伊藤詩織vs山口敬之のレイプ裁判、山口氏に330万円の支払い命令

日本のMeTooブームの ”はじめの一歩” にとりあえずの決着

日本のMeTooブームの先駆けであり、また中心人物でもあった伊藤詩織氏が、元TBS記者の山口敬之に対して起こしていた裁判と、逆に山口氏が名誉棄損だとして伊藤氏に対して起こしていた裁判に、ひとまず決着が付いた。

上の弁護士ドットコムの記事は努めて冷静。ここまでのやり取りなどについては真ん中のハフポスの記事の方が詳しい。
そしてこの判決を受けた山口氏は控訴する方針だそうな。

伊藤氏は2015年に仕事の相談で山口氏と食事をし、その際に意識を失って山口氏にレイプされたと主張。
対する山口氏は、伊藤氏の虚偽の主張によって大きな損害を受けたとして、1億3000万円の損害賠償や謝罪広告などを求めていた。

この事件が注目されるキッカケとなったのは、伊藤氏の衝撃的な記者会見にあった。
伊藤氏が警察に訴え出て、一度は山口氏への逮捕状が出たのに、なぜか取り止めとなり、結果的に嫌疑不十分で不起訴に。その後、検察審査会も不起訴相当と判断。
こうした不可解な部分を伊藤氏が顔出し名前出しで記者会見を開いて世間に広め、MeTooブームの形で情報が拡散された。

その後、伊藤氏はこの件を海外でも伝え広め、その際のニュースログは今でもあちこちに残されている。

↑例えばこんなの

ちなみに時系列を正確に言うと、世界的にMeToo運動が有名になったのは、2017年の10月にハリウッドなどで活躍していた有名な映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインが、ニューヨークタイムズにセクハラや性的虐待をすっぱ抜かれたため(後にワインスタインは逮捕され、100万ドルの保釈金を払ってGPS常備の監視生活をしているそうな)。

これに対して伊藤氏の記者会見は2017年の5月であるから、実は世界的な潮流と比べると伊藤氏の動きの方が半年ほど早かった。
付け加えると、伊藤氏が後にこの事件に関する著書を発表したのが2017年の10月であり、この著書とワインスタイン事件とがリアルタイムでリンクした格好となる。

忖度か、妥当な結果か

私が今回特に強く言っておきたいのが、この件について「やはり安部が~~!」「検察による政権への忖度が~~~」などと吹き上がっている連中は愚かにも程があるという事だ。

まず考えねばならないのが、先に山口氏が不起訴となったのは刑事訴訟であるということ。今回このような判断が下されたのは民事訴訟であるということ。

刑事では難しくても民事ではワンチャンというのはよくある話で、これは「どんな情報が必要か」による。

この一件(伊藤→山口の訴訟)では伊藤氏と山口氏の間に 「性行為があったかなかったか」 の部分で争いがなく、であるならば山口氏の故意もしくは過失or大きな過失といった点が認められるかのみが争点だったと言っていい……はず。

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