1人親方、個人事業主のデメリットと必要な覚悟

友人が1人親方になろうとしているらしく、今度話を聞いてきます。

その準備として軽くまとめておきます。

注意!以下は全て経営者目線からのポジショントークになります

 昔はよく社員から「個人事業主の方が手取りが多いので辞めます」という話をされて困惑していました。

 『えっ、うちそんな給料安い?』と思いつつも、会社員と個人事業主のパターンで得られる収入、保障なども含めて当時比較してみたのですが......、

 当然ながら個人事業主の額面収入が、会社員に比べて高いのは当たり前の話です。額面収入はね。

 簡単に手取りが多いと言いますが、彼らは会社が色々代行してやってくれる年末調整もなく、確定申告を自分でして、税金その他社会保険料を全て自分で納付します。

 ただ年金の場合は加入できるのは厚生年金ではなく国民年金になります。将来の受け取り額は確実に厚生年金の方が大きいです。

 会社員ではありませんから、労働基準法は適用されません。有給も傷病・慶弔休暇もありません。産休も育休もありません。

 残業代は交渉次第でしょうが、自分の都合で遅れている場合はもらえないでしょう。

 会社員ではありませんので、他の会社員と同じようにボーナスを払う必要もありません

 収入が安定するまで時間がかかり、安定したなと思っても、簡単に仕事が切れたりします。

 非正規雇用と同じように、社会情勢に強く影響されます。雇用保険には入れません。雇用保険に入らないということは失業手当も貰えないということです。

 そうなると怪我や病気をしても収入保障はありません。自分で別に保険に入る必要があります。

(労災は特別加入できますが、次の仕事に影響することを恐れて自ら労災隠しをする事例も散見します)

 また元手が必要な場合は、開業資金を借りる必要も出てくると思いますが、このハードルは意外と高く、また収入が安定的でないためか社会的信用が薄いと判断され、家や車のローンがなかなか組めないこともあるようです。

 やはり僕の知り合いも開業資金は親や友達から借りたケースや自己資金のケースが多く、金融機関から借りられたという人はわずかです。

そんなの関係ねぇ


 ここまで言われても『いや俺は自分の腕とこれまでの実績と信用だけで食っていける!』と思う人、年商1,000万以上は軽く超えられる見込みのある人などは、これらのリスクを背負っても特に大丈夫でしょう。

 半端な覚悟の人には正直な話おすすめしません。

 体感ですが、明らかに国は小規模事業者や個人事業主を減らそうしています。補償と法律でバチバチに保護された社員の直接雇用を促してきています。

 個人事業主や小規模事業者は、国から見たら管理しづらい(徴税しづらい)存在であり、なるべく1つの会社あたりの人数を増やして、業務効率や生産性を上げてほしいんじゃないかというのが見え隠れしています。そして納税しろと言っています。

 そう、インボイス制度ですね。これが始まれば、免税事業者はいなくなり、消費税納付も始まります。これが本当に辛いと思いますね。

 当然ながら会社としては会社員を直接雇用することなく、逆に個人事業主でいてくれた方が、負担が軽くなり消費税の納付額も下がるので、正直メリットしかないです。(法改正で少し変わったかな?教えて偉い人)

 仕事が無ければ無いで、人件費のような固定費ではありませんから、簡単に経費削減できます

(まぁそんなことしてたら忙しくなっても職人集まらなくなりますが.......、)

結局立場によって意見は変わる

 まぁこういうのは経営者の立場から見たポジショントークです。

 個人事業主には高いリスクに見合ったリターンを得られる可能性、そしてメリットもたくさんあります

 何より業種によっては自由です。勤務時間や仕事を選べる職種もあるでしょう。

 ただ個人的に経営者としては、それよりも労働基準法で守られている会社員の方が、長い時間軸で見るとトータルとしては安定していてメリットも多いのかなと感じています。

 会社員の目線からは会社員なりのデメリットがあり、隣の芝は青い状態かもわかりません。今となっては僕も経営者歴の方が長くなってしまったので、会社員時代の気持ちがだんだんわからなくなってきてしまいました.......、

 それはともかく、ここまで個人事業主のデメリットをツラツラ並べて不安を煽ってきましたが、個人事業主でも沢山の人から信用されて活躍している腕の良い職人さん達が沢山いらっしゃいます。

 彼らはこれらの不安を、まさに自らが培ってきた技術、経験はもちろん、何より人柄の良さで振り払ってきた、尊敬が作業服を着て歩っているような人たちです。

 あの姿を見たら憧れるのも頷けます。

 しかし、輝きが強いものほど、影は濃く、強い光の裏には深い闇があるものです。

それを忘れないでください。
(中二病患者より)

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