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小説「ユニコーンの角」

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哲学好きの高校生・宇佐木眠兎(うさぎ みんと)と、幼なじみの同級生・有栖川達也(ありすがわ たつや)が織りなす、ほのぼの日常系青春群像劇です。 ほかのサイトにも投稿しています。
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記事一覧

わたしは天使の翼を見た ~ 小説 ユニコーンの角 第12話

 体育の授業中。  先生のすきをついてこっそりと抜け出した宇佐木眠兎と有栖川達也は、校舎…

朽木桜斎
7か月前
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凡庸なアリスは意趣返しがお好き

「春だね、有栖川」 「そうだな」 「なに、その返し? 退屈~」 「言わなくてもわかるだろ…

朽木桜斎
2年前
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校長先生の異常な愛情

放課後、教室の掃除を終えた有栖川達也と雪村翔吾は、夕日の差す窓辺で、とりとめのない会話に…

朽木桜斎
2年前
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バナナ牛乳を飲むくらいなら毒杯をあおったほうがマシだ

「しかるにクラスメイト諸君、牛乳はイチゴ味こそが至高なのであって、バナナ味など論外もはな…

朽木桜斎
2年前
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メガネは死にいたる病である

放課後、宇佐木眠兎が帰り支度をしていると、クラス委員長の鴫崎祭流が、メガネのメタルフレー…

朽木桜斎
2年前
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月はその姿を映し出す器を選びはしない

夜の校舎。 教室の窓辺に立った宇佐木眠兎は、夜空の中心に君臨する満月の美しさに、うっとり…

朽木桜斎
2年前
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青春とは世界のようでならなければならない

室内プールの真ん中へんで、雪村翔吾がビーチ板を使ってパシャパシャと泳いでいる。 プールサイドのスタート台にちょこんと座った宇佐木眠兎は、その姿をボーっと見つめながら、いっこうに彼が前へ進まないことをいぶかっていた。 そしてそれは、人間の人生と同じだなどということを考えた。 夕日が水面を照らし出してキラキラしている。 その様子はまるで、ここが世界の中心であるかのように錯覚させた。 「ずんたったー、ずんたったー」 宇佐木は足を浮かせて、三拍子のリズムを取りはじめた。

克服しないほうがむしろよい衝動も確かに存在する

「宇佐木先輩、僕のマンガ、どうでしょうか?」 雪村翔吾が自作の原稿を持ってくると、宇佐木…

朽木桜斎
2年前
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僕らのラグランジュ・ポイントを探しに行こう

「雪村、行くぞー」 「はーい、有栖川せんぱーい!」 放課後、宇佐木眠兎と有栖川達也は、後…

朽木桜斎
2年前
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あらゆる存在はポルノである

放課後、誰もいない美術室で、有栖川達也は宇佐木眠兎を写生していた。 はじめはおとなしく椅…

朽木桜斎
2年前
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語りたくてしかたのないことだからむしろ沈黙する

放課後、帰る支度をしていた有栖川達也の顔を、宇佐木眠兎は後ろ手にのぞき込んだ。 「ねえ、…

朽木桜斎
2年前

君と僕だけの世界はなぜ存在しないのか

「世界はファンタジーなんだ」 窓辺の席で宇佐木眠兎がそうつぶやくと、かたわらに立っていた…

朽木桜斎
2年前
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