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事業が作られていく過程に寄り添いながら世界観とコミュニケーションツールをつくる

逍遥学派では、プログラムやワークショップだけではなく、デザインのお仕事もしています。

私たちは、問いを投げかけながら、まだ複雑で人に伝えることが難しいものを一緒に紐解き、整理しながら、本当は価値があるのに光が当たっていない領域をひらくためにデザインをしていきます。

Case3:
株式会社HINOE(ひのえ)の世界観とコミュニケーションツールを一緒につくる


今回制作した、コミュニケーションツール
(Webサイト / ロゴ / 名刺)


ロゴデザイン


名刺


実際にどんなプロセスで、この世界観やデザインが生まれてきたのか?
それによって何が変わり生み出されたのか?
についてまとめたいと思います!

他の事例については下記noteにもまとめています。


株式会社HINOEとは?

「リーダーシップ」と聞くと、強く相手を引っ張っていく外向型の人を思い浮かべる人が多いと思うのですが、HINOEが着目しているのは、外向型の人だけではなく、内向型の人もチーム全体が相互を生かし合うような組織開発を伴走してくれる会社です。


|逍遥学派がご一緒したこと

事業をこれから始めていく段階だったので、ミーティングごとに変化していく事業の内容を聞きながら、HINOEが作っていこうとしている世界観を一緒に決めていくため、まずは指針なるロゴを作っていきました。

<依頼内容>
・ロゴデザイン
・WEBデザイン
・名刺デザイン

<依頼した経緯>
知り合いの会社経由で紹介(おすすめ)いただき、ご連絡しました。特に美術教育に力を入れられているところや、開放をテーマにされているところ等、自身の価値観に重なる部分が多く、依頼に繋がりました。
<依頼したことで変わったこと>
1人ではコンセプトは考えられても、それをどのように表現できるか皆目見当がつかなかったため、打ち合わせの中で多様な表現やご提案に触れることができて視野が広がりました。

HINOE 矢本さんより


|実際にどのように進めていったのか?

1.HINOEのことを知る
ご本人がHINOEを設立することになった経緯と、どんな事業をしていくのか、HINOEの他社にはない魅力はなんなのか?を聞いていきました。
お話を最初に聞いた時は今のコンセプト「翳り(かげり)」というワードは出てきていませんでした。

2.大切にしている価値観を文字にして整理
大切にしている価値観を文字ベースで整理し、共有していただきました。
普段から言葉の意味を深く考えていることをされている方だったので、聞くとすぐに言葉が出てきて説明していただくのですが、反対に、ご本人がまだ考えきれていない箇所はどこなのだろう?と思いながら質問を重ねていきました。

3.大切にしている価値観と、話を聞く中で感じた印象を元にイメージを収集
最初、陽(太陽)だけど夏のように強い太陽ではないという風におっしゃっていたので、いわゆる強い光を放つ夏のような太陽ではない表現や、月食や日食など、重なった時のような暗闇の中でうっすら光る光を中心に、世の中に存在しているビジュアル(色、雰囲気、形、動き など)を探していきました。

「丙 (ひのえ)」は古代中国で時間と空間を表すために使用した数詞・十干(じっかん)の第3位に由来し、①芽が出て葉が広がった状態 ②五行の太陽、方位の南、季節の夏、火の兄(ひのえ)を表します。明け方に日本家屋に差し込むような、翳りと共に在る、清らかな陽光を意味しています。

HINOEの由来


イメージ収集について、ご自身のプロジェクトに与えた影響はありましたか?
自身のテーマ(解放や陽光)の解像度があがり、本質的に何を成し遂げないといけないか、事業の方向性の整理に繋がりました。

HINOE 矢本さんより


4.ラフでアイデアを共有し、ロゴを更に具体的に作成
方向性ひとつにを決めるためのラフデザインとアイデア資料を3方向、作成しました。しかし、この案では決まらず、真ん中案のアイデアを踏襲して、この時に出てきた「翳り」というコンセプトを元に、ロゴを再デザインしました。

実際に作っていく過程で気づいたことや、印象に残っていることはありますか?
どのラフ案も素晴らしく心惹かれましたが、だからこそ自分の軸(ロゴで表現したい本質)をどう置くか考えるきっかけになりました。
自分がどのような物の見方をしているのかに気付かされました。例えばロゴに感じる男性性や女性性、高級感や大衆感など、無意識にイメージしているものが浮き彫りになりました。

HINOE 矢本さんより


実際にできたロゴデザイン

<趣意文>
暗い世界の中に、光が柔らかく広がっている箇所があり、この先に何があるのだろう?と思ってしまう空間が、HINOEの内向型に寄り添いながらも。その場に留まるのではなく、緩やかに変化を起こそうという姿を抽象的に表現した。扉から漏れ出る光は、静(暗闇)から動(自らの意志で光の先へ向かおうとする)を想起させる。


5.ロゴの世界観をベースにWebサイトを作る
ここからは、一般的なWebサイトの作成方法とそこまで変わらないのですが、ロゴから一緒に作れたことで、デザインを決定していく部分はとてもスムーズに進行することができました!


こだわったロゴをきっかけに、名刺やWebサイトへ展開していきました。
名刺は画面用の色を反転させたものを作成し、黒の紙を使用することで味わい深い名刺に仕上がりました。

最初は、丙(hinoe)の意味から太陽の明かりをどのように捉えるのかずっと話していました。
しかし、HINOEの特徴である「翳りのリーダーシップ」と小説家 谷崎潤一郎の、日本家屋の薄暗さに差し込む光や、ふすまを通した淡い光が日本らしい美しさである「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」というコンセプトと重ねた時に今のデザインと結びついていきました。

最初イメージしていたものから、別の形に変化していくプロセスをお互い受け入れられたのも、お互いにこの制作プロセスを享受できていたからだと思います。

最後に下記の質問で締めくくりたいと思います。

デザインとはどういうものだと感じましたか?
私にとっては世界観そのものであり、想いやビジョンを外に伝える術だと感じました。
どんな人に勧めたいですか?
自分の世界観をもっているけど、その表現に難しさを感じている人。会社の存在意義や本質を一緒に考えるパートナーを探されている人。

HINOE 矢本さんより


制作期間:4ヶ月
デザイン・ディレクション:逍遥学派

最後まで読んでいただきありがとうございます!

自分達だけでは、言語化し難く複雑なものを、ビジュアルや言葉にして人に伝えたい!という方、
ブランディングを見直そうと考えている方、
新しく事業を立ち上げたので一緒に整理していくことが必要な方、

下記、逍遥学派のInstagramより、気軽にお問い合せください!https://www.instagram.com/shoyogakuha/

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