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発達凸凹兄弟との旅行で、ヘルプマークについて考えた

今年のゴールデンウィークは、家族4人で旅行に行ってきた
今回は、旅行の移動日に感じた
「周囲の無理解への悲しみ」と「ヘルプマークを付けること」について書いていきたいと思う


移動日の疲れが半端ない

今回の旅行は、飛行機を使って移動した

①自宅からタクシーで高速バス乗り場まで移動
②高速バスで最寄り空港まで移動
③2.5時間のフライト
④レンタカーを借り、ホテルまで移動

国内線を使う時には
最近は自家用車ではなく高速バスを利用しているのだが・・・

発達障害のある男子2人を連れての
移動はとにかく大変である

小4の長男はだいぶ落ち着いてきているので手が掛からないが
とくに3歳の次男は制御不能である

JALカウンターでサポートマークをもらう

高速バスの車内で次男は大きな声で喋りまくっていた
早朝なのもあって、バスで休みたい客もいただろう
次男の前に座っていた夫婦連れは
明らかに迷惑そうな顔をしていた
「うるさくてすみません・・・」と声をかけるがスルー

羽田空港に到着した時点ですでに
周囲の視線を痛いほど感じ 辟易していた私は

「走り回らないように‥」と空港に着くなり 
次男をベビーカートに ぎゅうぎゅう押し込んだ

そして、チェックインカウンターを探した
JALには、子連れ優先で案内してくれるカウンターがあるのだが
そこに駆け込んだ

JALカウンターでチェックインを済ませると
「すみません 子どもに発達障害がありまして
機内で騒がしいかもしれません すみません・・・」と伝えた
公共の交通機関でこうやって 助けを求めたのは初めてだった

スタッフは ぱっと優しい笑顔になり
「そうでしたか お気になさらないでくださいね こちらよかったらどうぞ」と言いながら
かわいいバッジを渡してくれた
「スマイルサポート」と書かれている

「ご安心ください ご搭乗も、優先してご案内しますね」と言ってくれた
優先搭乗?わが家がそんな待遇を受けていいの??
それだけで なんだかすごく救われた気がして 涙が出そうだった

空港に着くまでに疲弊した私は
スタッフの優しい言葉を掛けられ
「大丈夫」 そう思ってくれる人もいるのだと安心したのだ

サポートマークのバッジを 早速2人に付けようとする
長男は「なにこれ?」というので
「スペシャルマークだよ!!これを付けてたら早く飛行機に乗せてくれるんだって」と伝えたら、すんなり胸につけてくれた。

小さくて気が付かない人もいるかも!?

その後も次男は止まらない

とはいえ、その後も多動な次男は止まることを知らない・・・

・お菓子をそこら中にボロボロこぼす
・土足でキッズスペースに上がる
・「動く歩道」を走る、飛び跳ねる
・大騒ぎしながら父の体によじ登る
・走り回っているので他の客にぶつかる

傍目から見たら
「あの子どもうるさいな。座らせろ!」
「おい親。注意しろ。」
「子連れ旅行なんてよくするよ。」
と思っている方がいても 当然だとも思う

親として 走り回るわが子に対し うるさいほど声掛けしているし
止まらない時は 必死で抱き上げたり追いかけたり
できる限りのことはしている
でも・・・わが子であっても制御が難しいことはある
そして実は 親が声を掛ければ掛けるほど
逆に 子どもの多動がエスカレートする面もあるのだ

移動日は、ほぼ笑顔になれない

母ちゃんは笑顔になれないでいた
周囲の視線に合わせるかのように
常に子どもに「走らないで、歩くよ」だの
「ここでは、アリさんの声で話すのよ!」
とその場に合わせて、声をかけ続けている

これが だだっ広い公園なら
あれこれ言わず 私はそのまま見守っている
だって「この子たちは走りたいから走ってる!
楽しいから声をあげてる!好きなだけしたらいい」と思うからだ

でも、公共の場ではそうもいかない
公共の場には、高齢の方も、身体的にサポートが必要な人もいる
「公共の場では静かにするもの」が定説である

高齢者に元気な子どもがぶつかったらそれは「親の責任」
だからこそ
自分の子が「周囲に迷惑を掛けないように」というスイッチを発動させ
危険なことがないように、目を光らせている

