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アイルの決算内容を3分で解説!

今回はアイルの決算内容について見ていきましょう。
楽天、ヤフー、Googleなどを取引先にもつこの企業、決算内容はどうでしょうか?

1.PLの状況

まずはPLの状況について見ていきましょう。
売上高は前年比△1.9%の129億円となりました。営業利益は前年比+14.8%の21億円、当期純利益は+12.5%の13億円となり減収増益という結果です。

出所:決算説明資料

今回の決算では会計基準の変更があり、「収益認識に関する会計基準」を今回から適用しています。売上高が減少した要因の一つにこの会計基準の変更があると考えられます。その理由は、一部の売上高と売上原価のそれぞれの科目に「総額」で表示していたものが、新会計基準では「純額」で表示するように変更になりました。その分売上高が減少したものと考えられます。

出所:決算短信

直近4年間の売上高と利益の推移を見てみると、売上高に関しては今回の会計基準変更の影響もあり前年より減少しましたが、営業利益〜当期純利益までの各利益に関しては毎年増加しており好調をキープしています。

出所:決算説明資料

ではセグメント別に関して内容を見ていきましょう。
セグメントとしては「システムソリューション事業」と「Webソリューション事業」の二つあります。事業規模としては、システムソリューション事業が全体の売上高・売上総利益ともに85%を占めています。

出所:決算説明資料

では主力のシステムソリューション事業から見ていきましょう。
直近4年間の推移を見てみると、会計基準変更の今回は減少しましたがそれまでは売上高は毎年増加しています。それに伴って売上総利益も増加しています。ここでアイルのすごい点は、売上総利益率も年々上昇している点です。4年前と比較すると、41.6%→52.3%と10%以上上昇しています。
利益率の良い売上が増加したのか大幅な原価改善に成功したのか、詳細は分りませんがいずれにしてもかなりすごい改善だと思います。

出所:決算説明資料

また今後の成長を見通す上でも受注状況は気になる点ですが、この点に関してもここ5年間は常に上り調子です。2018年を100とすると、2022年には183と+83%増加過去最高の受注高となりました。
今後もこの調子で増加し続けるかどうかは分りませんが、現状良好なことは間違いないようです。

出所:決算説明資料

次はWebソリューション事業について見ていきますが、その中でもCROSS事業にフォーカスして見ていきます。
直近4年間の推移を見てみると、売上高は毎年増加しています。それに伴い売上総利益も毎年増加していますが、売上総利益率は金額程には増加せずに微増という状況です。
それでも売上高の増加率はこの4年間で+62%とかなりの伸び率を示しています。売上総利益率に関しては微増ではありますが、常に50%以上の利益率を出しているのでかなりの高利益体質ではあります。
この利益率を維持しつつ、売上高がこのまま増加していけばかなり稼げる事業に成長することは容易に想像できます。

出所:決算説明資料

では話を全体の観点に戻して営業利益の増減要因について見てみましょう。
増加要因としては先程セグメント別で説明をした二つの事業の売上総利益+6億円です。特にシステムソリューション事業の増加が大きく+5億円と牽引しています。
一方減少要因としては販管費の増加3億円が挙げられます。新卒・中途採用による社員数の増加、賞与水準の引き上げに伴う人件費が増加しています。
ただこれは無駄なコストではなく「人的資源に対する投資」であり、業績が好調な時はしっかりと社員へ利益を還元していると見ることができます。
結果、営業利益は前年比+3億円増加することになりました。

出所:決算説明資料

営業利益以降の項目に関しては大きな動きがなかったので、ここでの説明は割愛します。

2.BSの状況

次はBSの状況に関して見ていきましょう。
総資産としては前年から+11億円増加しました。資産の部の流動資産+11億円増加していますが、その中でも売上債権+13億円と大幅増となっています。
ここでも会計基準の変更の影響があります。これまで「受取手形及び売掛金」一本で表示されていたものが今回から「受取手形」「売掛金」「契約資産」の三つの区分に分かれるようになりました。

出所:決算短信

一方で商品・仕掛品の棚卸資産△4億円減少しています。これは売上が計上されたことにより棚卸資産から売上債権に振り替わったものと考えられます。
負債の部では特に大きな動きはありませんでした。純資産では、配当金の支払いによる△4億円の減少当期純利益による+13億円の増加が大きな動きとしてあります。
あと金額的にはあまり大きくはありませんが、今回のように会計基準の変更があると、「新しい基準に沿って計算した期首の残高」に数字を合わせる作業が発生します。今回はその再計算をした結果、+1.9億円の影響があったのでその分はBS上に反映されています。

出所:決算短信

また経営指標に関して見ていきますと、安全性の指標となる「流動比率」「固定比率」「自己資本比率」の三つの指標は良好な状態を示しています。
流動比率は340%目安である200%を大きく上回っています。固定比率は41%とこちらも目安の100%以下となっており良好です。
自己資本比率に関しては、業種によってかなり変わってきますので一概には言えませんが、60%となっているので良好であることは間違いありません。
BS全体としては、特に問題になるような項目はないと言えるでしょう。

出所:決算説明資料

3.CFの状況

最後にCFの状況について見ていきましょう。
CF全体としては+1.8億円となりました。内訳としては営業CFで+11億円、投資CFで△5億円、財務CFで△5億円という内容です。
また営業CFと投資CFの合計であるフリーCFは+6億円でした。

出所:決算説明資料

過去4年間の推移を見てみても、営業CFでしっかり稼ぎ、フリーCFがマイナスにならない程度に投資CFに回すというサイクルができています。
全体のキャッシュのバランスを見ながらの判断にはなりますが、もう少し投資CFに資金を投入してもいいのではないかと感じます。
その分株主配当はきっちりと増配の予定をしています。
昨年が1株17円で今回が18円、来年は+2円の20円を予定しています。
キャッシュ的には全く問題ない金額かと思います。

出所:決算説明資料

また不測の事態への備えとして取引先銀行3行と、当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を総額15億円で締結しています。
現状のCFから考えると十分な備えではないかと考えます。

出所:有価証券報告書

今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?

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