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21『ジム史上最弱女がトップボディビルダー木澤大祐に挑んでみた』

#21 すごい太ってすごい怒られた話

太った。めっちゃ太った。
原因はシンプルで、ストレスによる過食だ。私はストレスが溜まると白米やパスタ(味付けなし)をひたすら食べるという悪癖がある。

いつものようにレッグプレスに案内される。木澤さんはなんかすごい黙ってる。沈黙に耐えかね、へらへらした口調で話を切り出した。

「あの、すみません。太っちゃいました(笑)」

笑い話になるかな。という淡い期待だった。

「ほんとですよ」

空気が一瞬で凍った。

「最近太りすぎです。本当に太い。お尻とかお腹とかもたつき半端じゃない。やばい。なんで?何食べたんですか」

一切の笑みのない真顔と口調。「ちょっと太りすぎですよ〜」くらいの返答からの雑談を期待していたのに、絶対零度の反応が返ってきた。

「また例のやつですか。あなた学ばなさすぎる。制御できない量の仕事を抱えるのは僕に言わせればプロじゃない。そんなやり方をして、長く生き残るプロなんていない。あなたはプロじゃないんですよ」

正しい。めちゃくちゃ正しい。
しかし、正しいが言葉が鋭すぎる。大人になると仕事ですら真正面から斬りかかられることは少ない。私は思わず叫んだ。

「木澤さん!木澤さん、言葉ちょっとは選んでください。接客の節度とか忖度とかないんですか?」

「忖度?なんで忖度なんてする必要があるんですか。そんなもんいりませんよ。事実を伝えなきゃ意味がない」

「わかるけど!知ってますか?このまえ吉岡選手のをねえちゃんが増量期の体型変化を視聴者に心なく揶揄われて泣いたんですよ!事実であっても女の体型を指摘するのって、そのくらい伝え方が大事なんです。あなた、トレーナーでありながら、指導者の立場でなんでそれがわからないんですか!」

完全に逆ギレだ。それはわかってる。ただ、すぐに飲み込むには、木澤さんの言葉は抜き身すぎた。凄まじい反撃の予感に動悸が激しくなる。
だが、木澤さんは予想外のキョトンとした顔をした。

「え?吉岡選手のお姉さん泣いたんですか?なんで?」

は?何を言い出したのか。

「いや、だから、増量で体型が変わったのを皆にいじられて……」

木澤さんが明らかな困惑顔になった。

「そんなことで?そんなの競技者なら当たり前の変化で、仕方ないことじゃないですか。若いんだし、食欲旺盛なのは仕方ないですよ。言われたところで『あーそうですね』で終わりじゃないですか。なんで泣く必要あるの」

……嘘だろ。木澤さんがこれまでどれだけの女性と親密に関わってきたか分からないが、まじでこのスタンスで接してきたとしたら確実にフラれまくってる。

「……いや、女の子ですよ?女の子にとって体型の難を指摘されるって相当こたえることなんですよ?」

「お姉さんは競技者ですよ。競技者ってぶっとんでるからなれるんです。泣いたんだ。増量するのなんて当たり前です」

あかん。完全に女心というか、人心を持ち合わせていない。お姉さんとデート企画が持ち上がっているが、デート以前のコミュニケーションに重大な欠陥がある。率直さが売りの木澤さんだから許されてるけど、普通の男性なら一発で恋愛対象外だ。

早く実現してほしい。
木澤さんのデートプランが見たい。


「とにかく!女の体型を指摘するときはもっと言葉を選ぶべきです!」

木澤さんは分かったような完全に分からないような顔をしながら「そうですか」と言った。

「でも太ったのは事実なので、痩せてきましょう」

埒があかないので言い方の問題はもういいとして、話を進めることにした。

「分かりました。どのくらいのペースで落としていけばいいですか?」

「月に2kg……、いや、あなたの体格なら1.5kgかな。それで3ヶ月で−5kgいきましょう」

そういうわけで、しばらくは減量生活に入ります。とりあえずカーボはふつう、たんぱく質と脂質を切っていくスタイルにする。食事を考えるのが面倒なので、揚げ物をとりあえずやめて、

・そば
・白米
・たまご
・野菜
・納豆
・皮剥いだ鶏肉

をメインにやっていく。というか、ストレス暴食がなくなれば自然に落ちるとは思うが、またいつ爆発するかわからないので普段は徹底することでリスクを回避しようと思う。

とにかく、木澤さんは正しいが言葉が厳しい。伝えなければいけないことを最短経路で伝えることにしか注力しないから、聞き手の情緒とか考えない。おそらく自分自身に対してそうだからなのだろう。

大体このスタイル

「僕は辛い減量をやってきたけど、無知だから自分で辛くしてただけなんで」
「肉体労働時代は我が身を憂いて泣くこともあったけど、そんなの自分で決めたことだしね」
「筋トレは辛いけど、趣味で自分で決めたことなんだから周りに辛さをとやかくいうことじゃない」

自分に厳しい人間は、大体人にも厳しい。ナチュラルの視点で求めるハードルが高いからだ。ちなみに逆ギレはしたが、私は木澤さんのこういうところが好きだ。言葉の上手い人間と、文章の上手い人間は信用してない。不器用でも無骨でも、心から湧き出る感情をそのまま出してくる人間が一番信用できると思っている。


それはさておき、むかついたのはむかついたのでちょっと悪口を書く。

ジュラシックアカデミーの応接室はおかしい。
この前に見せてもらう機会があったのだが、まず第一にマシンで入り口が塞がれてる。

自宅ならともかく、いや自宅でもどうかと思うけど、企業で人を招く部屋が閉ざされてるってどういうことだ。というか、ちょくちょく撮影にも使用してるのに、その度にマシンを退かして入っているというのか。なんて非効率なんだ。

あと、中がめっちゃ汚い。ダンボールが山積みになっていて、引越し初日くらいある。誰のかの靴とか二足くらい床に転がってたし、リュックがベッド?に放り出してあったし、カメラに映らない位置全部が男子寮並に汚い。あまりの惨状に笑ってしまった。

整理するのは部屋が先

悪口を言ってスッキリしたので終わろうと思う。トレーニングについてはいつも通り死んだ。また来週いくので、そのときに記録を残したいと思う。

木澤さんの性格は好き嫌いがとても分かれると思う。でも私は好きだ。どうこう文句言ったけど面白いし、人のことをちゃんと考えてるからこそ出る言葉が多い。コミュニケーション能力はない。人格に癖も多い。でも正直で実直でストイックに成果を出す人ってそんなもんだ。

なので、これからも通い続けたいと思います。不出来な生徒ですが、今後ともよろしくお願いいたします。

#21につづく

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