青春とは世界のようでならなければならない
室内プールの真ん中へんで、雪村翔吾がビーチ板を使ってパシャパシャと泳いでいる。
プールサイドのスタート台にちょこんと座った宇佐木眠兎は、その姿をボーっと見つめながら、いっこうに彼が前へ進まないことをいぶかっていた。
そしてそれは、人間の人生と同じだなどということを考えた。
夕日が水面を照らし出してキラキラしている。
その様子はまるで、ここが世界の中心であるかのように錯覚させた。
「ずんたったー、ずんたったー」
宇佐木は足を浮かせて、三拍子のリズムを取りはじめた。