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こうしてまた読書が楽しくなった: いわた書店の一万円選書

今年買ってよかったものは、いわた書店さんの一万円選書。いわた書店さんの選書本のおかげで読書はやっぱり楽しいと思えた。ここ最近は読書が嫌いになりつつあったのにも関わらず、だ。

いわた書店の選書とは?

忙しくって本屋にいけない、最近同じような本ばかりで出会いが・・・
などなど読書難民のあなたの為に 社長の岩田がお薦めの本を約一万円分選んでお届けするというサービスです。 

— いわた書店ウェブサイトより(https://iwatasyoten.jimdosite.com/一万円選書/)

いわた選書は年に数回の選書を募集をしていて、当選した人が選書してもらえる。当選後、書店店主の岩田徹さんが考案した「カルテ」が送られてくる。そのカルテにはいくつかの質問があり、答えを書いて返送。

それをもとに、岩田さんが自分のためだけに本を選んでくれる。選書本の内容や対応などは星5個では到底足りないほど満足。カナダ在住のため、海外発送も対応してくれたらなお良かったな。笑

冒頭にも書いたように、選書前は大好きな読書を嫌いになりそうだった。

SNSに溢れてくる流行り本を見ると、全部読まないといけない気分にさせられる。小説の帯の「やばい」や「衝撃」などの常套句にも疲れてきた。圧がすごい。言葉で人を魅了するのが小説なのに、言葉が雑だなと感じる。何より残念なのが、強くて便利な言葉を多用するあまり、その作品の内容や良さが何も伝わって来ないこと。

流行り本も嫌いってわけじゃない。何を読んでいいのか分からないときには流行り本を参考にする。でもそれを読まないと、SNS上では仲間に入れない空気感にもウンザリ。

自分は流行りの本に本当に興味があるのか。どんなふうに読書と付き合いたいのか。本当はこういうことを大事にしながら本を選びたいのに、読書仲間に入りたいなら、流行りの本を読んでいることが前提条件…という結論にどうしても行き着いてしまう。

私は自分の考えに自信がない。だから人と同じ本を読んで仲間に入れてもらったり、人と同じことをしたりすれば私は「間違ってない」と思い込むことができる。みんなに紛れれば安心する。人より目立ちはしないけど怒られなくて済むし、批判もされない。誰に、かは分からない。同じ方向を向いて楽しいだけを共有する仲間もいる…のに、しんどい。多分それは自分の「正解」ではなかったからだろうな。

…あれ、読書のことを考えていたのに、なんで「人」のことで悩んで、読書と距離を置いているんだろう、私。

そんな中、いわた選書のことをネットのインタビュー記事で知った。心を掴まれたのは「読みたいのは、ベストセラーではなくあなたに寄り添う運命の1冊」という言葉。

色々調べていくと、岩田さんの選書にますます興味を持った。彼の本屋さんとしての意地やプライドからは、彼にしかできないことに誇りを持っているのが伝わってくる。カッコいい!そうそう、こんな人が勧める本を読みたいんだよ、私は。

私のことを全く知らなくてもカルテに書いている内容から、真摯に向き合ってくれそう。読書へのがっかりを打破できるかもと期待した。

結論。届いた選書本を数冊読んでみて、読書ってやっぱり楽しい!と思った。

よくよく考えてみると、読書が嫌いになりつつあった一番の原因は、人に媚を売る自分だ。読みたくない本を読んで、無理して仲間に入れてもらおうとする。

そもそも、仲間に入れて”もらう”って何だ。読書の醍醐味は読みたい本を読んで、それぞれがアツい気持ちで本や物語の内容を自由に楽しく話すところだと思う。感想を言うのも、何を読むかも誰かの承認制じゃないし、そんな顔色を伺いながら話しても楽しくない。肝心の物語の内容も頭に入ってこない。

「読書は楽しい、その気持ちを忘れてはいけない。」

その一番シンプルで大切なことを、岩田さんの選書は肯定してくれたよう思う。

仲間に入れないのはちょっぴり寂しいけど、読みたくない本はやっぱり読みたくない。読みたい本を読んで、それについて話せる人がいるなら楽しくお話すればいい。今は古典にハマっているから、それを楽しめばいい。Kindle Unlimitedで掘り出し作品を探すのもいい。流行り本で気になるものがあるなら読めばいい。

多分、これが今の私の「正解」。この正解はまた変わるかもしれないし、それもまたいい。

自分の「正解」が他人と違うこともある。自分の「正解」を疑ってみるのが必要なときもあると思う。でも何の吟味もせずに、多数派の意見に左右されて、自分が「間違い」とするのはそろそろ止めていこう。

そういう意味でも、選んでもらった本はこれから先も自分が迷った時、しんどい時にチカラになってくれそう。

選書本の中に岩田さんからのアドバイスはない。本は自分を変えてはくれない。本に何を見いだすかはみんな、自分で決めていると思う。その時の自分に響く言葉を、物語から無意識に探しているんじゃないかな。小説から何かを自分で見つけて、自分で行動したから変われるんだと思う。

同じ本でも読み返すたびに、新たな発見とメッセージを受け取る。だから読書って、おもしろい。

残りの選書本も大事に読んでいこう。自分の「正解」をアップデートしながら、これからも読書を楽しんでいこう。選書、本当にお願いしてよかった。

いわた書店さん、岩田さん。ありがとうございました。

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