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「今日の加害者は明日の被害者」ネットの誹謗中傷は無限に被害者を生み出す #2

「今日の加害者は明日の被害者」ネットの誹謗中傷は無限に被害者を生み出す
#1  https://note.com/oharan/n/n719398bd26f8
#2 https://note.com/oharan/n/n5b160b7ed2e5
#3 https://note.com/oharan/n/n7fc56bb3a5c9

感情的な対策は更なる悲劇を巻き起こす

さて、今回の件が広まるにつれて、著名人や政治家からも非難の声が挙がり始めた。
しかし、政治家も著名人もSNSなどで心ない誹謗中傷を浴びる機会が多いからか冷静さを欠いており、非常に多くの問題点が見受けられる。

この蓮舫のツイートが代表的なのだが、パっと見ただけでは何が問題なのかイマイチ伝わり難いかもしれない。

世の中にはさらに感情的な「花を殺した連中も殺せ!」といった、「お前も木村花に罵詈雑言をぶつけてた連中と同じだろ」と言いたくなるほど危ういものまであるため、どうしてもそちらに目が奪われてしまいがちだ。
しかし、より危険なのはそのような分かりやすい連中ではなく、蓮舫のような ”対策” を講じられる立場にある人間の暴走なのである。

確かに今回の一件はSNSの負の効果が大きすぎ、人々の悪意がSNSを通じて凝縮されるとここまで酷い事になるという証明になってしまっている。これを何とかしたい気持ちはよく分かる。

だが、これに対して「対策に動きます」と言うのは簡単だが、実際に何をやるのかによって、当初の目的とはかけ離れた更なる悲劇を巻き起こす可能性が高い。

例えば、この手の話で政治家が真っ先に考えるのは法規制である。
今後、感情の赴くままに突っ走って、何かしらSNS規制的な話が進んだとして、その場合にどのような事が起きるか考えてみよう。

上の蓮舫の例で言うならば

そもそも普段から安倍らに対して罵声を浴びせてるお前らが言うなよ

の一言で済ませられる。

一々具体例を挙げて行くのもバカバカしいが、蓮舫に限らず野党の政治家やその支持者達が安倍らに向けて発している聞くに堪えない罵詈雑言、あれは規制の対象になるのだろうか、それともならないのだろうか。

蓮舫がいくら対策に動くと言ったところで、少し話が進めばどんなバカでも「自分達が危うい」と気付くはず。最悪の場合「自分で自分の口を塞ぐ事になる」とも。
そういうゴールが見えた瞬間に、ヤツらはサ~っと退いて行くか、自分達の好き勝手を続けられるよう、意味の分からない穴だらけの法案しか認めなくなるだろう。この時点で、なんら効果の望めないインチキな法律が増えるだけとなってしまう。
それでは全くやる意味がないどころか、無駄な法が増える分だけ、国民にとっては害悪でしかない。

より最悪なのは、何だかんだSNS規制の話が順調に進んでしまった場合だ。そうなると法律というのは良くも悪くも「平等な文面」が組まれるものだから、強者だろうと弱者だろうと等しくその法で縛られる事になる(という建前になっている)。

だが、より声を挙げる必要に迫られるのは弱者である。これは少し考えれば分かる話だが、強者はわざわざSNSなどでクドクド言わなくても、生きて行く上であまり困る事がない。
ところが弱者の立場ではそうはいかず、SNSでも何でも使えるツールは全て使って声を挙げねば、会社に、社会に、権力者に殺される可能性まである。

皆さんもあちこちで「たまたまTwitterで拡散したら話が良い方に転がってくれた」なんてケースを目撃した事があるだろう。下手な法規制が行われると、そうした事すら封じられてしまう可能性が高まってしまうのである。

よって、ネットの罵詈雑言は許せるものではないけれども、かといって安易に法規制の方向へ流れてしまうのは絶対に避けるべきなのだ。

(早い話が言論の自由を守りましょうというお話になる)

必要なのは被害者のケア

とはいえ、この手の ”ネットリンチ問題” は野放しには出来ず、今後も悪化こそすれ、何も手を打たなければ良化する事など望めない状況にある。
よって、何かしなければいけないのは事実だ。

