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ハイデガー『存在と時間』の解釈について

ハイデガーの『存在と時間』は実に難解な哲学書だ。入門書も沢山あるのだが木田元のハイデガー解釈がわかり易すぎて人口に膾炙している。

木田元の解釈によれば、「〜である」というのを「本質存在」、「〜がある」というのを「事実存在」と呼び、西洋哲学は「本質存在」にばかり焦点が与えられていて、ハイデガーは「〜がある」という「事実存在」への問いを重視すべきだと主張しているという。

ハイデガーには『形而上学入門』という本もあり、その冒頭で「存在するのはなぜか、むしろ無があるわけではないのはなぜか」という原初的な「存在への驚き」について言及している。その点も補助線にしているようだ。

『存在と時間』を読んでみると実はそういったことは書いていない。あまりに難解で木田元の解釈が日本では流通しているのだ。

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