』を見ていくので先行研究も多く、江戸百を一度見ているので多角的に見ていけるようにしていきたいと意気込んでおります。

今日はここまで!
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