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神聖な場所で、姿勢を正す

8年前、四国八十八ヶ所をすべて廻った。きっかけは祖母の死。実家は真言宗だが、法事で飾る御軸を持っていなかった。四国に住んでいた私は、御軸を完成させるためにお遍路をした。

当時は、今のような御朱印ブームはなく、中高年の方が多かった。20代女子が1人。地元の人から「珍しいね」と何度も言われた。私自身、熱心な信者でもなく、四国にいるから始めただけだった。

お遍路は通常、徳島県の1番札所から廻るのだけど、うるう年の時は逆から廻る。何気なく始めたお遍路、香川県の88番札所・大窪寺に入った瞬間に、中途半端な気持ちが消えていった。

背筋が伸び、凛とした気持ちになる。心が洗われて、今に感謝する。御朱印や御軸を書いてもらう。筆捌きを見ているだけで、何だか自分が清められた気がした。

この経験はお寺のみならず、他の場所でもある。

◇ ◇ ◇

カナダの東部に位置するケベックシティ。世界遺産に指定されている歴史地区は、街並みがすごく可愛い。統一感があり、ヨーロッパを彷彿とさせる街は、歩いているだけで楽しめる。

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写真を撮って歩き疲れた私は、ケベックシティのノートルダム大聖堂に向かった。他よりこじんまりとしている大聖堂。休憩がてら覗いただけだったが、入った瞬間に心が奪われた。

今までの疲れが吹き飛ぶような、雑念が消えゆくような、不思議な感覚に陥る。

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私は外国の人から宗教を聞かれると、仏教徒と答えている。ただ、宗教関係なく、世界中のどこだって、神聖な場所では身が引き締まる。

そして、信仰している人の姿をみると、こちらまで伝わってくるものがある。

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椅子に座って頭を空っぽにする。
周りにはポツポツと信者の方がいる。
お祈りをしている人を見る、声を聞く。

それだけで、今この空間にいるだけでいい。

休憩なんて思ってごめんなさい。この場所にいれて幸せです。

みな信じるものは違うかもしれない。無宗教の人だっている。それでも、神聖な空間では、思わず姿勢を正してしまう。

大聖堂を後にする。今までより清い自分がいるような、そんな気がした。

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