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「今日の加害者は明日の被害者」ネットの誹謗中傷は無限に被害者を生み出す #3

「今日の加害者は明日の被害者」ネットの誹謗中傷は無限に被害者を生み出す
#1  https://note.com/oharan/n/n719398bd26f8
#2 https://note.com/oharan/n/n5b160b7ed2e5
#3 https://note.com/oharan/n/n7fc56bb3a5c9

他人を ”安全に中傷する方法” などない

これはいつの間にかみんながネットに慣れるにつれて勘違いしてしまった事だと思うのだが、どこの誰にも他人を名指しして誹謗中傷する権利はない。
一昔前は「匿名のネットイナゴが~!」なんて言われ方をしていたが、匿名だろうと実名だろうと、ネットで他人を公然と誹謗中傷するなんて真似は、誰にとってもリスクと引き換えの危険行為である。

対象が一般人でも、有名人でも、政治家でも、ノーリスクで中傷できる相手などいるはずもないのだが、この基本中の基本も理解せず、我こそ正義とばかりに暴れ回る輩のなんと多い事か。

よく言われているのが「相手が公人ならば~~」というヤツだが、これは素人が勝手な判断で拡大解釈をして使い倒している面があり、実際に訴えられてみれば分かると思うが、よほど上手くやらない限り、相手が政治家であっても名誉棄損程度は簡単に成立する。

ネットやSNSで声の大きいアホの中には、どこぞで聞きかじったその手の話を自分に都合よく取り入れ、「相手が公人だからwww」と言っているだけの輩が多く、実際のところ訴えられないための備えなど出来ていない。
誤った情報を信じ込み、完全に油断し切っていて、相手がその気になったら一発アウトな文言を躍らせてしまっている。

また、たまに「裁判なんかいくら負けてもひろゆきみたいに払わなければいい」なんて寝言を口にするヤツまでいるけれども、じゃあ実際にやってみたらどうか。試した事もないクセに能書きばかり垂れるなという話である。
誰もがひろゆきのような立ち回りが出来る訳ではなく、殆どの人間は相手に口座を止められ、職場からの入金がなくなり、ピーピー泣きごとを言うハメになるだろう。

私個人の話をさせていただくと、私はインターネットに基盤を置くライターとして、ジャーナリストとして、20年近くも様々な話を追い掛けて来た。
まだまだ未熟だった頃には、時に追及する相手に誹謗中傷のような言葉をぶつけてしまった事もある。
今からしてみれば浅はかだったなと反省する事も多いのだが、しかしそれにしたって最低限の勉強をし、全て覚悟の上でやっていた事だ。

とはいえ、無駄に負けてお金を取られてはつまらないので、簡単には訴えられないように、そして訴えられてもつまらない事で敗訴しないように、乱暴な言葉を使っているようでも実はよくよく考えて文脈を整えており、相手がどれだけムカついても訴えて来られないような手段を講じていた。
フリーランスのライターや記者がやっている事は、その上での突撃取材や記事掲載なのであって、簡単に素人が真似できるようなものではない。

事実、私はこれだけ長い間常に誰かと揉めているような活動を続けて来たのに、今の今まで1度も裁判で負けた事がない(とっくに関りが無くなっていた媒体の巻き添えで、気付いたら連名で敗訴していた事は1回だけある)。

中には濫訴魔やサイコパスとして名が知られていた政治家とグチャグチャに揉めた事もあったが、その時ですら「息をするように裁判を起こす」とまで言われていた狂人が相手だったのに、内容証明の一通も送られずに済んだ。

そんなどうしようもない過去ばかりの私がこう言うのだから、素直に聞き入れていただきたいところなのだが、相手が誰であろうともリスクのない誹謗中傷の方法などありはしない
自分自身の言葉をネット上に残してしまっている以上、匿名といった安全地帯を作り出す事は相当難しく、訴えられたらまず負けるくらいに考えるべきであろう。昔と違って今は警察にもノウハウが蓄積されており、古い情報で「イケるはず」なんて思い込むと、その内に手痛いしっぺ返しを喰らう事になるだろう。

2ちゃんねるなど、表面的には匿名が許される場であっても、実際に訴えが起きれば発信者情報が開示されるし、そうなれば自宅に訴状が届くまであと一息である。
匿名を守るために念入りに準備をすれば逃げ延びる事は可能だろうが、反射的に有名人にいちゃもんをつけて憂さ晴らししているような連中が、そこまで事前準備をしているとは思えない。
何か一点でもほころびが出れば、そこから個人が特定され、アナタの自宅に内容証明や訴状が送られてくるのである。