では具体的に何をすればよいのだろうか。

まず優先すべきなのは、この手のネットリンチの被害に遭った人間を守る事である。これには法律面と医療(カウンセリング)面の2方向からのケアが必要なのだが、この国は警察や弁護士など法の番人へのハードルが高すぎる。ハードルが高い上に、それを乗り越えても満足な対応をして貰えないケースも多い(特に警察)。
なんせストーカー問題で駆け込んでも相手にして貰えず、結果的に殺されるなんて痛ましい事件が何度も起きている国である。
この「警察の異常なまでの塩対応」は早急に何とかしていただきたい。

次に弁護士に関しては、今後もそういう事が頻繁に起きるであろうという可能性を感じたら、法テラスに相談してみるのが最も無難と思われる。

ここには弁護士を必要とする様々なケースに対応できるよう窓口が設置されているので、困り事があったらとりあえずここに連絡するというのが一番だ。

私も過去にネット上でのいざこざがキッカケで訴える訴えないの話になった事があるけれども、というか10年くらい前まではそんな揉め事が日常茶飯事だったけれども、そんな毎日の中で痛感したのが「身近に気楽に相談できるプロを置いておくべきだ」という一点だ。
自分自身で法律の勉強をするとなると、日本の法律はあっちこっちが複雑怪奇に絡み合っているため、何が何だかよく分からない。ある法律ではアウトに思えても、別の法律では例外として合法かのように書かれていたりする。
そんなものを素人が独学で学び、裁判などに対処するなど不可能である。

よって、何かあったらばプロの力を借り、相談に乗って貰い、何をすべきなのかレクチャーを受けるというのが最も効率がいい。

例えば、今のご時世ネットの名誉棄損に厳しい判決が下りるケースが増えているけれども、そこまで漕ぎ着けるには証拠をマメに集めておくとか、細かな準備が必要である。
そういう「証拠として何がどれだけ必要か、どのような形式で必要か」「何を証明すれば望む通りの結果になるか」といった情報をくれる相手が欠かせないのだ。そんなもん弁護士に頼る以外の選択肢などない。

また医療面からのケアとは、率直に言えばメンタルケアである。この手のネットリンチに晒されると、とにかく精神を消耗する。
こんな20年以上もネットバトルに明け暮れ、狂犬呼ばわりされ続けて来た私でも、何か揉め事が起きるとあれもこれも考えなきゃいけない事だらけで、それはそれは精神が不安定になってしまう。
ある程度慣れているはずの私ですらそうなのだから、木村花選手のような20歳そこそこの若者など、あの暴力に晒されたらマトモでいられなくなって当たり前だ。

これについてはダルビッシュがとても分かりやすい画像をtwitterに載せていた。それを見れば、誰でも直感的に理解できるだろう。

正義感に駆られて、また単なる憂さ晴らしで、特定個人のSNSにクソリプや罵詈雑言をぶつけている人間は、自分ひとりの目線しか持っていない。
ところが、そうしたバカが百人千人と集まれば、心ない書き込みを一身に受ける身からすれば、このように1m先も見えないほどのイナゴの大群に囲まれているような感覚になる。

よく無責任に「スルーしろ」だの「ブロックすればいいじゃんw」などと無責任な寝言をぶつけるアホが大勢いるけれども、じゃあお前が一度twitterを立ち上げる度に何百件とクソリプや悪意を投げ付けられる状況になってみろやと言いたい。
おまけに近頃は ”特定班” なんてふざけ半分の言葉で他人のプライバシーを暴き立て、現実社会からも排除しようとする狂人(というか病人)がわんさかいる。そんなはしゃぎ回るバカ共のせいで人生が台無しになる人間が後を絶たないという事が大問題なのだ。

私は過去にネットウヨク団体や反差別を謳う差別集団・しばき隊、近頃はツイフェミなどと敵対して来たが、そりゃもう徒党を組んだ嫌がらせを浴びること浴びること。
普段はブロック機能など滅多に使わないのだが、そうしたリンチの真っ最中には、ブロックだろうとミュートだろうと使えるものは何でも使い、さらに法の専門家にも相談し、何だったらSNSやブログにしばらく触らないなど、出来る事を全てやって体勢を整えねば対応し切れない。
いや対応するというか、まともな精神状態で日常生活を送る事が出来ない。

