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私は旦那コンプレックス

旦那さんの前で誰かと話す、気持ちを伝えるのが緊張する。彼と話す時、どこかのお偉い教授と話をしているように感じる。

学校には給食を食べに行っていただけの無知な私と、日頃から切磋琢磨して教養を身につけてきた旦那さん。私たちの頭脳は多分、子供と大人くらいの差がある。

彼は人を見下したり、けなしたりを一切しない。頑張る誰かを応援して協力できる人。分かっているのに、私は自分が劣っている、恥ずかしいと感じてしまう。彼の前で英語はおろか、日本語で話すのも緊張する。

彼は英語と日本語が堪能。今はフランス語を勉強している。文法や言葉の使い方もしっかりしているから、文章のアドバイスを彼からもらっている。社交的、ユーモアがあって、人前に出ることも臆さない。努力家でストイック。こだわりも強い。自分の意思もしっかり持っている。何もかも私と正反対。

そんな彼に言葉の使い方や話し方を指摘されるのではないか?もっとうまく話さないと、言葉に気をつけないと…焦って話せなくなる。

彼は見守ってくれているのに、私の中での彼は厳格な教育者のように見える。恐怖が倍増していつの間にか挑戦するのも、自分の思いを話すのも、嫌になっていた。

 私は彼のオクサマにふさわしいのか?
 私の英語が5歳児レベルで彼に頼りっぱなし。
 英語もそろそろ必要性を感じてきた。
 このままでは、彼が愛想を尽かすんじゃないの?
 社交的になれない。シャイだからアカンねや。
 我慢して、社交的な場にも行かないといけない。
 彼や周りをハッピーにしなきゃ…

永遠、このループが頭をグルグル。全部行き止まりに感じる。ある瞬間、旦那さんに全てをぶちまけた。号泣してしまい、話そうとしても嗚咽が混じってしまう。彼は黙って全部聞いてくれた。

「なるほど。オレコンプレックスなんやな。色んな人に今までも言われたよ。あなたの前で英語を話すのは嫌、って。」

慣れているのか、何でもないことのように彼は言う。これからも彼と一緒にいるなら、向き合うことでしかコンプレックスは解消されない。

「Maiはどうしたいの?英語は話せたらいいなって思う?オレはMaiをジャッジしてないよ。やりたくないならやらんでええ。でも頑張ってみようかなって思うなら、オレも本気で手伝うから。できないことを笑ったりもしない。あ、おもろいこと言うたら笑うけど。君は義務教育が抜けているので、いちから文法や発音までオレが教えるよ。」

英語は話せたら楽しいと思う。難しい話はできなくてもいい。せめてひとりでスマホを契約したり、病院に行ったりできるといいな。日本語でできることくらいは、英語でもできるようにはなりたい。

もう一つ重要なことがある。旦那さんといるかぎり、日本人に囲まれることがない。英語が話せないと、私は居場所がないやん。いつまでも借りてきた猫、もしくは人形みたいに黙ってそこにいるのは嫌だ。

永住権を取った。もう留学生じゃない。英語も少しやってみたい。でも…数年前みたいにしんどい思いしなアカン。嫌やな。

「オレはMaiに我慢されるのが何よりも嫌。英語が話せないこと、シャイなこと、オレコンプレックスとか、正直オレ自身は何も思ってへんねん。Maiは自分で思っているよりも、遥かに色んなことができるよ。もう少し自分自身をよく観察して『旦那さんと張り合ったろう』くらい、Maiの強い意思や考えをオレは聞きたい。オレをハッピーにしようなんてせんでいい。オレは自分で勝手に幸せになれるから。」

これも今まで何回も言われてきた。あの時から私は変わってないのか?何かを変えたいなら、大きく行動を変えないと。心を決めてやることにした。

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旦那さんが私の苦手意識などを分析したところ、英語以前の問題だと分かった。私の最大の敵は「パニック」。パニックに陥った時のプレッシャーや焦りが、私の行動や考えを邪魔している。これを上手に自分でコントロールする練習をしながら、旦那コンプレックスも解消できるように英会話レッスンしよう、と話し合った。

先週末から英会話レッスンを開始。

−旦那さんに自己紹介をする
−発音の練習(ABCから)

自己紹介する「前」に緊張で30分くらい泣いた。話さなきゃ、と思えば思うほど言葉に詰まって涙が止まらない。でも英語を話し始めると彼は厳しくもなく、楽しく教えてくれた。たくさん褒めてくれながらも、私の苦手部分をしっかり指摘。そして自分でも意外に話せたのが驚き。話し始める瞬間だけ怖かった。

「言葉を学ぶのは難しいねん。一回で完璧にできなくてもいい。オレもいまだに英語で分からんこといっぱいある。発音も意識して丁寧に、発音することが大事やで」

英語を話すのが嫌だった数年前に比べると、今は楽しい。あの頃は英語を話すのが嫌っていう、根っこに向き合ってなかったんやわ。行き止まりだったのが、ようやく道が開けた感じがする。旦那さん、私を信じてくれてありがとう。

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パニックモンスター、おもしろい😂

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旦那コンプレックスを彼に伝えたことで、英語以外でも気持ちに変化があった。文章を書く、彼に思いを伝える、何かに挑戦することに前向きになっている。一緒に何かを創る夫婦同士、いい意味でお互い張り合って向上していけたらいいな。

旦那さんがCakesで連載を始めました。初回無料・フルカラー。ぜひ読んでみてください!


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