まずはこの辺りの話を学校教育として子供に叩き込み、それこそ小学生くらいの内に「ネットのお作法」「自衛手段」を身に着けさせるべきであろう。必要なのは、このようなネット上での立ち回りに関する ”具体的な教育” であって、規制など二の次三の次とすべきである。

また、現時点ですでにそういう状況なのだから、今さら新たな規制法など必要ない。現行法だけでも対応は充分に可能であり、被害者目線で見た場合にそこに辿り着くまでの道が困難である事こそが問題だ。

普通のひとは最新の判例など気にして生きてはいないだろうから、意外と簡単に名誉棄損は成立するのに、そういう情報に触れられる機会が少ない。そうした難点だけ改善だけしておけば、後は法のプロである弁護士を頼って、ジャンジャン訴えてやればいいだけである。

このように「いつでも簡単に訴えられる」と思えるだけでも、かなり精神的に楽になるはずだ。実際に裁判に勝ってどうこうより、私としてはそちらの方が重要だと考えている。

無駄な法・規制を増やす事の愚

無駄なネット規制は、やって然るべき対応に割くリソースを減らしてしまうという問題点もある。前回の記事では「安易なネット規制は弱者が声を挙げられなくなる」と述べたが、その他にも「限られたリソースをどこに割くのか?」という点も考慮すべきだ。

これは児ポ法問題などでも散々指摘され、事実その通りになってしまった点でもある。ポルノの取締りは強化されたが、児ポ法によって被害児童を減らせたかと言えば、決してそうとは言えない。
それどころか、ボーイフレンドなどに嫌われたくない一心でエロ自撮りをした女の子が、児童ポルノ作成の容疑で捕まるという「だから言っただろ」としか言えないケースが続出した。

見当違いの規制は、このような「何が目的だったの?」という笑えない結末を招いてしまうものなのだ。

よって、今回のケースも安直にネット規制ばかり考えるのではなく、ネットの安全な使い方をレクチャーしたり、実際に被害に遭ってしまった場合の対処法などを教える事の方が重要だと考えるべきである。

言うなれば、ネット規制というのは「加害者に対してどうするか」という、加害者の方だけを向いた考え方である。

しかし、いま本当に必要なのは「被害者に対してどうするか」という、被害者と向き合う事なのだ。

ここは決して間違ってはならない部分で、ここで失敗すると救いたいはずの対象が救えなくなるどころか、児ポ法の時のように救うべき対象を叩いてトドメを刺すような、意味不明の結果になってしまい兼ねない。

リアリティショーに対する規制

そうは言いつつも、早急に規制(最低限のルール)を設けるべきだろうと思う対象もある。それはテラハのようなリアリティショーだ。

あの手のリアリティショーの何が問題かというと、番組の制作陣が演者の身の危険に関して無頓着過ぎるのである。テラハなどは台本のあるヤラセ番組の疑いが強く持たれているにもかかわらず、番組中の演者の言動に対する視聴者のリアクションが、直接個々のSNSにぶつけられるような構図になってしまっている。
最もしんどい部分を演者の自己責任にするという無責任さなのだから、何かあった場合に演者を守る事が出来なくて当たり前ではないだろうか。

ああいう生々しさをウリにしているのだから、番組を見てムキになる視聴者が一定数いる事は容易に想像できるはず。逆に言えば、そういう「オツムの弱い視聴者」が大勢いるからこそ、こんな商売が成り立っている。

だからこそ、もっとTV局なり制作会社なりも、演者と同等にリスクを背負うべきである。むしろ最も大きな金が転がり込む立場なのだから、最も大きな責任を負うべきだ。

例えば、番組放送中は演者個々のSNSの使用を中止させる(その分も加味してギャラ設定する)とか、オフィシャルなアナウンスだけ所属事務所なりTV局なりがアカウントを作って垂れ流す形にして、演者の個人的なSNSアカウントは閉じてしまうべきだろう。

ところが、今はTVにしろAVや風俗にしろ、演者や”嬢” にtwitterをやらせ、そこに人を集め、宣伝させるという手段を当たり前としてしまっている。その宣伝効果込みで企画や出演者を考える場合すらある。
この危険極まりない、そして情けないやり方を、早急に改めさせるべきだ。

もし仮に演者が直接管理するSNSアカウントがどうしても必要と言うならば、せめて「番組内容に対するご意見は全てこちらにお寄せください。演者自身のSNSなどに対する誹謗中傷は発見次第訴えます」くらいの毅然としたアナウンスを毎回番組中に載せるくらいしたらどうか。
そしてその言葉通り局の金(予算)で、演者を守るために弁護士を雇い、必要が生じたら然るべき手段に出てみせねばならない。

その程度のフォローが出来ないというのであれば、テラハのようなリアリティショーを制作する資格はないのではないか。
演者も守れないTV局って何だそれ?

