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「浅草金竜山朝の雪」−自然と浮き出てくる主役−『銀世界東十二景』

意外と卒論が間に合わないくらいにやることがいっぱいということに焦っています。
卒論提出までの間は週3の投稿にしようかと考えています。

そしたらこの記事に当てていた時間およそ1.5-2時間を4日は取れるので、これまでの時間におよそ8時間は加算できるのかな。
だとしたらその2時間でぎっちり集中していけばどうにかなりそう。

どうにかしなかれば。

そんな焦りに焦り出している今日も広重。今回は『銀世界東十二景』の「浅草金竜山朝の雪」です。


国立国会図書館蔵

今回は主役が非常によく目立つ表現がされています。

金竜山は画面中央にどんと構える赤いお堂のこと。
広重の『名所江戸百景』で近像型構図で描かれていました。


国立国会図書館蔵

いや、近像になっているのは上の大提灯の方でしたね。
金竜山とはそもそも現・浅草寺のことでした。

大きく構えている門が雷門(仁王門)で、画面右に聳え立つ塔が五重塔。
現在の認識に重ねてみるとこうなりますが、今回の『銀世界東十二景』をみてみるとどうなるのでしょう。。。

画面右の塔が五重塔というのはパッと見でもわかりますね。
そしてその左の赤いお堂は浅草寺の本堂ということになるのでしょう。

しかしここには雷門が描かれていませんね。
五重塔と本堂の配置からして仲見世の連なる通りは画面中央から左にかけて配置されているべきですね。
けれどもここには川が広がっており、仲見世通りがあるような雰囲気は感じられませんね。

浅草として一番シンボリックな雷門は描かれていないという、浅草を描く絵の中でも珍しい作品ですね。

主役が目立つ表現がされていると一番初めに言及しましたが、今回の絵には雪の色が2色に分けられています。
本堂や五重塔には純白の色が施されています。
それ以外の建物や木々にはクリーム色が施されているのです。
これが意図的なのか、摺の工程における変化なのかはわかりませんが浅草のモチーフである二つの建造物にこうした糸の変化が施されているのは意図的な可能性が高いと考えられますね。

実際は二つの建造物だけでなく、周囲の木々もその純白のおこぼれをもらっていますが、それは建造物だけが浮き出ないような自然な表現となるようにしたのだと考えます。

もしここで雪の表現が全て単一でクリーム色に施されていたら、単調な景色となり立体感のないベタ塗りの印象を与えられますね。
しかしこうして2色を使い分けて絵における役割をはっきりさせておくことで、絵の中で立体感を持って表現されているのです。

ざっとみた感じ、今回の作品群ではこうした表現が多用されています。
こうした立体感の表現の仕方は広重の中でもどの時代に確立したものなのでしょう。
前後の作品群を考察することで大雑把な年代は掴めてくるのかな?

今シリーズが終わる頃にわかるといいなと思います。

今日はここまで!
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