見出し画像

サイバーエージェントの決算内容を3分で解説!

今回はサイバーエージェントの決算内容について見ていきましょう。

12月に開催されたサッカーW杯の全試合無料中継で注目を浴びたことは記憶に新しいことかと思います。では決算内容はどうでしょうか?

1.PLの状況

まず最初にPLの状況について見ていきましょう。

売上高は前年比+6.6%の7,105億円となりました。

営業利益は前年比△33.8%の691億円、当期純利益は△41.7%の242億円となり増収減益という結果です。

出所:決算説明資料

売上高は増加していますが、売上総利益率は前年の34.8%から今回は30.8%と△4%減少しています。
その結果、売上総利益は前年から△128億円減少しました。

また販管費に関しては売上高の増加に伴い費用が増加しています。
前年比で+224億円増加しており、利益のマイナス要因となっています。

販管費の2018年からの推移を見てみると、2018年から今回の決算までに+500億円程度増加しています。
内訳としては「広告」「人件費」でのコストアップが目立っています。

出所:決算説明資料

ではセグメント別に内容を見ていきましょう。

セグメントとしては四つ「メディア」「インターネット広告」「ゲーム」「投資育成」があります。

売上高の規模として一番大きいのはインターネット広告事業ですが、利益を一番稼ぎ出しているのはゲーム事業となっています。

出所:決算短信

◇インターネット広告事業
売上高は前年比+17.3%増加となりました。
2018年からの推移を見ても右肩上がりに増加しており順調に成長を示しています。

営業利益に関しても前年比+8.4%増加と堅調です。
2019年に一度減益となりましたが、その後は毎年増加を続けています。

出所:決算説明資料

またDX事業に対して先行投資を進めていて、各業種の企業をテックパートナーとしてDX推進及び広告事業の創出などを積極的に進めています。

その他でも行政・医療・イベントDX事業へも投資を進めておりしっかりと将来を見据えています。

出所:決算説明資料

◇ゲーム事業
売上高は前年比△13.1%の減収となりました。
ただ昨年は新規リリースしたタイトルがあったため飛躍的に伸びていたので、2020年以前と比較すると売上高は伸びています。

営業利益に関しても、前年が伸びすぎたので前年比で見ると△37.2%の減益ですが、2020年以前と比較すると倍近く利益は伸びています。

出所:決算説明資料

また今後の展開としては、2022年提供予定の新作が3タイトルあります。
「ファイナルファンタジー・呪術廻戦・東京リベンジャーズ」とヒットを予感させるタイトル名です。

この3タイトルがヒットすると前年の様に飛躍的に売上高・営業利益が伸びることが期待できます。

出所:決算説明資料

◇メディア事業
売上高は前年比+35.3%と大幅増収となりました。
2018年以降の推移を見ても右肩上がりで伸びていて、2018年から今回までに約3倍に増加しています。

一方営業利益に関しては、以前赤字の状態が続いています。
今回の決算では営業損失が△124億円となりましたが、2020年以降は売上高の増加に伴って損失額が減少しています。

出所:決算説明資料

「ABEMA」のDL数は開局6年5ヶ月で8,300万突破と着実に増加を続けています。また昨年末のサッカーW杯を機に更にDL数は伸びてきているのではないでしょうか。

出所:決算説明資料

「ABEMA」自体は世間的にかなり浸透してきていると考えられるので、後はマネタイズと言いますか利益に繋がるサービスに課金する利用者がどれだけ増えてくるかが重要なポイントなってくると考えられます。

広告・課金・周辺ビジネスで今後どれだけマネタイズを進めることができるかがカギとなりそうです。

出所:決算説明資料

2.BSの状況

次はBSの状況について見ていきましょう。

総資産全体としては前年末から+11億円増加しました。
全体としてはあまり大きな変動はありませんでした。

出所:決算説明資料

各項目別に見ていくと、流動資産は△78億円減少しています。
そのうち現預金は△155億円減少しています。この点については後のCFの状況の中で見ていきます。

一方固定資産に関しては+89億円増加しています。
その中では建物・構築物などの有形固定資産で+22億円増加しているところが主な内容です。

総資産に占める固定資産の割合は23%となっており、ビジネスモデル的にあまり固定資産が膨らむことはないと考えられます。

出所:決算短信

負債の部に関しては、負債全体で△276億円減少しています。
流動負債の未払法人税等で△246億円減少している点が一番大きいです。

出所:決算説明資料

一方で短期・長期合わせた借入金は+39億円増加しています。

この借入金のうち24億円に関しては、棚卸資産や固定資産などを担保に入れて借入をしています。

前年まではなかったことですが、銀行からの借入時の条件として今回より担保提供を求められたということかと思います。

出所:有価証券報告書

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては△160億円減少しました。内訳としては営業CFで+179億円、投資CFで△314億円、財務CFで△28億円という内容です。

出所:有価証券報告書

営業CFは税前利益で+627億円稼ぎましたが、法人税等の支払いが△452億円ありましたのでその差額分がプラスになりました。

投資CFは有形・無形固定資産の取得で△260億円支出がありました。

財務CFは借入金の追加借入で+55億円ありましたが、事業投資組合への分配金と株主配当金合わせて△73億円の支出があったので全体としてはマイナスとなりました。

また今後のCFに関しては、今多くのリソースを投入している「メディア事業」へ更なる資金投入がされる見込みです。

これからのサイバーエージェントの事業に柱に育てるために集中投資をしていく考えの様です。

出所:決算説明資料

そうなると一時的に資金が不足する可能性も考えられますが、そのための備えとして取引銀行4行と当座貸越契約を総額266億円で締結しています。

出所:有価証券報告書

現状のCFの状況から考えると緊急時の備えとしては十分な金額ではないかと考えられます。

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

マサキタカオ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?