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カーブスの決算内容を3分で解説!

今回はカーブスの決算内容について見ていきましょう。
「女性だけの30分健康体操教室 カーブス」をうたいスポーツクラブ業界でトップ5に位置付けているこの企業、決算内容はどうでしょうか?

1.PLの状況

まずはPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比+11.5%の275億円となりました。営業利益は前年比+69.1%の27億円、当期純利益は+99%の22億円となりました。
利益に関しては大幅な増益で、特に当期純利益に関してはほぼ2倍となりました。

出所:決算説明資料

では内容の詳細について見ていきましょう。
売上高の内容としては、FC店舗から受け取るロイヤルティ等、直営店舗での売上、また会員向けの物販があります。
その中でも一番大きな割合を占めているのは「会員向けの物販」で売上全体の59.6%を占めています。
前年比でも+12.8%と堅調に推移しており、今回の決算では過去最高の164億円となりました。この物販の主力商品は「プロテイン」で全体の96%を占めています。

出所:決算説明資料

会員数の推移を見てみると、コロナ前の2019年がピークで86.4万人でした。
その後2020年はコロナ影響で54.5万人まで落ち込んでしまいましたが、今年2022年には75.4万人まで回復しました。
しかし会社目標としては76万人だったので目標には少し届きませんでした。

出所:決算説明資料

国内の店舗数については前年の1,958店舗から△11店舗減少して1,947店舗となりました。15店舗新規出店しましたが、閉店数が26店舗あったので純増減数としては△11店舗という結果です。直営店舗は75店舗と増減はなかったので、△11店舗は全てFC店舗によるものです。
またコロナ前の2020年の店舗数が2,014店舗だったので、やはりまだコロナ前の水準までとは乖離がある状況です。

出所:決算短信

上記店舗数は「国内の女性向けカーブスのみ」の数値となりますが、事業としては「メンズ・カーブス」と「欧州カーブス」も展開しています。
2022年現在はメンズ・カーブスで12店舗、欧州カーブスでは8カ国に151店舗を展開中です。

このように会員数と店舗数の推移を見てみると、コロナ前の水準と比べるとまだ乖離がある状況です。そのような状況を考えると、今後は「メンズ・カーブス」や「欧州カーブス」のような新たな領域に力を入れていくことが必要ではないかと考えられます。
もちろんこれまでの女性向けの事業は継続しつつ、新たな顧客を取り込む施策として「メンズ」と「海外」へリソースをシフトしていくものと考えられます。

では話を全体的な観点に戻しましょう。
今回の決算では売上高の増加率以上に利益の増加率が大きかったことが特徴です。営業利益率は前年の6.6%だったのが今年は10%と大幅アップとなりました。その要因としては「売上原価率の低下」があります。
前年の原価率57.8%に対して今年は56.4%と1.4%も低下しました。
現在の円安やインフレなどの経済状況から考えると、かなりの企業努力があったのではないかと推測されます。

一方で販管費に関しては+4億円のコストアップとなっております。
人件費やのれん償却費などの増加もありますが、一番の増加要因は「広告宣伝費」の+4億円増加と考えられます。
この点は先程触れました「会員数をコロナ前の水準に戻す」ために、広告宣伝費にコストをかけた結果です。

また営業外に関しても見てみると、営業利益から経常利益にかけて+6億円増加しています。これは為替差益で+5億円計上されたことによるものです。
ここ最近の円安水準から考えると当然為替差益として影響が出てくることは想定内のことだと思います。

出所:決算短信

以上の様に売上高増加・原価率の低下・円安影響も相まって、当期純利益率は前年の4.6%から大幅に増加して8.2%と+3.6%も改善しました。

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。
総資産全体としては前年末から+20億円増加しました。

出所:決算説明資料

資産の部では現預金が△15億円減少しましたが、のれん・商標権の無形固定資産が+32億円増加しました。
この「のれん・商標権」は過去の買収時に発生したもので米ドル建ての資産です。つまり毎年期末の換算レートで評価替えをしています。
一定の期間で償却を続けているので、米ドルベースでの金額は減少していますが、この円安の影響で円ベースでの評価をすると大幅に増加してしまいました。
具体的な金額としては「期末レート差+26.1円によって+30億円増加」という内容です。為替影響はあなどれません。

出所:決算短信

負債の部に関しては、長期借入金で返済があり△23億円減少しています。
また純資産でも大きな動きがあり、自己株式が12億円増加しています。
これは今年度より始まった「株式給付信託制度」によるものです。
少しわかり難いですがざっくり言うと、以下の様な感じです。

・信託にて自己株式を取得して会社に貢献した従業員に株式を交付します!

出所:決算短信

会社に貢献すれば会社の株式がもらえて会社の業績が上がれば株価も上がり株式資産も増加する、という流れになるので従業員のモチベーションアップにつながる制度と言えます。あくまでそのモチベーションが正しい方向に向く限りは良い制度と言えるかもしれません。

3.CFの状況

では最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては△18億円となりました。内訳としては営業CFで+33億円、投資CFで△9億円、財務CFで△42億円という内容です。

出所:決算説明資料

営業CFは税前利益で+31億円としっかりと稼いでいます。法人税の納付で△13億円支出がありましたが、のれん・商標権・減価償却費で+19億円あるのでそこで吸収した形となりました。

投資CFに関しては、特に大型投資案件はありませんでした。

財務CFに関しては長期借入金の返済で△31億円、あとはBSの状況で触れた株式給付信託制度に関連した自己株式取得で△12億円と大きな動きとなりました。
また緊急時の備えとして、取引金融機関と総額184億円のシンジケートローン契約を締結しています。現在の事業規模から考えると十分な金額かと考えられます。

出所:有価証券報告書

全体の収支はマイナとなりましたが、営業CFでしっかりと稼ぐことはできているので状況としては悪くないのではないかと思います。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

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