ネットリンチ被害の当事者というのは、常にそういう状況にあるのだから、説教をくれてやるとか、上から目線でああだこうだ言うのは逆効果だし、そういう声も自分に対する攻撃だと受け取ってしまう。

仮に100%の善意で言葉をかけたいというのであれば、言い方がキツくならないよう気を遣いつつ、逃げる方法をアドバイスしてあげるとか、あまりに酷い連中を見付けたらtwitter社などの運営に通報するとか、スクショ保存を手伝ってあげるとか、出来る限りの事をしてあげて欲しい。

ネットリンチとは、木村選手ほど順風満帆な人生を歩んでいるように思える人間でも簡単に病んでしまい、視野が極度に狭まり、全てに絶望して極端な行動に出てしまうほどの負のパワーを持っている。
よって、まず真っ先に考えるべきは、被害を受けている人間の心を楽にしてあげる事である。

加害者にはどのような罰が相応しいのか

現在、木村選手を誹謗中傷していた連中は、次々とアカウントを削除して逃亡している。

心情としては、そいつらこそ地獄の業火に焼かれていただきたいし、同情の余地などチリほどもないと思っているのだが、この件に関しては加害者らを追い詰めるのは不可能ではないものの、非常に難しいように思う。

なんせ、それをやる大義名分を持つ人間は、今となっては母親の木村響子さんしかいない。
twitter社に発信者開示請求をしようにも、アカウントなどのログは1か月間ほどしか保存していないはずなので、加害者に何か天罰を喰らわせたいと思ったら今すぐ動かねばならない。
とはいえ、娘をこんな事で亡くしてしまったばかりの彼女に、「今すぐ動け!」なんて誰が言えるのだろう。

さらに言えば、問題のあった書き込みのスクショを取るとか、URLをメモしておくといった準備がなければ、アクセスログの保存期間内であってもアカウントの持ち主の特定は望めない。
これは決して言いたくない事なのだが、当事者である花選手がこういう事になってしまった以上、殺され損になってしまう可能性が高いように思う。

だからこそ、今後のためにもっとスピーディに、手間を少なく、この手のバカを片っ端からとっ捕まえられるような状況を作っておかねばならない。
今回木村選手に対してふざけた真似をした連中は、どうせまた誰かに似たような事をするだろうから、その時までに準備を整え、次こそ社会的責任を負わせてやればいい。
悔しいけれども、こうなってしまっては、それが復讐までの道のりとしては一番の近道だと思われる。

ネットリンチはループする

またも長くなって来てしまったのでそろそろ〆に移りたいと思うのだが、私はこの手のネットリンチに加担するバカタレに対して、以前から言ってやりたい事があった。

それは「ネットリンチは被害者と加害者を入れ替えながらループする」という事である。

どういう事かと言うと、例えばアナタが誰かに対してよからぬ感情を抱き、毎日のように罵詈雑言をぶつけたとしよう。そして相手がそれを苦に自殺するなり何なりという酷い結末を迎えてしまったとしよう。

するとどういう事が起きるだろうか。

すぐさまネットで話題になって「殺したのは誰だ!?」と犯人探しが始まり、あっという間にアナタの存在が ”人殺しをした絶対的な悪者” として特定される。

そうなったら次に何が起こるか想像するに容易いはず。今度はアナタが悪者として、正義の人々からの誹謗中傷や嫌がらせを受ける立場になるのだ。
そしてアナタが異常をきたして自殺でもすれば、今度はアナタを追い詰め過ぎた誰かが犯人とされ、同じように正義の人々に焼かれる事になる。

これがインターネット、特にSNSで起き易いリンチのループである。

果たしてアナタは、こんなくだらない輪の中に入って心も身体も消耗したいだろうか。もしそうは思わないというならば、ハナからリンチなどに加わらない事である。

どこかでこのループを断ち切らねば、今後もネット上で、SNSで、無限に被害者と加害者が生み出されて行くのである。

我々はいい加減、もう少し賢くならねばならない。


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