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教育分野のICTの見本市 《関西教育ICT展》 後編 | おとなの社会見学

関西教育ICT展に行ってきました。

教育分野のICTの見本市です。多くの関連企業がブースを出して商品の紹介をし、また、政策動向や実践を紹介するセミナーが開催されます。

現役時代の私のように、「興味があるのに講習や懇談があって行けないよ」という方にヒントを提供できれば幸いです。

前編では、会場となった大阪南港ATCホールについて、交通アクセスや施設の様子について書きました。↓

後編では面白いと感じた展示をいくつか選んで紹介します。


1. メタバースで不登校生徒が参加しやすい場を提供

NTTスマートコネクトによる技術「3D教育メタバース」の操作を体験しました。キーボードの矢印キーやゲーム用のコントローラーを使って自分のアバターを操作して教室の中を移動し、希望の席に着席できます。同じように入ってきた他の生徒と会話したり、先生役になって教室の前に立って話すこともできます。

会話は、マイクを通して行います。音声と共に文字も吹き出しの中に表示され、発言内容に合わせてアバターの表情が、たとえば「うれしい」内容の場合はそのような表情に自動で変わりました。すごい!また、自分でボタンを押して跳び上がるなどのアクションをさせることができます。

説明によると、不登校生徒が集団での学習の場に参加するハードルを下げ、他の生徒と交流する場を提供するために、すでにいくつかの自治体が導入しているとのことでした。

私がすでに退職したことを伝えると、退職した校長などが先生役として登壇して授業を行ったり、相談にのることも行われていると教えてくださいました。

「顔出し」することなしに動きや表情もつけられるのは、オンライン会議システムよりも優れている、参加しやすいだろうと感じました。

音声認識は英語にも対応しているので、発音が正しく認識されるか、意図通りに翻訳されるかを試すこともできるとの説明もありました。さすが今時のAIはこれくらいは当然できるのでしょう。

「私のように退職後に、離れた人とも共通の関心でつながりたい大人のニーズは高いと思いますが、どうですか?」と提案してみましたが、「今は自治体さんとの契約が中心ですねぇ。」という趣旨のお答えでした。いいと思うのですが。

京都府城陽市での事例がサイトに上がっていました。↓

2. コーディングを学習できる教材ロボット

機械とコンピューター好きの私がついつい引き寄せられたのがこれでした。そういうお子さんも少なからずいるのではないでしょうか。

いくつかの企業が出品していました。

1つは、いわゆるロボット型でした。
ゲームのコントローラーでいろいろな動作をロボットにさせることができるのですが、そのあと、その動作を記述するコードを確認することができます。そのコードを読んで応用することで、今度はロボットにさせたい動作をコードで書いて、意図どうりの動作をするか確かめることができるというものです。関節が300度動くらしく、プログラムを間違えると、とんでも無い動きとなるそうです。

おもしろそう!プログラムは真似して走らせてみるのが面白いですよね。それが動きで見られるのはいいですね。おもちゃというよりは、ロボット工学よりの製品で、値段は個人で買うには安くありませんが、高校でなら買えなくもない、大学なら余った予算で買える?金額でした。

2つめは、自動車型ロボット。
こちらは見た目はラジコンカーですが、距離センサーや色の識別ができるカメラを備えているもので、障害物や信号を判断して自律走行できます。展示ブースに作られたコースの中をロボット掃除機のように曲がり角を認識しながら走っていました。このほか、音楽の演奏やLED文字の表示、温度・加速度・照度の測定できるとのことでした。言語は、エントリー、スクラッチ、パイソン、C言語、アンドロイド スタジオ、アルドゥイーノ スケッチ、ラズベリーパイなどに対応しています。
STEAM教育導入を検討している小・中・高・塾が対象の製品でした。

「副業で教育ビジネス立ち上げの検討中の方」も売り込み対象にしておられ、私も講師になりませんか、育成コースがありますよと誘われました。連絡先の書かれたパンフレットはもらっておきました。

3つ目は、小・中・高生向けのレベル別に取り揃えられた、工作キットです。
いろいろあるので、いただいたパンフレットをスマホで撮った写真をご覧いただくことにします。(スキャンではないのであまり美しくないのですが。)↓

小学生向け
小〜中学生向け
中・高生向け

韓国の企業の製品でした。開発者と思われる方が、通訳を通じて説明してくださいました。

学校で採用して全員に買ってもらうには高いと思います。しかし、好きな子どもが自分でお小遣いをためて買うとか、親が数ヶ月に1回買ってあげるとかならありえる値段設定ではないでしょうか。
私は、「スマートファームキット」、欲しいと思いました。

プログラミングに興味を感じる子どもたちには、ぜひ提供したいです。興味や才能を認め、伸ばすのが、みんなが幸せになる教育であるように思います。

3. 生徒のプレゼンテーションの動画にタグやコメントをつけるツール

「探究授業DX」という名前が付けられていました。同時に先生の研究授業を対象としたツールが紹介されていて、こちらが先に開発されていて、生徒の探究のプレゼンテーションように派生して作られたようです。
3つの手順で使います。SETP1:発表を撮影しクラウド上にアップロード。STEP2:ビデオ上の該当部分にタグ付けし、教員や他の生徒がメモを書き込む。STEP3:その映像シーンを見返し、コメントを残して意見交換。

プレゼンなどのパフォーマンスは、良いところを共有するにせよアドバイスするにせよ、録画しないと消えてしまうし、録画したものを再生して止めながら話していたら時間が途方もなくかかってしまいます。喋られた生徒の方も全部を覚えてはいられません。
このツールがあれば、教員は落ち着いて評価をしたりコメントをつけたりできるし、発表した生徒は自分の姿を見ながらどの部分にどんなコメントがついたかを見直すことができます。
このツール、なかなかいいなと思いました。

このツール以外にも探究指導のための教材や評価システムが紹介されていました。
「探究」は、いわゆる「教科書」がありません。その学校の教員の工夫のしどころではありますが、軌道に乗るまでは大変です。公立の学校でも導入可能な価格で良い教材やシステムが提供されていくことを望んでいます。


このほか、
オンライン参観・デジタル連絡帳:小学校の実践報告で紹介されていました。デジタル参観は仕事などで学校に行けなくても子どもの様子を見られると好評だったそうです。また、デジタル連絡帳は、家庭との情報交換のハードルが下がる点がいいと感じました。小学校では特に日常の風通しの良さが大切でしょうし、教員の勤務時間内に親御さんと電話連絡は難しいというご家庭もあるでしょうから。

・小・中でのデジタル教科書の現状:音声・画像・動画などマルチメディアの追加資料が提供できる、練習問題に画面上で答えて正解と解説を表示させることができるなど、さまざま工夫をしているが、紙とは違い有償であること、紙とデジタルの両方を準備するのは出版社にとって負担が大きいことなど、開発側の事情を教えてもらいました。

車椅子+介護者に用途を絞った小型エレベータ:垂直方向のバリアフリー対応が未実施の学校に。工期を短縮し、費用も抑えられる。今は普通のエレベータを作りには約2年かかるとのことでした。

4色対応3Dプリンター:かなり値段が落ち着いてきていました。

…など、
新しく知ったことの多い展示会でした。

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