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GAテクノロジーズの決算内容を3分で解説!

今回はGAテクノロジーズの決算内容について見ていきましょう。
不動産の購入から売却までの仲介、また賃貸物件の仲介など不動産に関して幅広く事業を手がけているこの会社、決算内容はどうでしょうか?

1.PLの状況

最初にPLの状況について見ていきましょう。

内容を見ていくにあたっての前提ですが、GAテクノロジーズは2021年の決算から日本の会計基準ではなく「国際会計基準(IFRS)」を採用しています。
そのため科目など表示名が日本基準と多少異なることがあります。
その点はご注意ください。

では内容に入っていきます。
売上収益は前年比+52%の1,135億円と過去最高益を記録しました。
営業利益は前年の大幅赤字から一気に黒字化へ転換し10億円、当期純利益も赤字から黒字の3.9億円と一気に業績回復を遂げました。

出所:決算説明資料

過去7年間の推移を見てみると、売上収益は右肩上がりの成長を見せており21倍になりました。
売上総利益も同様に成長しており、ここ7年間で18倍となりました。

出所:決算説明資料

事業利益に減価償却費をプラスしたEBITDAも同様に推移していますが、営業利益に関しては前年の2021年は一旦赤字に転落しました。

今回の決算で一気に黒字転換しましたが、利益額としては2020年の18億円まではまだ回復できていません。

出所:決算説明資料

また今後の成長投資のための人材投資や広告宣伝費に費用を使いました。
販管費に関しては前年比+47億円と大幅増となりました。

出所:決算説明資料

そのうち人件費に関しては+17億円増加しています。
採用コストを削減できるリファラル採用を上手く活用しながら1年間で+228名増加しました。

出所:決算説明資料

ではセグメント別に内容を見ていきましょう。
セグメントとしては2つ「RENOSYマーケットプレイス」「ITANDI」があります。
規模感としてはRENOSYマーケットプレイスが売上収益の97%を占めており主要事業となっています。

◇RENOSYマーケットプレイス事業
売上収益は前年比+52%の1,108億円、セグメント利益は前年比+72%の49億円と大幅な増収増益という結果となりました。

出所:決算説明資料

RENOSYのビジネスモデルの特徴として不動産に関するプロセスを一気通貫に扱うことができる点です。
「借りる」「買う」「売却する」「貸す」「投資する」を全て行うことができます。

出所:決算説明資料

今回の決算で大幅な増収となった背景には、デジタルマーケティングの活用で効率的に集客できた点があげられます。

その成果は2021年の1Qから出始めて、RENOSYの会員数は32万人を超えるまで成長しました。

出所:決算説明資料

またデジタル活用の効果は「売却」と「購入」の面でも発揮され、成約件数は好調に推移しています。
特に売却での伸び幅が大きく、4Q比較でみると前年から+51%増と大幅な増加を見せています。

出所:決算説明資料

◇ITANDI事業
売上収益は前年比+75%の20億円、セグメント利益は前年の1百万円から一気に2.8億円まで大幅に増加しました。

出所:決算説明資料

ITANDIでのビジネスモデルとしては、管理会社・仲介会社・入居希望者のやりとりを自動化することにあります。

出所:決算説明資料

売上収益の増加は管理会社と仲介会社の導入社数が増加したことにきいんしています。
導入社数は堅調に推移しており、管理会社数は1,500社超、仲介会社数は500社超となりました。

出所:決算説明資料

市場ニーズの高まりを受けて導入社数は増加を続けているので、今後も更なる増加が期待されます。

◇2023年の業績予想
2023年の全体の予想としては、売上収益は+28.1%の1,455億円、事業利益は+54.8%の16億円と堅調な成長を予想しています。

出所:決算説明資料

事業別に見ても、それぞれの事業で明るい見通しが期待されます。
その成長に関する施策としては、それぞれの事業で外部との連携が予定されています。

RENOSYでは住信SBIネット銀行とのサービス連携が、ITANDIでは全日本不動産協会との連携が組み込まれています。

これを成長の核として更なる事業拡大の実現が期待されます。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。

総資産全体としては前年末から+65億円増加しました。

出所:決算説明資料

流動資産は+34億円増加しており、そのうち現預金が△34億円減少しましたが、一方で棚卸資産である販売用不動産が+51億円しました。

固定資産は+31億円増加していますが、そのうちのれんで+25億円増加が見られます。これは「リコルディ」という資産運用型マンションの販売・中古住宅のリノベーションをなどを事業としている会社を完全子会社化したことで発生したものです。

出所:有価証券報告書

またこれ以外でもタイにある会社を株式交換によって完全子会社化しています。金額はあまり大きくはありませんが、ここでものれんが2億円程度発生しています。

出所:有価証券報告書

負債に関しては+49億円増加していますが、そのうち社債・借入金で+23億円増加しています。

出所:決算短信

純資産に関しては+16億円増加していますが、これは先程固定資産の箇所で触れた完全子会社化に関する内容が含まれています。

完全子会社の方法として「株式交換」を選択しました。そのため「資本剰余金」が+10億円増加しています。

出所:決算短信

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。

CF全体としては前年末から△34億円減少しました。内訳としては営業CFで+22億円、投資CFで△30億円、財務CFで△26億円という内容です。

出所:有価証券報告書

営業CFに関しては、税前利益で+4億円とあまり稼ぐことはできませんでしたが、減価償却費が46億円ありましたのでその分プラスに作用しました。

投資CFに関しては、定常的な有形・無形固定資産の投資以外に企業結合に関する支出で△12億円がありました。ここでも子会社化の影響が出ています。

出所:決算短信

財務CFに関しては、社債の償還期限が到来して△20億円の支出がありました。一方短期借入金が+40億円増加しているので、その分はプラスに作用しています。

また緊急時の備えとして、取引金融機関と当座貸越契約・貸出コミットメント契約を総額78億円で締結しています。
ただ既に36億円は実行済みのため、実質借入できる金額は残り42億円となります。
十分とまではいきませんが、これである程度の備えはできると考えて良いかと思います。

出所:有価証券報告書

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ

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