あ・る・く
私が中学生くらいのころ。
あるくのが、のろかった。
追い越してゆく、同級生たち。
追い越してゆく、お年寄り。
追い越してゆく、ノラネコさん。
元々体力なくて運動音痴だからなのか、怠け者だからなのか。
それにしても、セカセカ歩くだけが幸せとは限らないぞ。……と、思っていた。
草花の揺れ。
鳥の歌声。
木洩れ日の煌めき。
大空に悠々と雲の流れていく。
風に遊ぶ落ち葉や花弁。
街の人々は何をそんなに急いでゆくのかな、と思っていた。
ゆっくりあるくのは、こんなに素敵な世界なのに。
時は経て、現在。
私も普段はセカセカ歩くようになった。そして何か焦ることも多くなった気がする。
けれどもやはり、ゆっくり散歩が好きである。
思案にくれて、のんびりあるく。
青い空には雲くも浮かべ。
ナイスアイデア浮かんだら、スキップしそうなルンルン気分。
夕陽をあるく、平和とはなに。ちょっぴり切なさかみしめて。
しょんぼりとした夜ならば、星の灯りに励まされてみようか。
ゆっくり、ゆっくり、あ・る・く。
良いものだなあ~。
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