2024.5.15

レッドブルを配るお姉さんの目を見て「ありがとうございます」と言った。さすがに2本目はもらえなかった。家賃だけは延滞したくない。残りわずかな貯金はなんとしてでも死守するしかない。使えるお金も、膨らますお米もない。働けない。働きたくない。正社員は皆あなどれない。奇跡も、魔法も、人権もない。クレジットカードで支払いを来月に回す俺の生活はどこまで持つのか。いずれ停止するメリーゴーランドのよう。そういえば、織田裕二主演のドラマで「お金がない」というものがあった。俺が主演のドラマは「ないのはお金だけじゃない」にしようかな。俺にはなんにもない。空っぽ。からっぴー。地球も空洞なんじゃないかな。その空間に織田裕二を閉じ込めたい。彼の頭に「地球に生まれてよかったー!」と何度も叫ぶようになるプログラムを埋め込みたい。そういえば高3のときメモしていた言葉で「遺伝子操作された織田裕二」というものがあった。その時の俺はコントのタイトルだけを言ってコントせずに突っ立てるというお笑いを1つの手段として考えていたんだと思う。完全に永野を見たあとに思い付いたものであると不思議と8年経った今でも自分わかる。織田裕二の話をすれば、たちまち話題に上がるのが「踊る大捜査線」。フジテレビ黄金期の代表作といってもいい。一方、コンフィデンスマンJPは混迷極まるフジテレビに無理矢理代表作に仕立て上げられたイメージだ。共感はいらない。でも東出昌大だってきっと「踊る」の方に出たかったはずでしょ。どちらのドラマにも共通するのが「映画化」という商業言葉。公開日から日が経つに連れて、映画のCMは物語の目玉となるシーンを解禁するようになる。「踊る」の映画はいっぱいあるから覚えてないけれど、CMで小泉今日子扮する凶悪犯罪者が「手術してやろうか」と言ってるのが好きで家の中だけでよく真似していた。特に、母親が勉強やゴミ出しを強制してくるときなんかは「手術してやろうか」と言って反抗していた。「俺の数あるうちの1つの原点」を久しぶりに見たくなりYOUTUBEで「手術してやろうか」と検索してみたら、おかっぱ頭の小泉今日子が出てきた。動画を見たら小学生のとき以上にケラケラ笑った。コメント欄にも書かれていたけれど「羊たちの沈黙」を意識しすぎているんだよな。レクター博士を小泉今日子にやらせようとした製作陣は本当に頭がイカれていると思う。COOL。それから小泉今日子扮する「日向真奈美」のことが気になって「踊る」について色々調べたら、なんと今年の10月、12年ぶりに最新作が公開されると知った。たまたま俺が日向真奈美を思い出した年に「踊る」が復活するなんて。お金も、お米も、奇跡も、魔法もないのに、偶然だけはあるもんだな。でも偶然さえあれば、すべてが手の中にあるような気がした。たとえば、2本目のレッドブルとか。

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銭ズラ