現在進行形で酷い目に遭っている人間を助けたらどうか

これはこの記事の中に書くべき事なのか悩んだのだが、蛇足と受け取られてしまったら申し訳ない。

何の話かと言うと、木村花選手の死に対して「お前がそれを言うの?」という連中が目に付いてしまい、黙っていられなくなってしまったのだ。

今も昔もインターネットでは様々な女性が炎上の対象にされて来た。その中でも特に私の中で印象に残っているのは、2ちゃんの鬼女板でターゲットにされた辻希美であるとか、ツイッターフェミの集中砲火を浴びた春風ちゃん(春名風花)である。この両名は今でも攻撃対象にされており、ある意味で木村花の大先輩にあたる存在だと言えよう。

しかも木村選手同様に、この両名を叩いている連中の多くは同性、すなわち女性であり、別に犯罪行為に手を染めた訳でもないのに、不快感・不愉快だけを根拠に一方的に攻撃を受けているという共通点がある。
辻ちゃんにしろ、春風ちゃんにしろ、木村選手にしろ、女の身勝手な感情によってクソ叩きにされ、行き過ぎた迷惑行為の被害に苦しめられている、いわば「女の敵は女」を証明する存在となってしまっているのだ。

「にもかかわらず」というか、むしろ「そうであるから」なのか、普段【男・オタク・ロリコン】といった属性に対して執拗な攻撃を仕掛けているフェミ連中は、決して彼女達を庇おうとはしない。
むしろ春風ちゃんなどは、フェミを名乗っている女性達から「名誉男性」と意味の分からない因縁を吹っ掛けられて、未成年者の頃から攻撃を受け続けている始末である。
常日頃は「実在児童を性被害から守れ!」なんて主張しているフェミ連中が、実在児童であった春風ちゃんを、毎日毎日粘着質に攻撃し続けていたのだ。一体なんだろう、そのダブスタ以前の狂った状況は。

そんな具合に、過去に辻ちゃんや春風ちゃんに対して、また他の女性タレントに対して口汚く罵声を浴びせかけていたような人間が、木村花選手に対して取って付けたような同情めいたセリフを吐いている姿を見ると、「お前だけはそれを言うなよ」という気持ちでいっぱいになってしまう。
さらに余計な事を言えば、木村選手の死を「男に消費された」といったロジックに落とし込む狂人もおり、人の命をてめえの薄気味悪いイデオロギーのために利用するとは、流石フェミ様だなと言うよりない。

木村選手の死を痛ましいと感じているならば、今後もう二度と、誰が相手でも、インターネットやSNSを使って罵詈雑言をぶつけるような真似はしないでいただきたい。
お前らがターゲットにしている人間は、「たまたま今までは死ななかった」というだけであって、やっている事は木村選手をイジメ殺したケダモノ共と何も変わらない。本当に木村選手を哀れと思うならば、せめてそれくらいは自覚すべきだ。


我々は誰もが加害者の立場に回る可能性がある。こんな偉そうな事を言っている私だって、未だに感情任せに特定個人を非難してしまう事がある。
今だってフェミのクソったれ共の事を頭に思い浮かべるだけで、とてもネットには書けないような罵詈雑言が次々と湧いて来てしまう。

一応、他人を批判する場合はそれ相応にギャラリーが納得するロジックを組むようにしてはいるが、それでもうっかりやり過ぎればいつ訴えられてもおかしくない。こういう話はヤラれた側がどう感じるかであるから、単なる罵詈雑言と受け取られる事もあるだろう。

特に極端な悪口や煽り文句じゃなくても、「ネット上に他人の名前を書く」という行為、twitterなどで直リプを飛ばす(接触をはかる)という行為は、それだけでリスクが生じるものなのだ。これをネットを利用する全ての人間が肝に銘じねばならないのである。

プロレスファンは木村花という未来を失ったのだから、せめてそれに代わるような大きなリターンを求めたい。
何年か経って「我々は木村選手を失ってしまったけれども、昔よりマシな状況を手に入れる事は出来たね」と、慰めにも穴埋めにもならない言葉を吐かせて欲しい。

このまま木村選手を失いました、ネット規制が始まって窮屈になりましたでは、ただただ悲しいだけでしかない。

嫌だ、そんなの。


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荒井禎雄(フリーライター兼主夫)
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