せっかくの旅行なのに、笑顔になれるわけもない
これはいろんな状況や考え方の人がいる、「公共の場」だからである

疲れると椅子に寝転んでしまう長男
(走り回る次男を撮る余裕はない・・・)

はじめての優先搭乗

エコノミークラスを利用しているわが家
今回子どもに「発達障害」があることを伝え
サポートマークをもらったことで、優先搭乗させてもらうことになった

サポートマークをつけているものの
とても小さなバッジには、周囲は気が付かないであろう
騒ぎまくる子どもたちには、周囲の冷たい視線は注がれ続けていた

ところが優先搭乗の案内がかかり
その列に私たち家族が並ぶと 
周囲は一瞬「あれ?」という空気に変わった気がした

周囲の冷たかった視線が「あぁ、この子達・・・なにかあるのね」と
なんとなく少しだけ 柔らかみを帯びたように感じたのだ
こんなにも周囲の空気が変わるものなのかと驚き
心がすごくすごく軽くなった


誰もいない機内に先に案内され
子どもたちがCAさんに優しく声を掛けてもらっている姿を見て
また母は泣きそうになった

トイレの場所が分からない長男に気が付き
CAさんが「一緒に行こうか」と優しく案内してくれたりもした

「特別扱い」してほしいのではない

わが家では、これまであの赤い「ヘルプマーク」を持っていなかった

ヘルプマークを持つことに、抵抗感があった
「わが子の程度で ヘルプマークを持って良いのだろうか」
「ヘルプマークを付けたら、発達障害をカミングアウトすることになるのか」と思っていた

でもこの旅行を機に・・・
この旅行から戻ったら、ヘルプマークを貰おう!
そして公共交通機関では、ヘルプマークを付けようと思ったのである

わが家ではこれまで、旅行に限らず電車やバスで周囲の人に叱られたり、
冷たい視線を浴びることは山ほどあった

わが子の「困り感」は確かに周囲にはわかりづらい
だからこそ、周囲がわかるサインを身につけようと思ったのだ

ヘルプマークを付けることによって
優先的に搭乗したいとか「特別扱い」をしてほしいのではない

ヘルプマークを付けていることで
なにかしらの困り感があると知らせることになる

「周囲に合わせるのが難しいのね」、「周囲ができている当たり前のことへのハードルが高いのね」と

もしも想像力を働かせてくれたら
本人や親は少し気持ちが楽になれるんだ

発達障害児育児の辛さとは・・・

連休中に耳にした音声配信(Voicy)で
私の日々感じている気持ちを言い表してくれていた放送があった

2人の自閉症児を育てていらっしゃる
さおりさんが、Voicyの中でこんな言葉を語られていた


「怒りの根底に悲しみがある。涙が出そうで仕方がない」(抜粋)
公共の場で暴れまくっている発達障害の子どもがいて
それを見ている保護者が
疲れ切っていた顔をしていたら.・・・

余力があって 少しできそうなことがあれば
声をかけてほしいし
不快だなと思う方は その状況を肯定できなくても
否定しないであげてほしい

この言葉を聞いた時に
私は自分の説明できない悲しい気持ちに重なり
すごく腑に落ちた

発達障害のある子どもを育てる中で
公共の場や様々な場面で感じる
歯痒さや辛さは「周囲の無理解」に対しての悲しみだったのだ

「発達障害」は見た目には健常者と同じに見える
だからこそ、周囲に理解してもらえない
だからこそ、ヘルプマークを持とう!


この旅をきっかけに、そう思えた という話でした

【終わりに】
さおりさんの優しい語り口が好きで
最近よくさおりさんの番組を聴いている
その優しい語り口の中には
真意をついた言葉が 散りばめられている

育児の中で感じる 説明できない自分の心の奥の方にあるものを 
さおりさんが代わりに語ってくれているような気がする

孤独になりそうな育児を 
共に走ってくれる伴走者がいると信じ
今日もこうして 少しずつでも 前に進もうとしている

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