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伯爵家農場に受け継がれる「早生みかん」の物語

今年も、御花に嬉しいお届け物が届きました。

それは伯爵家農園(橘香園)にて、立花家17代、18代が愛情を込めて栽培している早生みかんを丸ごと絞った「蜜柑搾りジュース」です。

甘さと酸味のバランスが良くて柔らかい蜜柑を丸ごと絞って作られる

毎年のお愉しみ

12月に収穫したみかんを、ジュースにするのは毎年年に1度。
御花でも昨年のものはすべて売り切れてしまったため、私たちも今年の出来上がりを心待ちにしていました。

橘香園のみかんは樹齢80年を超えるものも多く、とても生命力を感じる味わい。香りがよく、すっきりとした酸味と甘みを感じさせてくれる味わいに仕上がっております。

今季は不安定な気候や不規則な雨の影響で、大変不作の年でした・・・
御花でも愛されファンの多い蜜柑搾りジュースは、いつもの美味しさを提供できるよう、より厳選して作っていることから数量限定です。
なくなり次第完売となりますので、ご購入の方はお急ぎください。

昔ながらの自然に任せた農法で育てられる蜜柑

本日は、この蜜柑の「はじまりの物語」をお伝えさせてください。

早生みかんの原種は柳川で発見された!

日本の冬の過ごす上で欠かせない、「皮の薄い種のないみかん」。その原種は、あまり知られていないのですが、なんと柳川で最初に発見されました。発見者の名前をとって「宮川早生」という名前となり、日本初の早生みかんの誕生したのです。

立花家伯爵が始めたみかんの品種改良

明治維新後、大名家から伯爵家となった立花家。旧大名家は基本的に東京に住むことを義務づけられますが、14代寛治公は、国への貢献として「農業振興」を行うことを決意し、柳川の地へと舞い戻ります。そして、農業での地域振興を見据えて日本初の民営農事試験場を柳川市に設立しました。

当時、職を失った武士のためでもあったのかなと当時の様々なものが一気に変わってしまった明治維新の頃を想像します。

宮川早生みかん(橘香園での写真)

そして、明治24年(1891)より、この試験場では柑橘類品評会が行われ、その品種改良に努めていました。

蜜柑の栽培記録はなんと69種類!

ちなみに、寛治公は住まいとして、江戸時代に「奧」屋敷があった御花の地を再び拠点としました。その際に建てられたのが、まさに現在も御花に現存する、西洋館や大広間等の近代和風建築です。

当時から全く変わらない佇まいの西洋館

日本全国、そして海外の野菜も研究

蜜柑以外にも、農事試験場のあたり一面には様々な農作物が植えられ、日本全国と言わず海外からも寛治が取り寄せたものでした。

この地に合う農作物かどうかを研究し、品種改良を行い続けた寛治公。それらの野菜や果物は現在も地域の特産として根付いているものも多いです。
このお話はまた別の機会に。

海外からの果物も熱心に栽培

宮川早生を広めるためにできた伯爵家農園

味がよく、栽培のしやすい宮川早生をさらに普及させる為、14代の功績を継ぎ、15代の鑑徳がモデル園として開いたのが今も現存する伯爵家農場(橘香園)です。

開墾していく様子

石垣が段をなして並ぶその佇まいは整然と美しいだけでなく、土壌の流出を防ぎ、水はけを良くする機能的な役割を果たしています。

伯爵の蜜柑が生んでくれたもの

上から見た現在の伯爵家農園の様子

戦後、華族制度が廃止され伯爵家時代が終わっても、このみかん山で育つ蜜柑たちの品質が良く、当時希少価値が高かったことから、東京でも販売することができ、御花の文化財を守る一つの柱にもなってくれました。

父(15代当主鑑徳)がひらいたミカン園の収入が私たちを大いに助けてくれたのではあった。「宮川早生生温州ミカン」は全国大会で優勝、奨励品種となっていた。このミカン園がなかったら、今日の「御花」もなくなっていたかもしれない。

旧柳川藩主第十六代当主 立花和雄 私史 「柳川の殿さんとよばれて・・・」より

そして、宮川早生はその後、「上内みかん」や「山川みかん」のように各地の名を冠したブランドみかんとして広がり、いまや全国の大半を占める早生品種に!

伯爵家農場(橘香園 )は蜜柑産業の礎の歴史が詰まっています。当時植えられた蜜柑たちも、80歳を超えるものも多くありますが、現役選手として美味しい実を毎年つけてくれています。

農園を守り育てる 立花家17代 立花民雄

立花家3代に渡り大切に受け継がれ、現在は17代、立花民雄が運営を行っています。

よく先代のお話や幼少期の頃の昔話を愉しく物語してくれます。
そして、農業をするということは「心を耕す」ことだと教えてくれました。

広々とした芝生エリアではキャンプも楽しめます

最近は、キャンプも始めたことで多くのお客様で賑わうようになりました。
里山で夜見上げる満天の星空は本当に美しいです。

蜜柑搾りジュースの魅力

橘香園で栽培するみかんは、広大な段々畑でのびのびと太陽と潮風を浴びて甘くなり、ほどよい酸味があることが特徴です。そして、丸ごと絞ることで、香りやオイル分も含ませることで味わい深い味になります。

通常は傷ついたみかんや色が悪いものをジュースにする場合が多いですが橘香園のみかん搾りは青果として出荷できるものをそのまま贅沢に絞っております。

残念ながら、今季は不安定な気候や不規則な雨の影響で、大変不作の年となりました・・・

御花でも愛され、ファンの多い蜜柑搾りジュースは、いつもの美味しさを提供できるようにとより厳選してジュースにしております。

数量限定のためなくなり次第完売です。ご購入の方はお急ぎください。

蜜柑の歴史を生み、文化財を守ってくれたこの味を、是非ご賞味いただけると嬉しいです。

橘香園の応援をぜひよろしくお願いいたします!

橘香園の蜜柑の販売サイトがリニューアルいたしました。

不作により例年の5分の1しか出荷ができなかったため、伯爵蜜柑(宮川早生)は完売しておりますが、減農薬で育ったみずみずしいレモンや、珍しいベルガモット等、販売しております。

生きた歴史が積み重なった、この美しい農園を守るため、蜜柑搾りジュースや、レモンやベルガモットを購入いただき、橘香園を応援いただけますととても嬉しいです。


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